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心理学の再現性危機、そんなに不安になる事ないです〜頑丈な家を見つけよう
科学の再現性危機科学的な根拠を主張するための一つの条件に、再現性があります。再現性とは、ある一つの研究で報告された内容を、もう一回同じ手順で繰り返したときに、同じ結果が得られる状態を言います。
近年になって心理学を中心に、この再現性の低さが科学界全体で議論されてきました。コトの発端は、2015年にサイエンス誌で発表された論文です。この論文を簡単に要約すると、以下のようになります:
このプロジェ
一流の研究者になるにはどうしたら良いのか実際に一流の研究者に聞いてみた〜ビジョン編
研究者の中には、トップジャーナルに論文を常に掲載し、分野を超えて有名になる研究者がいます。
去年の夏に、ニューヨークで社会心理学の大学院生を対象としたサマースクールと言うものに参加して来ました。僕は「道徳心理学」と言うテーマのクラスに分けられ、ハイレベルな仲間と一流の研究者たちに囲まれた2週間をみっちり過ごして来ました。幸い、僕のクラスの講師陣たちは道徳心理学の最先端を行っている、イェール大のポ
COVID-19から予測できること:失業率・銃・自殺(アメリカの場合)
社会科学の理論と研究結果を使って、大胆な予想をしてみようと思います。
「コロナによって失業率が上がれば、自殺率が増える。特に、名誉の文化で知られるアメリカ南部の中年の白人男性において、その影響が顕著に見られるはず。」
失業率が自殺に与える影響
コロナが引き起こした経済への悪影響は、リーマンショックを上回るだろうと予想されています。特に予想されるのが、経済のストップによる失業率の増加です。
失
陰謀論が生まれる心理的背景を解説します
あなたは、2001年の9月11日に起きたアメリカの同時多発テロはアメリカ政府の陰謀だと思いますか?このテロは、アメリカ政府がイラクとアフガニスタンで戦争を始めるための口実を作るための、自作自演だと思いますか? 少しでもあなたがそう思うなら、その信念が形成された背景には、どのような心理的要素が絡んでいるのだろう?
今回は、一般的に陰謀論が生まれる原因について、進化心理学的なアプローチからの研究成果
2019年の目標はライティングを上達させる
明けまして少し経ちましたが、おめでとうございます。ハッピーニューイヤー。
今年の目標は、「ライティングを上達させる」にしたいと思います。
珍しく書けるアイディアが多くなってきたので、筆の進み具合が追いつかなくなってきました。なので、今年はタイミング的に自分のライティングを追い込む良い機会かなと思いました。
ライティングになぜこだわりたいかと言うと、論文の質は文章の質にも依るからです(心理学や
一流の研究者になるにはどうしたら良いのか実際に一流の研究者に聞いてみた〜パワームーヴ編
研究者の中には、毎年質の高い論文を数本生み出し、生涯の中で一つの分野において重要な功績を残すような超生産性の高い研究者がいます。幸いにも、僕はそのような方達数人に直接お会いする事があったので、その度に「成功する秘訣は何ですか?」と聞いてきました。その一部、特に「力技(パワームーヴ)だな〜」と思った具体的な数字を紹介します。
① 毎週最低でも72時間は仕事する (H.T教授、心理学の分野でも「文化
温暖化は戦争を引き起こすか?
先日、自分の大学にオスロの研究センターからゲストスピーカーを招いた講演があったのでその内容をメモ目的に記しておこうと思います。
スピーカー(Halvor Berggrav)と研究所のリンク(link)
内容はタイトルにもあるように、「温暖化は戦争を引き起こすか?(Will Climate Change Lead to War?)」と言う内容であったが、実際のところは「気温の変化は武力紛争にどの
多く引用される論文を書くにはどうしたら良いのか?
つい先日、心理学のトップジャーナル「Psychological Science」の30周年を記念して、Robert Sternbergが「インパクトのある論文はどのような論文か?」についてのアドバイスを記してたので、ここでシェアします。Sternberg自身も知能や創造性の研究の第一人者で、この30年の間に、最も多く引用された著者たちが(無意識にしろ意識的にしろ)実践している方法について彼が実際に
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