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なんとなく日記

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日々の生活のなか、ふと思い立ったことを、つらつらと書いていきます。
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#田舎暮らし

とんびいなくなった。

とんびいなくなった。

僕が定住している秋田県由利本荘市のとある僻地、もしくは限界集落と呼ばれている場所には色んな生き物が生息している。

特別天然記念物のカモシカを筆頭に、ホンドギツネ・ニホンイタチ・ハクビシン・アナグマ・ニホンリスは毎日のように目にする。

春へと向かいつつあるこれからの時期はとくに、原野を仲良く駆け回るホンドギツネの親子の仲睦まじい様子を眺められる。

しかし僕がここに住んでいた高校生の頃まではホン

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家の前を通り過ぎる他人ですら、

家の前を通り過ぎる他人ですら、

限界集落のなかにひっそりとたたずむ実家に帰郷して以来、少しばかりの寂しさを感じることがある。それは、“ほかの人の存在をあまり感じられない”という寂しさだ。

転職を機に移り住んだ大阪や千葉、そして新卒時代に住んでいた京都ではそんな寂しさを感じたことがなかった。窓から通りを見渡せる住宅街に住んでいたので、往来する人々の姿がいつでも目に入っていたんだ。

言葉を一度も交わしたことのない同じ地区に住む住

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香りに傾倒中、

香りに傾倒中、

最近、香りに凝りつつある。部屋に引きこもって日夜働いているなかで、「なんかいい香りに包まれながら仕事をしたらはかどりそうやなア」と思い立ったのがきっかけだ。

最初はお香だ。100円ショップのダイソーにお誂え向きのお香が売っていた。シャボン・ムスクノワール・ホワイトムスク・シトラス・グリーンティー・ラベンダー・ローズなどなど、驚くほどバリエーション豊かだ。

なんて言ったって1つ100円。これはも

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僕が空想するものを、

僕が空想するものを、

地元に帰郷してからはよく「こんな施設があったらいいな」「こんな体験ができたらいいな」っていう空想をよくする。

ただし、「その空想に賛同してくれる人が果たして誰かいるのだろうか?」という疑問が残る。なぜなら、あらゆる面で僕が“少数派”らしいからだ。“らしい”とつけたのはもちろん、これまで関わってきた人に散々言われてきたためである。

小さな頃から多少なりとも自覚はあった。皆が興味を持つようなテレビ

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ならなくなった救急車。

ならなくなった救急車。

午前9時過ぎ。けたたましいサイレンの音を周囲に響かせながら、山間(やまあい)の限界集落に救急車が走ってきた。救急車はそのまま、僕の家の前を素通りしていく。

ここには、16世帯しか住んでいない。それに住民の9割以上が高齢者だ。

母親が僕に問いかける。
「誰の家に向かっているんだろう?」
「わからんな」
僕はそう答えた。

しばらくして、救急車がサイレンを鳴らすことなく帰っていった。さきほどまでの

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冬の気持ち。

冬の気持ち。

限界集落に本格的な冬がやってきた。11月に寒波がやってきた際にも、少しだけ雪が降った。しかし、今回はフェイントじゃない。これから先はずっと冬模様だそうだ。

一夜にして家の周辺は白銀世界へと変貌した。台風並みの勢いで寒風が吹きすさび続けており、犬の散歩もひと苦労。こんなに荒れた天気なのに、愛犬はまったく意に介していない様子だ。

風の寒さや地面の寒さを気にすることなく、好き勝手に歩き回る。しまいに

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フィトンチッドに囲まれながら。

フィトンチッドに囲まれながら。

3~9月は、僕にとって特別な季節だ。なぜなら、源流釣りを楽しめるから。ちなみに、渓流ってば日本全国どこの地域でも基本的に、3~9月以外は禁漁期間なんだ。もし釣っちゃうと、罰金をとられるから気をつけて。

家から車で約10分のところに、ヤマメが数多く生息している源流がある。限界集落の奥にある、小さな小さな源流なもんだから、ほかの釣り人が訪れることは滅多にない。貸し切りで釣り放題ってことさ。

段差で

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限界集落に冬が来た。

限界集落に冬が来た。

「強い寒気が南下する影響により、明日は全国的に冬日となるでしょう。とくに、北日本は積雪や吹雪に十分に注意してください」

いつもは外れがちな天気予報が、久々に的中したような気がする。ふと思い返した気象予報士のお姉さんの顔は、こころなしか自信に満ちているように思えた。

温度計が示す部屋の気温は6.4℃。室内だというのに、吐く息が白い。窓から外を見やると、あたり一面が真っ白に染まっていた。とうとう来

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撮れずじまいの秋だった。

撮れずじまいの秋だった。

今年の秋は、駆け足で過ぎ去った。僕が仕事にかまけているうちに、いつの間にか田植えは終わり、やがて黄金色が広がる。

「なんとか時間でも作って、稲刈りの風景を撮りたいなあ」などど思いつつも、また仕事にかまける。そうこうするうちに、あちこちで稲刈りがはじまった。

田んぼを走るコンバインを横目に、「やべえ、まだ撮ってねえ。稲刈りが終わる前に写真撮らねえと」と焦る。

もみがたわわに実り、地面につきそう

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はじめまして、僕の名前は秋田縫。

はじめまして、僕の名前は秋田縫。

皆さん、はじめまして。
僕の名前は秋田縫(あきたぬい)。

約10年の会社員生活を経て、2023年1月、半ば勢いのままにフリーライターに転身した。新潟・京都・大阪・東京で仕事をしたのち、現在は、地元秋田は由利本荘市の限界集落で暮らしている。

ありがたいことに、ここ10か月間は仕事が途絶えることなく、昼夜を問わずがむしゃらに働けてきた。

ここにきて一旦落ち着いたので、前々から気になっていたnot

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