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評価に不満で会社を辞める

先日、重要なポジションにある方が退職しました。
退職理由は「一身上の都合」ですが、個人的に親しいこともあり、一杯誘って真の理由を聞いてみました。

「評価されなかったので辞めることにした」

私から見ても仕事はキチンとこなしているし、周囲とのコミュニケーションもとれている。評価もされていないわけではなく、標準よりも上。

それでも「評価されなかった」というのが本人の感触。本人としてはこの春にワンランク上のポジションになるとばかり思っていたのが「ステイ」だったので、それが不満だったようです。

ところで、退職理由のなかで評価制度に不満で会社を辞める割合はどのくらいなのかを検索すると意外に低かったりします。
しかし、「退職理由の本音」という類のデータをみると「人間関係」の次に出てくることが多いようです。

表向きの退職理由
1.家庭の事情
2.やりたいことがほかに見つかった

・・・

本音の退職理由
1.上司が嫌い
2.職場になじめない
3.人事制度、評価制度がダメ
・・・

上司問題や評価制度のことを持ち出すのは、辞めたあとを考えるとメリットにならないので、表にほとんど出てこないのでしょう。
しかし、仕事がそこそこ出来る人ほど「評価への不満」で辞める傾向があるように考えられるので、意外に多いはずです。

では、人事制度のどこに不満を持っているのでしょうか? 
人事コンサルティング会社識学が調査したところによると、
1.評価基準がわからない
2.報酬に反映されない
3.評価者による差がある
4.自分を理解していない人が評価している
5.評価を何に反映させているのか不明
6.自己評価と会社・上司の評価に差がある

となっています。

今回辞めた彼は「自分は〇〇長になると思っていたが、そうならなかった」という自己評価と会社評価の差に失望したわけですが、大局的には1から3すべてに不信感をもったように思います。


私は過去コンサルとして何社かの人事制度設計に携わったことがあり、事業会社にても人事担当役員として人事制度刷新・運用にあたりました。いまの会社ではまだ人事制度には手をつけていませんが、完璧な制度などありませんので、いずれやっていかねばなりません。

これまでの経験を踏まえると、
・人事制度とは「個人の成長」と「組織の成長」をリンクさせること
・頑張った人が報酬でキチンと報われるようにすること
・客観的な評価は不可能、評価者は自分の主観をピカピカに磨くこと

であるとシンプルに考え、評価項目は複雑にせず、期待と結果をしっかり話しあって合意点をみつけるような運用がいちばんよいように考えます。

まずは人事制度の軸の考えをしっかり示して、評価への不信感を払しょくしていきたいと思います。