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【詩】兄の口から示された未来
やっとわかった。
「お兄ちゃんが愛されてたんだ。
僕が愛されていたわけじゃなかった。」
そう思っていたから、
復讐したかったんだ。
復讐の意味もわからないまま、
自分を傷つけて、
頑張ってるけどうまくいかないフリをすることで、
どうしたって失敗する人生を歩みたかったんだ。
そうすることが、
愛してくれなかった復讐になるから。
もういいよね。
だってもう、気づいちゃったよね。
【詩】かがみのせかいのいりぐち
鏡面世界の入り口は
或る夏の日の物語
なかなか彼を構ってくれなくなったお母さんに嫌気が差して
彼は少し家出することにしたのです
家出先はお風呂場の中
ふと足を滑らせて浴槽に飛び込んだ彼は
左右全てあべこべの
不思議な世界に迷い込んでいたのです
お風呂場を飛び出した彼の目の前には
やはり左右あべこべの部屋が広がっていて
しかしどこを探してもお母さんはいませんでした
でもそのかわりに
初めて