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詩・オモウコトバ

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書きためていたり、書き下ろしたり。今や過去や未来の自分がオモウコトバを、まとめています。
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記事一覧

【詩】知らなくていいこと

【詩】知らなくていいこと

ある親子が、

欲しい超能力について話していた

息子が

「他人の心が聞こえるようになるのはどう?」

と聞くと

母は

「いいんじゃないかな」

と答えた

でも

その答えを聞いた当の息子は

「うるさくて仕方ないと思うよ」

と返していた

彼の中で

答えは決まっていたのだろう

隠している声が聴こえたところで

彼にとって良いことは

一つもないのだろう

人はつい、何もかもを知りた

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【詩】恨みの炎

【詩】恨みの炎

傷をつけられました

一生の重荷となる傷でした

傷は炎となりました

炎は人を傷つけました

炎は私を傷つけました

誰も私を助けてくれませんでした

恨んでいます

恨んで恨んで恨んで

恨んでいます

誰も彼もを

恨んでいます

救ってくれなかった人を

私を見てくれなかった人を

その全てを

恨んでいます

気づけば

気づかないうちに

体中が恨みの炎に

包まれていました

ある日

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【詩】兄の口から示された未来

【詩】兄の口から示された未来

やっとわかった。

「お兄ちゃんが愛されてたんだ。

僕が愛されていたわけじゃなかった。」

そう思っていたから、

復讐したかったんだ。

復讐の意味もわからないまま、

自分を傷つけて、

頑張ってるけどうまくいかないフリをすることで、

どうしたって失敗する人生を歩みたかったんだ。

そうすることが、

愛してくれなかった復讐になるから。

もういいよね。

だってもう、気づいちゃったよね。

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【詩】傷と罰

【詩】傷と罰

ああ、これは罰なのだ

傷つけたことをわかるための

自分の気持ちが暴れまわった

その罰がキズなのだ

キズはなぜできあがるのか

自分が何も気にしないからだ

何も気にしないことで

誰かを傷つけているから

深く傷を負ったときは

誰かを傷つけていることを知る

知り尽くしてもなお治せないキズを

僕らはどうしてまだ治せると思うのだろう

そのキズと付き合っていくことこそが

許されるための

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【詩】かがみのせかいのいりぐち

【詩】かがみのせかいのいりぐち

鏡面世界の入り口は

或る夏の日の物語
なかなか彼を構ってくれなくなったお母さんに嫌気が差して
彼は少し家出することにしたのです

家出先はお風呂場の中
ふと足を滑らせて浴槽に飛び込んだ彼は
左右全てあべこべの
不思議な世界に迷い込んでいたのです

お風呂場を飛び出した彼の目の前には
やはり左右あべこべの部屋が広がっていて
しかしどこを探してもお母さんはいませんでした

でもそのかわりに

初めて

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【詩】妖怪フラストレーション

【詩】妖怪フラストレーション

僕は今
フラストレーションの妖怪だ

当たり前な毎日の中で
少しずつ膿ができていくだけ
気づいたってどうしようもなくて

きっと僕が曖昧にしていたことが
今このからだを縛っているだけさ

「どうしようもないほどダメな僕だ」
とでも呟けば救われるか
やるべきことに手を出せないだけで
手を出せばほんとすぐなのにね

僕は今
フラストレーションの妖怪だ

特別な事情なんて無くて
中二病に成りたがってるだ

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【詩】あらゆるところで輝けるもの

【詩】あらゆるところで輝けるもの

上を見ると、星があった

綺麗とはいえないけれど、力強く瞬いていた

前を見ると、星があった

同じように、力強く瞬いていた

下を見ると、星があった

どこを見ても、星があった

そんなわけ、ないと思った。

星に、雲がかかった

どの星にも、雲がかかっていた

雲に、囲まれていた

必死で抜け出そうとして、手でかき分けても、雲は全く動かなかった

気がつくと、あらゆる方向から雨に打たれていた

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【詩】彼女は物語を大事にしていた。

【詩】彼女は物語を大事にしていた。

彼女は物語を大事にしていた。

その先に物語のある世界を選んで、歩む道を決めていた。

自らが綴られる、お気に入りの物語。

どんな危険や困難も、其の物語に組み込まれさえすれば、

彼女は満足していた。

僕は彼女の物語から外れてしまったから、

此れから話すことについて、真偽の程はわからない。

けれど、きっとそうだったのだろうと思う。

彼女はいつも、ここではない世界を見ていた。

好きな漫画

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【詩】雪の街

【詩】雪の街

朝、雪の街を歩いた。

ずっと静かだった。

音がすべて連れ去られて。

下りてくる雪が隠してしまって。

そんなような。

感覚。

体温の低下。

研ぎ澄まされ。

ひとつひとつを口に食む。

見ていた空が、隣にあって。

反転。

形になり。

結晶。

あとは、そう。

私が、降る。

【詩】自由でいい

【詩】自由でいい

言い訳するのをやめよう
本当にそうだと感じても
知ったかぶりをするのをやめよう
そのポジションが必要だとしても
分かったようなふりをするのをやめよう
それが処世術だとしても

俺はもっと自由でいい

踏みつけられ嘲笑われ失望され
それでいい
それでいい

そこに自由がある

人はそれを束縛と言うかもしれないが

それでいいのだ

履きちがえるな
自由でいいことと自由であ

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【詩】死ねない私が生き恥を晒す理由、そして私の絶望と希望

【詩】死ねない私が生き恥を晒す理由、そして私の絶望と希望

私にとっての絶望は、人から産まれる。

人との断絶は、私にとって、死に値する。
だから、私と繋がる人がいなければ、
私は直ぐにでも、生きることを止めるだろう。

私が死を意識する時は、私の愚かさを晒した時だ。

「この程度の人なのか」
「こんなこともできないのか」
「こういうことしてしまう人なんだ」
「残念だね」

例え其れが事実で有ろうと無かろうと、
いや其れが事実であるからこそ、
私は其れを深

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【詩】諦める

【詩】諦める

隣の人が、諦めると言っている

絶対かなうわけがない、とか

とにかく言う通りにしとけばいい、とか

こんなことできるはずがない、とか

やるだけ無駄だ、とか

諦めるとは、そういうことじゃない

そのことをはっきりとさせて、

しっかりと見極めて、

初めて、諦めることができる

どうして、そんなに簡単に諦められるのだろう?

闇は光に変えられるし、何もなければ生み出せばいい

強い壁にはしっか

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【詩】ゆれる

【詩】ゆれる

ゆれる ゆれる ゆれる ゆれる

ことばのうみで ゆれる ゆれる

きみのことばで ゆれる ゆれる

あついぞうおで ゆれる ゆれる

ゆれる ゆれる はんぱなこころ

ゆれる ゆれる みにくいあたし

ゆれる ゆれる なぜにゆれるの

あたしが よわいから ゆれるのかな

きみは よわいから ゆれてしまうの

あたしは ゆれて どうして なくの

きみの こころから こぼれた みず

くるしみも

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【詩】ぐるぐる

【詩】ぐるぐる

自分の中に渦がある。

迷いも怒りも嘆きもモヤモヤとしたものも、すべてが混沌としている。

時折そこに身を投じてみたくなる。どれだけ楽になるのだろうと妄想する。

ならないのに。なりえないのに。

渦は力だ。

力が僕を殴る、潰そうとする、苦しめる。

渦から抜け出す。

くたくた。ぐるぐる。きもちわるい。

落ち着いた。

綺麗だ。

目に見えるものが、綺麗だ。

息をすると、心地良い。

立っ

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