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辛いことから逃げろ、嫌なことと向き合え。

■自分の気持ちを分類する

自分でわかっているつもりでも、意外と整理できていないということは誰しもある。その代表例と言ってもいいことが、辛いことと嫌なことの区別だ。

別にどちらをどう捉えても構わないのだが、私は次のように考えている。

辛いこととは、精神が追い詰められ、逃げようがない苦しさを味わうようなこと。

嫌なこととは、出来ればやりたくない、面倒臭さを感じるようなこと。

人によって差異はあるかもしれないが、私はこう捉えている。このような形で分類すれば、自分が今感じているネガティブな感情が、どちらに属するものか整理することが出来る。

辛いことは、可能ならすぐにでも距離をおいたほうがいい。あなたの精神を蝕み、正常な判断力を失ってしまうからだ。やがては鬱症状を引き起こすことにもなりかねない。

では、嫌なことはどうか。嫌なことはプレッシャーになることもあるだろうが、実は大きく成長するチャンスにもなりうる。自分が本当にやりたいことがあったとして、そのためのヒントが転がっていることも十二分にありえるのだ。

辛いことと嫌なことの見極め方は意外と簡単である。それは、自分が「めんどうくさい」と感じたことは、たいてい嫌なことだ。そうではなく、その出来事に向き合った際、真っ先に「辛い」という感情が湧き上がったら、即座に逃げたほうがいい。それはもう、危険信号だ。

■辛いことは「義務」ではない

特に同調圧力に弱い日本人に多いことだが、辛くてもそれを耐えることが当たり前と思いがちな傾向がある。嫌なことはたいてい自分にも原因があるので、向き合ったほうが結果自分のためになることもある。だが、辛いことは百害あって一利なしだ。

たとえば、誰かと一緒にいることが辛いと感じたなら、それはすぐに逃げなくてはいけない。「ずっと辛いわけではないけど、辛い時がある」なら、それを伝えて改善を要求するべきだ。人間関係とは、お互いの存在あってのことなのだから。もしかしたら、相手もあなたに直してほしいと思っているところがあるかもしれない。とはいえ、それもどうするかは自分で決めていい。相手のために人生があるわけではない。

辛いことを「こうしようと決めたのだから」と思い込み、自分に義務を課し始めると、途端に思考停止に陥ってしまう。受け入れなくていい価値観を受け入れ、それが当たり前のように感じる。しかし、潜在意識では違和感を訴え続け、やがてそれは異常行動となって現れることもある。鬱症状ならまだわかりやすいほうで、アルコールやギャンブルの依存症、攻撃衝動や倫理観の欠如などになって現れることもある。

抑圧された意識が表に出ようとするあまり、本人も望んでいない形でそれは噴出してしまう。さらにいえば、他者の価値観を受け入れた状態で行動をしているため、古くから知っている人は「あいつは変わってしまった」と落胆することにもなる。

それでいて、向き合うべき「嫌なこと」からは逃げてしまう。それは、それ以上に「辛いこと」を我慢しているからだ。本人にとっては「辛いこと」を受け入れているだけで精一杯で、本当に向き合うべき「嫌なこと」など、些末なことに思えてしまう。結果として、本人にとっては望まないはずの現状維持が、本人もなぜそうしているのかわからないまま継続され、ジリジリと地獄が近づいてくる。

気づけば、多くの人間関係が壊れ、社会的地位は失われ、残されたものはボロボロになった自分だけ。そしてそれは決して他者からは理解されない。「本人の努力不足」「甘えているからだ」と言われてしまう。なにより、本人もそうだと思いこんでしまう。これを悲劇と言わずして、なんと言おうか。

■今この瞬間、向き合えば変われる

過ぎた時間は取り戻せないし、失ったものはどうしようもない。だが、自分自身と向き合えば、その瞬間から行動は変わる。歪んだ認知は、認知した瞬間に変化するのだ。

自分の行動のおかしさに気づき、何に自分が抑圧されていたかを知るということ。本当に辛かったことは何なのか、心の底から苦しいと感じることは何なのか。他の何から逃げても、そこからは決して逃げてはいけない。逃げれば、待っているのは底知れぬ闇だ。闇の中では楽にもなれず、後悔することすら叶わないかも知れない。

自分が辛いと感じること、苦しいと感じることに嘘をついてはいけない。誰がなんと言おうと、あなたが感じることはあなたにしか理解できない、あなただけの真実だ。他の誰にレッテルを貼られようと、そのとおりに生きる必要などどこにもない。

辛いことから逃げ、嫌なことと向き合うのだ。その時、あなたの人生は大きく変わっていくことだろう。ほんとうの意味で、あなたの人生を歩み始めるのだ。

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