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#偏読書評
〈偏読書評〉食べる前に読む! うなぎ絶滅後の人類を描いたポストうなぎエンタメ:倉田タカシ『うなぎばか』
明日、7月20日は土用の丑の日。Twitterでは《うなぎ絶滅キャンペーン》さんが、連日せっせと様々なうなぎ情報を発信しています。
自分は食べ物として、うなぎは嫌いではないのですが、数年前に強烈な自家感作性皮膚炎を患ってから、味噌や醤油など発酵させた大豆食品を食べると蕁麻疹まみれになってしまうため、うなぎの蒲焼を食べられない身体となってしまいました。
じゃあ白焼きでも食べればいいじゃない、と思
【お仕事】Numero TOKYOおすすめの6月の本
『Numero TOKYO』(扶桑社刊)公式サイトでの新刊紹介欄、今月分がアップされました。
今月ご紹介しているのは……
■伝説の幻想作家・山尾悠子先生の、実に8年ぶりとなる連作長篇小説『飛ぶ孔雀』(文藝春秋)
■エッセイ、連載小説、事典など、さまざまな形式で書かれた短篇作品を収録した、知的好奇心をくすぐりまくられる、吉田篤弘さんの『あること、ないこと』(平凡社)
■いつもは緻密なリサーチ
【お仕事】Numero TOKYOおすすめの5月の本
先月より誌面から公式ウェブサイトへと引っ越しした、『Numero TOKYO』(扶桑社刊)の新刊紹介欄。今月分がアップされました。
今月ご紹介しているのは……
■笑い溢れる新喜劇のような物語と文体が、この季節特有の憂鬱気分を100%吹き飛ばしてくれる、町田康さんの『湖畔の愛』(新潮社)
■その痛快な《言葉遊び》感覚で、数多の読者たちをしびれさせてきた多和田葉子さんの新境地ともいえる(かつ、初
〈偏読書評〉ミステリとしても楽しめる、大人のためのおとぎ話:『おばあちゃんのごめんねリスト』
2016年12月に日本で公開され、スウェーデンでは国民の5人に1人が観たという映画『幸せなひとりぼっち』。第89回アカデミー賞では外国語映画部門とヘアスタイリング部門にノミネートされていたこともあり、映画は観ていなくても、そのタイトルに聞き覚えのある人も多いかもしれません(ちなみに現在ハリウッドで、トム・ハンクス主演でのリメイクが決定しているのだそう)。
そんな大ヒットを巻き起こした映画の原作を
〈偏読書評〉続・大人だって絵本を読んでいいじゃない:『いきもの特急カール』
先週、木内達朗さんの絵本『いきもの特急カール』を紹介する投稿をアップしたものの、後半は気持ち悪い自分語りになってしまい、作品の魅力を全く伝えきれていなかったので、再投稿です。しつこくて、すまん(っていうか、承認欲求の強いババァで、すまん。猛省)。
『いきもの特急カール』のテクストが、大人仕様にもなっていることは先週の投稿で書いた通りですが、今回は大人でもつい見入ってしまう(へたしたら、ずっと見続
〈偏読書評〉大人だって絵本を読んでいいじゃない:『いきもの特急カール』
卒業・入学・就職シーズンが近づき、新刊ラッシュで書店がにぎわう季節。新生活のスタートにあわせて自己啓発本を買う、意識の高い人も多いと思いますが、買うものリストにぜひ加えて欲しい絵本を今回はご紹介します。
ご紹介するのは1月に岩崎書店から刊行された絵本『いきもの特急カール』。半沢直樹シリーズの装画、英国のロイヤルメールのクリスマス切手(2006年)、スターバックスのホリデーキャンペーン(2007年
〈偏読書評〉“世界文学”としてのエトガル・ケレット氏の作品 または我々は如何にして“世界文学”と向き合うべきなのか【後篇】
-- 以下〈偏読書評〉、2016年7月19日投稿の加筆修正版 --
前篇にも書いた通り、『突然ノックの音が』でエトガル・ケレット氏に興味を持ったのが2015年。単行本の刊行記念として同年2月末に〈エトガル・ケレット×円城塔 公開講義『僕たちの書き方』〉が開催されることを知った自分は(ひきこもりにしては非常に珍しく)速攻で予約を入れました。で、結論から言うと、この講義を通して、すっかりケレット氏に
〈偏読書評〉【番外篇】壮絶すぎる過去を、軽やかな「笑い」と「救い」へと昇華する漫画力
〈偏読書評〉ブログのnoteへの引っ越し作業がまだ終わっていないのですが、「#今週のお題」が「2018年オススメのマンガ」という面白そうなテーマなので(またもや)番外篇です(そして、またもやムチャクチャ長いです)。
オススメしたい作品は、2018年になってから刊行された作品に限定しても結構あるのですが、せっかくなので《noteで読めるマンガ》というしばりを(勝手に)加えた上で、『コココミ』で絶賛
〈偏読書評〉“世界文学”としてのエトガル・ケレット氏の作品 または我々は如何にして“世界文学”と向き合うべきなのか【前篇】
-- 以下〈偏読書評〉、2016年7月11日投稿の加筆修正版 --
前書きがわりの(超絶卑屈な)近況報告から間が空いてしまいました。今回はエトガル・ケレット氏の著作である『突然ノックの音が』(新潮社刊)と『あの素晴らしき七年』(新潮社刊)について、そして(書くかどうか正直迷ったのですが)『あの素晴らしき七年』に関するいくつかの書評を読んで自分が感じたモヤモヤとした違和感についてです。
まず最初
〈偏読書評〉【番外篇】おひとりさまにもやさしい、滋養に満ちたスープが主役のフードコミック
-- 以下〈偏読書評〉、2016年5月23日投稿の加筆修正版 --
どうも、ごぶさたしております。「ひとり古川日出男まつり」の開催予告をしたものの、『新潮』誌で連載がはじまった『ミライミライ』が思いのほか難作で(※当社比)、過去作品にも目を通し始めたら収拾がつかなくなってしまいました。いやぁ、古川作品をなめていましたね。『あるいは修羅の十億年』(集英社刊)が、ものすごく読みやすかっただけ余計に。