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矢口れんと
2024年9月24日 21:40
苛々していた。苛々と怒りとはまったく別のものであるが、この時は曇天の下で混同してしまった。退廃に堕ちたとき、気分と感情の違いなんぞに何の意味もない。大事なことは旧い脳を発火させられるか否かだ。歌えば許されると思っている。正直、踊れば許されると思っている。運命的な出来事があった。しかしそこに至るまでに何の論理も因果も見出せなくて、あれも違う、これも違う、それも違う、と否定をしていったら、ああ
2022年1月20日 15:36
課題として書かなくてはならない詩を1件抱えている……のだが、とても大事にしたい詩なので時が来るのを待っている。半生かけて大事にしてきた本と今の自分との間に生みだす詩を、適当には書けない。実は締め切りはとうに過ぎているのだが、先方は待ってくれる団体なのでとても助かっている。これまでも何度か謝罪のメールを入れたのだが、「全然大丈夫ですよ〜期日は目安です!」といった軽い返信。同じメールを何度も送らせるの
2021年8月23日 16:15
「次元キャンバス」 わた菓子を連ねたような林だ 毎朝 差し込まれるわずかな時間 視界の水平120°に手を広げ 意識と向き合う 静かな林だ わたしはその奥行きを未だ知らず ましてや 時の奥行きまで知るすべもなく それは遠いキャンバスに描かれた 小さな樹海の油絵に過ぎないのか ふと 林の手前で 青田に隠れて青鷺のこうべが揺れた 林を見つめる後ろ姿は 心細そ
2021年4月27日 12:19
カーテンが身じろいだのは風のせいではなくT君の怒号が飛んだからだった瞬時に凍りついた8組の教室は嫌われていた担任教師と全くおなじ表情で固まった他クラスの俺は居たたまれない気持ちを抑えながらその動向を注視していた眉をひそめるクラスメートらに構うことなく畳みかけられる罵詈雑言担任教師の元々青黒かった顔がさらに青ざめていく容赦がないという尺度においてあれほどのものは見たことが
2020年5月25日 10:19
あれれ4年目どこいった?笑えっと、去年書いた「3年目」がウソで、どうやらnoteを始めて4周年、5年目に突入する模様です。いつもお読みくださりありがとうございます!さて、先日noteでやり取りをさせて頂いていた方がnoteから卒業されることを表明され、一抹の寂しさが胸に滲みました。4年もやっていれば少なからず別れもありますね。「なんでこんな素敵なクリエーターに反響が集まらないんだろう!?
2019年7月21日 13:00
いつもお読み下さりありがとうございます。noteを始めて丸3年が経とうとしています。詩を書いたり、コラボしたり、140字ストーリーや小説を連載したり……で、少々煩雑になってきましたので、ここいらで整理して紹介させて頂きます(人はこれを宣伝と呼ぶ)読者のみなさまが興味を持てるコンテンツを見つけてくれることを願います!*現在稼動中のマガジンです。今ホットなのは『ひねくれ大学生日比野くん
2019年1月4日 12:51
昨日は初詣へ。その足でアウトレットに行き、本当に欲しいものを1点だけ探して買う、というささやかな楽しみを満喫しました。 2019年、家人は大厄ということでお祓いもしてきました。悪いものを全て落としきったところで[おみくじ]を引いたところ、なんと家人には大吉が、僕には凶がでました。世間には辛辣な運勢を占うおみくじを提供して、身も心も引き締めてくれる神社仏閣もありますが、参拝したところはそうい
2018年11月1日 13:31
*注)この文章にはいくつかの読み方がある。数多ある良文に対峙するように「真剣に読む」の他に、「ハロウィンで獲得したお菓子を片手に、ただスクロールする」や「大人になってから中学時代の文集を見るように大笑いしながら」などである。どちらかと言えば後者をお勧めする。このような注を付するのは、筆者の羞恥心ゆえのことなので、どうかご容赦頂きたい。* 思えば「愛」について20年近く考えてきたようだ。
2018年7月9日 15:46
この度、幻冬舎より詩集『青い風花』を刊行いたしました。2015年に単行本として出版した作品ですが、今回は新作「組曲/巡る風花」を加えての増補新装版・文庫化になります。 詩や文芸について偉そうに語れる身分ではありませんが、あとから見返すと「文章のようで、言葉のようで、意味のようで……」、そんな詩集になったと思います。そして、私の作品のようで、もう私の作品ではない。きっと誰のものでもない花びらと
2019年4月2日 12:41
新元号「令和」。『万葉集』の序文を読んで、北宋の詩人・蘇軾(蘇東坡)による梅花の詩も思い浮かんだ。他国がどう、日本がどうとかではない。山中の遠い梅花を望み、平和について思いを馳せたり……梅の枝を小瓶に飾り愛で、平和を噛み締めたり……平和への祈念は国や時代を跨ぐ……と僕は信じる。
2018年12月27日 11:56
月に二度、木曜の休日を用意した。 冬の朝には、起きたらすぐにベッドルームのカーテンを全開にする。なかなか拭く暇もなく、土埃でコーティングされた窓。そこに陽が差し込んでも、冬の日差しはほんの少し頼りなくて、様々な人の営みに負けてしまいそうだ。 今日は曇りだった。雲たちさえ、人の味方をするのだろうか? 僕はベッドの上に陽の当たる場所を見つけて、そこに寝転がった、仰向けに。そして読みかけのアー
2018年11月12日 19:51
遠く隔たっているようで、すぐ辿り着ける国の、離れているようで、傍にある塔の話。 聞こえるか、摩擦で上げる雄々しい叫びが。見えるか、対比が示す猛々しい建造が。そうだ。上へ、上へ、上へと積み上げてきた塔だ。烈しさゆえに、物々しくも濃霧に隠された、輪郭と鋭角の象徴だ。 こんな伝説がある。塔の最も高いところに剣を突き立てた瞬間のこと。稲妻が龍の如く天へと昇り、分厚い暗雲をつんざく、と。霧が晴
2018年10月11日 17:31
遠く隔たっているようで、すぐ辿り着ける国の、離れているようで、傍にある泉の話。 立ち込める霧は視界の全ては遮らない。霧は、泉のまわりにある原生林や山々や、その輪郭と色合いをうまく柔和させている。目の前の光景をむしろ美しく、ただ美しく見せ、旅人らを妖しげに誘っていた。 霧と凪は仲良くしていた。ここでは晴れやかな陽気よりも、閑寂とした空気の方が似合うみたいだ。快活な太陽が照らせば、すぐさま光が