高杉海渡(KT)

採用、評価、育成、エンゲージメントなどの人事イシューに取り組んでいます。米国にてMBA…

高杉海渡(KT)

採用、評価、育成、エンゲージメントなどの人事イシューに取り組んでいます。米国にてMBA取得後、コンサルティング10年、事業会社経営10年。いまは物流企業にてHRBP。

マガジン

記事一覧

短期的には悲観的、長期的には楽観的

経営コンサル時代に先輩からよく言われていたのがタイトルにある言葉です。ビジネスマンたるもの、特に上司ともなれば、常にポジティブで明るく爽やかに、というのはよく言…

人事制度を改革する

経営コンサル時代に10社ほど構築支援に入り、その後事業会社2社で自社人事制度を改革してきました。いまの会社でも同じようにすすめています。 スタートアップでない限り…

14

定年制を考える

ある会議で「定年延長」がアジェンダに上がりました。 議論のなかで比較的若い役員が「私は定年延長には反対です。次の世代の成長を阻害する要因になります」「そういった…

7

MBOの運用

人事コンサルティング会社フォー・ノーツ社が実施した「人事制度・人事施策に関する実態調査2023」の「うまくいかなかった・失敗した人事制度」によると、 第一位:MBO(目…

5

トータルリワード(総合的報酬)

今年は大幅な待遇改善の年となりました。 今後は一過性ではなく、”継続的”に待遇改善が出来る企業にどんどん人が流れていくようになるでしょう。 さて働く人たちにとっ…

8

感情操作という業務をやめる

先日、新卒向け研修で役員講話を担当、せっかくなので彼女彼らの興味を惹きそうないくつかのトピックを選んで話をしました。 どれが印象に残ったかをアンケ―トで回答して…

9

人財マネジメント全体像

新年度が始まりました。 年明けから人事チームで次年度計画を策定し始めますが、全体像がないといけないので毎年同じような概念図を示しています。 これは人事コンサルタ…

9

成長マインド

ロミンガーの法則というのがあります。 人事コンサルティング会社のロミンガーが経営幹部の成長に対する調査を行ったところ、自らに役立った要素は、 ・70%が業務上の経験…

3

”生存者バイアス”に注意

世の中には「こうして私は東大に受かった」「たった〇〇だけで億り人になった」「逆境を乗り越えてきたからこそ成功できた」というキャッチが溢れていますよね。 私もプラ…

5

人事の仕事雑感

前回の記事から半年も間があいてしまいました。 人事としては春先に向けて忙しいときです。人事異動、待遇改善、予算策定などなど、毎日資料作りに追われています。 そんな…

18

評価に不満で会社を辞める

先日、重要なポジションにある方が退職しました。 退職理由は「一身上の都合」ですが、個人的に親しいこともあり、一杯誘って真の理由を聞いてみました。 「評価されなか…

15

最低賃金の大幅引き上げをチャンスにする

23年10月からの最低賃金改定は、全国平均961円から1,004円へ 43円の引上げとなり、過去最高額とのこと。 働く当事者にとっては「物価上昇に追いついていない、全然不十分…

1

ドラマから組織の学びを得てみる

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ビスマルク) 先日ある研修で「本能寺の変」から学ぶことは何かという問いかけがあり、まさにNHK大河ドラマでのタイミングもあ…

現場に出る意味

現場はお客さまとの最前線。 管理部門の管理職になると足元のマネジメントが忙しくなり、なかなかその現場へ足を運べないというのが実情です。 いや、そもそも現場に出る意…

職場の人間関係で悩んだとき(AIの回答)

高圧的な上司、派閥、同僚からの嫌がらせなど職場の人間関係は常に問題が山積しています。また「1:2:7の法則」でいうと、10人に1人の割合でとにかく自分のことを嫌う人…

現場理解と組織づくり

VUCAの時代では、現場最前線にある社員が自ら考え、自ら行動する組織こそが強いと常々思っているのですが、そのようにするためにはどうするかについて考えています。 たと…

