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追憶の海外紀行

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#海外紀行

アルプス山麓にて 過ぎ去りし冬日の北欧の山を偲ぶ 

アルプス山麓にて 過ぎ去りし冬日の北欧の山を偲ぶ 

 中欧の夏が間もなく終わりを告げようとしていたある週末、

 アルプス山麓に佇む一つの村にて、私は湖底まで透き通った湖のまわりを歩いていた。山と湖のある景観というものはかくも幻想的なものなのか、と一人感嘆しながら。

 
 
 そこは南ドイツであり、その景観は私にとってはまったく未知のものであった。汗ばむほどの炎天の下にて、深緑に装飾される山々を眺めていたら、もう何年間も北欧の山々を拝んでいないこ

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ドイツ・ミュンヘン 見落としていた1972年 

ドイツ・ミュンヘン 見落としていた1972年 

「思うにね、ミュンヘンと言う町は、全く過小評価されているよ」

 知り合いのイタリア人男性がそのように宣う。ミュンヘンを愛し、頻繁に訪れていると言う。

 これは彼なりの高評価なのであろう。通常はかなり評価の手厳しい男性だ。それならば、とミュンヘン訪問への期待が持てた。

 夏休みを四日間戴いて、ミュンヘンを訪問することにしたのだ。

 何故ミュンヘンなのか。

 
 ドイツは比較的物価も安く、ミ

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「世界一美しい」と称賛される美術館を訪れてみて

「世界一美しい」と称賛される美術館を訪れてみて

「鏡よ鏡、この世で一番美しいのは誰?」

 このセリフは長く語り継がれ、使い古され、パロディ化さえしているが、その返答もまた様々であろう。
 
 もし仮に私が誰かに「このパーティーで誰が一番美人/イケメンだと思う?」、と質問されたら、「貴方の理解するところの美人の定義を述べて下さい。判断基準は何ですか?」、と問い返させて頂くであろう。

 身長が一番高い、体重が一番重い、一番金持ち、足が一番速い、

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