マガジンのカバー画像

突刊少年マクロファンデス

24
自分の記事意外にもnoteで見かけた気になる記事をピックアップしてみました。
運営しているクリエイター

#コラム

90年代ウェブ小説の書籍化|飯田一史

90年代ウェブ小説の書籍化|飯田一史

 オンライン小説の歴史は、パソコン通信やインターネットなどオンライン通信の歴史と同じくらいの長さがある。
 たとえば1981年元旦に発足した小田原マイコンクラブのBBS「マイコンセンター」上に原田えりかによって85年8月頃から約3年にわたって毎日、全1038回書かれたSFファンタジー「シシャノミルユメ」がおそらく日本初のオンライン連載小説だろうと目されている(小口覺『パソコン通信開拓者伝説』小学館

もっとみる
2000年代前半のウェブ小説書籍化(前編)|飯田一史

2000年代前半のウェブ小説書籍化(前編)|飯田一史

 98年に個人サイト上で連載が始まり、01年12月に自ら制作費を投じて作った同人版刊行を経て、04年6月に講談社ノベルスで刊行された『空の境界』は、ウェブ発ながら実質的に「同人シーン発」として2000年代前半に注目された、という話を前回した。

オンライン発、自費出版のヒット作『オルゴール』
 2000年代のウェブ小説書籍化を語る上では、新風舎と文芸社が中心となって巻き起こっていた、やはり作家自身

もっとみる
2000年代前半のウェブ小説書籍化(後編)|飯田一史

2000年代前半のウェブ小説書籍化(後編)|飯田一史

「楽園」での高評価を受けて新人賞投稿に至った米澤穂信『氷菓』 自費出版やモバイルサイトの有料課金モデルではないウェブ小説書籍化の動きは、2001年から起こっている。
 たとえば米澤穂信『氷菓』が第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞して角川スニーカー文庫内「スニーカー・ミステリ倶楽部」の第1回配本として10月に刊行された。
 米澤によれば、この作品は「オンライン小説の評価サ

もっとみる
北原コレクション④「秘宝、顔グラス」

北原コレクション④「秘宝、顔グラス」

 一見して珍妙な形かつ絶妙なバランス。大正末期から昭和初期に作られたと思われる美女の顔付きのガラスコップ「顔グラス」。グラスの上に陶器でできた女性の蓋が載っていて、立体的な女性の口にストローを差し込んで、蓋をしたまま飲む趣向。

 頬を赤らめたような女性の顔が妙に色っぽく、キスをせがむような女性の表情が洒落ています。なぜ、そこに顔が付いているのか。今だったら、まず商品化できないようなデザイン。大正

もっとみる
北原コレクション⑤「神秘、魔法箱」

北原コレクション⑤「神秘、魔法箱」

 幻の逸品は、1920年代H.YAMADA製の「魔法箱」。本体は木箱で、前面に絵柄。洋装に身を包んだマジシャンの少女が左手に小銃を持ち、右手で扉の取っ手をつかんでいる姿が描かれています。また、箱のサイズは、高さ約26㎝で意外と大きく、取り付け箇所は、釘で各パーツを打ち付けています。

 中を見る部分が一切ない作り。内部構造は不明ですが、ゼンマイ駆動。「チン」と涼しげな鐘の音が合図となり、少女が扉を

もっとみる
北原照久さんの『魅惑の小宇宙』

北原照久さんの『魅惑の小宇宙』

Facebookで6年連載している「北原コラム」より

最高の夢人生 北原照久の世界
番外1951 「数は力」を示す金言
 
 北原コレクションの展示会と言えば、基本は、ボリューム展示。何らかのテーマで並べられたり、様々なジャンルであったり。おびただしい数のお宝が並ぶ光景は、圧巻。目にした人は一様に圧倒され、「ものすごくたくさんある」と目を丸くするでしょう。
 
 コレクターの視点では、「ただ数が

もっとみる