短期的には悲観的、長期的には楽観的

短期的には悲観的、長期的には楽観的

経営コンサル時代に先輩からよく言われていたのがタイトルにある言葉です。ビジネスマンたるもの、特に上司ともなれば、常にポジティブで明るく爽やかに、というのはよく言われる言葉ですが、実際にはそう簡単にはいきません。

そもそも悲観的な気持ちや不安な気持ちは悪いものではなく、人類にとっては生き残るために必要な感情です。

サイエンスライター鈴木祐さん(ベストセラー「最高の体調」の著者)のYouTubeで

もっとみる
人事制度を改革する

人事制度を改革する

経営コンサル時代に10社ほど構築支援に入り、その後事業会社2社で自社人事制度を改革してきました。いまの会社でも同じようにすすめています。

スタートアップでない限り、すでに回っている制度があるので、ゼロベースでつくりかえるというのは実際にはありえない話で、いまある制度の残すべきところ、変えるべきところを区別していくことが最初の苦労になります。

基本はやはり社員の声だと思っています。評価する立場と

もっとみる
定年制を考える

定年制を考える

ある会議で「定年延長」がアジェンダに上がりました。
議論のなかで比較的若い役員が「私は定年延長には反対です。次の世代の成長を阻害する要因になります」「そういった意味で役職定年も非常に重要です」と発言されました。

世の中の動きはどうかというと、こんな記事が出ていました。

大和ハウス、ダイキン…「50代の壁」役職定年なくす企業相次ぐ(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

パーソル総合研究

もっとみる
MBOの運用

MBOの運用

人事コンサルティング会社フォー・ノーツ社が実施した「人事制度・人事施策に関する実態調査2023」の「うまくいかなかった・失敗した人事制度」によると、
第一位:MBO(目標管理)
第二位:在宅
第三位:フレックス
(以下、省略)
とのこと。

”MBO”がうまくいかない理由は、
①目標がトップダウンで降りてくるため、自主性が生まれなかった
②どうなったら達成としての評価になるのかが明確でない
という

もっとみる
トータルリワード(総合的報酬)

トータルリワード(総合的報酬)

今年は大幅な待遇改善の年となりました。
今後は一過性ではなく、”継続的”に待遇改善が出来る企業にどんどん人が流れていくようになるでしょう。

さて働く人たちにとっては賃金だけではなく、「お金以外の報酬」も重要です。

このお金とお金以外の報酬をあわせて、トータルリワード(総合的報酬)と言い、人事部門としては全体像をキチンと把握しておかなければなりません。

一般的には、
・金銭的報酬:給与、退職金

もっとみる
感情操作という業務をやめる

感情操作という業務をやめる

先日、新卒向け研修で役員講話を担当、せっかくなので彼女彼らの興味を惹きそうないくつかのトピックを選んで話をしました。

どれが印象に残ったかをアンケ―トで回答してもらったところ、圧倒的に「ディープアクティング」が多かったのに驚きました。

アンケートでは、
「私はちょっとしたことで腹を立ててしまうのですが、今日の海渡さんの話を聞いて、そういうときはディープアクティングを試してみようと思いました」

もっとみる
人財マネジメント全体像

人財マネジメント全体像

新年度が始まりました。
年明けから人事チームで次年度計画を策定し始めますが、全体像がないといけないので毎年同じような概念図を示しています。

これは人事コンサルタント坪谷邦夫さんの名著「図解 人財マネジメント入門」を参考に自社にあてはめて検討したものです。
これをみると各機能に矢印が向かう「評価制度・等級格付け」がど真ん中であることが理解できます。

当チームでは「評価制度が人財マネジメントの一丁

もっとみる
成長マインド

成長マインド

ロミンガーの法則というのがあります。
人事コンサルティング会社のロミンガーが経営幹部の成長に対する調査を行ったところ、自らに役立った要素は、
・70%が業務上の経験
・20%が人間関係
・残り10%が研修
という結果だったとのこと。
この「70:20:10」の比率がロミンガーの法則です。

