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エッセイ(試論)集

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いろんなエッセイ(試論)集です。これがメインです。
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記事一覧

私を愛するということ、世界を愛するということ、誰かを愛するということ

私を愛するということ、世界を愛するということ、誰かを愛するということ

 自己の同一性と世界が同じこの世界であることの同一性はコインの表と裏のような関係にあり、それらは岩井克人が現存在について述べたように、循環論法のうちにある。世界がこの世界であることは、私がこの私であることに基礎づけられ、私がこの私であることは、世界がこの世界であることに基礎づけられる。私がこの私であったから、世界はこの世界であるのであり、世界がこの世界であったから、私はこの私であるのだと。

 な

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貨幣の中の貨幣、バンコール

貨幣の中の貨幣、バンコール

 ケインズは第二次世界大戦後の国際通貨体制を話し合ったブレトンウッズ会議でバンコールという国家間の決済制度を提唱した。

 バンコールは各国間の決済手段を一元化し、貿易収支不均衡是正のため、赤字の国の通貨を減価し、黒字の国の通貨には逆を行う。これにより、国家間の貿易摩擦を低減し、戦争の要因を減らすことを目指す。

 それは決済手段を一元化するという意味で、各国通貨を商品とする貨幣、それはいわば貨幣

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龍樹へのトリビュート――反時間的独我論の真理について

龍樹へのトリビュート――反時間的独我論の真理について

 8~9年前、私が精神病院に行くことになる直前、発狂する直前に書いた「時間論」に手を加えてここに供養したい。南無阿弥陀仏。見直すと精神に異常をきたす手前とあって、色々イカれている。おかしな記述も多い(今だってそれを正常に判断できるのか?)。

 正直思い出したくもないロクでもない過去だけれど(そんな過去ばかりだ)、カルロ・ロヴェッリの『時間は存在しない』や龍樹の『中論』を読んでいて、それらが自分の

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カントに関する覚書

カントに関する覚書

交換とカントの倫理

 契約は相手に対価を支払うことで、ある効用を得るものである。その交換は、効用ないし対価の獲得という目的に支配されている。柄谷行人はカントの倫理は資本主義を否定するといった。それは正しい。純粋な交換様式Cの世界は効用ないし対価を目的とし、他者それ自体を目的として扱うことがない。

 ただし、それは他の交換様式も同様だろう。交換はそもそも見返りを期待するものであるからだ。カントの

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憲法9条の光をあまねく世界に

憲法9条の光をあまねく世界に

 地球上の全ての国家の憲法に、日本国憲法9条と同内容の条文(戦争の放棄、戦力不保持、交戦権の否認)を記すよう要求しませんか?

 世論や国家間の分断、グローバル経済の退歩、ウクライナ侵攻、台湾有事の危機、現在世界は第三次世界大戦勃発の危険に近づいているのではないかと思います。私にはその発生の確率がどれほどかはわかりません。
ただ、危機のそもそもの原因は国家が相互不信により戦力を保持、増強していくこ

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Project KosmopolitesⅠ

Project KosmopolitesⅠ

 分断への対抗、格差の問題や環境問題への対応、ジャーナリズムやアカデミズムの支援の実践として、自分なりに考えている2つのオプションをここに書き連ねたい。これは暫定案であって、最終的にどうなるのかとか、うまくいくのかとかはわからない。

Project ElenchosⅠ

概要

 イメージ図でほとんど何をするのか語りつくされているかもしれないが、消費者、アカデミック人材(とその卵)、ジャーナリス

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RPGゲームの資本論

RPGゲームの資本論

 HP、MPを消費することでHP、MPを増やしていくって、なんか資本家みたいだなとふと思ったというお話。

 ちゃんとクリアしたRPGはゲームボーイアドバンスのポケモンくらいが最後で、ドラクエやFFは友達がしているのを後ろで見ているくらいだったからなんとも言えないが、この手のRPGの基本的なシステムというのは変わっていないのではなかろうか。

 プレイヤーは貧弱な初期ステータスを元手に、ストックと

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星たちの光をめぐって――いくつかの岡村天斎監督作品について

星たちの光をめぐって――いくつかの岡村天斎監督作品について

 ここに書こうと思うのは岡村天斎監督作品のうちのDARKER THAN BLACKシリーズと、世界征服〜謀略のズヴィズダー〜についての考察だ。多分、Wolf’sRainについても書けば、もっときっちりした流れを追えるはずだが、しんどいから無理だ。クロムクロについてはこの流れの中で解釈が出来ないので無理だ。

 DARKER THAN BLACKについては何度か少しネットで調べたが、きちんとこの作品

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限りない学びへ

限りない学びへ

目的

 文章を電子媒体に記録し、それを閲覧できるようにWEB上で公開するということは、その行為を行う人が、閲覧者の保有しない何らかの有益な情報を持っており、対価のためにそれを「話す、教える」ために行うということも多いと思う。けれど、私が今日からここで文章を書くことで始めてみたい試みはそれとは違う。

 というのも、私は知識人ではなく、特段自身の頭脳が秀でているわけでもなく、閲覧者にとって何ら有益

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