このバランスは非常に大事で、どの企業でも人財育成となると研修だけをイメージしますが、実はいかに”業務のなかで

もっとみる
”生存者バイアス”に注意

”生存者バイアス”に注意

世の中には「こうして私は東大に受かった」「たった〇〇だけで億り人になった」「逆境を乗り越えてきたからこそ成功できた」というキャッチが溢れていますよね。
私もプライベートでも仕事でもそういう類の本に飛びついてしまいます。もちろん役に立つ部分、参考になる部分は確実にあって、それはそれでよいことなのですが、組織でのリアルな状況では大きな問題があります。

組織マネジメントにおける「認知バイアス」を学んで

もっとみる
人事の仕事雑感

人事の仕事雑感

前回の記事から半年も間があいてしまいました。
人事としては春先に向けて忙しいときです。人事異動、待遇改善、予算策定などなど、毎日資料作りに追われています。
そんななかでも自分を見失わないために、週末は鎌倉に足を運び、静かな時間を過ごすようにしています。

私もいつのまにか62歳となり現役でいる時間も先が見えてきたように思いつつ、「まだ何も成し遂げてないじゃないか」という焦りにも似た感情に日々突き動

もっとみる
評価に不満で会社を辞める

評価に不満で会社を辞める

先日、重要なポジションにある方が退職しました。
退職理由は「一身上の都合」ですが、個人的に親しいこともあり、一杯誘って真の理由を聞いてみました。

「評価されなかったので辞めることにした」

私から見ても仕事はキチンとこなしているし、周囲とのコミュニケーションもとれている。評価もされていないわけではなく、標準よりも上。

それでも「評価されなかった」というのが本人の感触。本人としてはこの春にワンラ

もっとみる
最低賃金の大幅引き上げをチャンスにする

最低賃金の大幅引き上げをチャンスにする

23年10月からの最低賃金改定は、全国平均961円から1,004円へ 43円の引上げとなり、過去最高額とのこと。

働く当事者にとっては「物価上昇に追いついていない、全然不十分」であるかもしれません。またマクロ経済的にも先進国の水準からするとまだまだ不十分です。国としては2030年までに1500円を目指すということで、今後も大幅な引き上げが続くものと予測されます。

一方、経営としてはしっかりとし

もっとみる
ドラマから組織の学びを得てみる

ドラマから組織の学びを得てみる

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(ビスマルク)

先日ある研修で「本能寺の変」から学ぶことは何かという問いかけがあり、まさにNHK大河ドラマでのタイミングもあり、よい学びになると思いました。

事件の真因は諸説あり、それによって学ぶところも変わってきますが、人間の本質、日本人の本質は500年経ってもそう変わらないという前提に立てば、組織マネジメントや上司の在り方を考えるうえでは非常に興味深い

もっとみる
現場に出る意味

現場に出る意味

現場はお客さまとの最前線。
管理部門の管理職になると足元のマネジメントが忙しくなり、なかなかその現場へ足を運べないというのが実情です。
いや、そもそも現場に出る意味があるのかという逡巡もあります。

私は人事担当役員として2社経験していますが、ザックリいうと、
A社:役員は城(自部門)にいて城を守る
B社:役員は城下に出て対話
という違いを経験しています。

どちらがいいということではなく、経営の

もっとみる
職場の人間関係で悩んだとき(AIの回答)

職場の人間関係で悩んだとき(AIの回答)

高圧的な上司、派閥、同僚からの嫌がらせなど職場の人間関係は常に問題が山積しています。また「1:2:7の法則」でいうと、10人に1人の割合でとにかく自分のことを嫌う人が普遍的にいます。

特に転職したり異動したりして新しい職場へ行くと、必ずといっていいほど自分を無条件に受け入れない人がいるものです。

ちなみに私自身がいま悩んでいるわけではないですが、そういうのもひっくるめてどうするかをChatGP

もっとみる
現場理解と組織づくり

現場理解と組織づくり

VUCAの時代では、現場最前線にある社員が自ら考え、自ら行動する組織こそが強いと常々思っているのですが、そのようにするためにはどうするかについて考えています。

たとえば、あるルールを徹底させるためには、当たり前のことですが、
・目に見える形にする(社内ルール化)
・それを掲示する
・管理責任者を明確にする
・できているかどうかのモニタリングをする
・違反した場合の罰則をつくる
などが考えられます

もっとみる