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僕の写真を使ってくれたnoteたち

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みんなのフォトギャラリーで僕の写真を使ってくれたnoteのうち、とくにみなさんに紹介したいnoteを集めました。
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#ショートショート

【小説】 組員、全員老人 【ショートショート】

【小説】 組員、全員老人 【ショートショート】

 かつて三百人を誇る組員を有しており、その街を仕切っていた「大隈組」は暴対法の時代と共に規模を縮小して行き、今やかつての勢いは見る影もなく、衰退と共に組は年寄所帯へと成り下がってしまった。 

 会長は今年九十歳になる大隈源次郎。胃ろうの身体をベッドに横たえてはいるが、いつかやって来るその日を待つ眼差しには光の鋭さがわずかに残る。 

 組長山岡は今年八十三歳になるが、身体は草臥れていてもハキハキ

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【エゴ】偏りを海に浸ける【サドマゾ】

【エゴ】偏りを海に浸ける【サドマゾ】

偏りを海に浸ける

夜の浜辺を僕達は歩く。割れてしまった子供用の手鏡に、月がいくつも映り込んでいる。なんでこんな見え方になるんだろうか。この世には不思議でわからないことがありすぎる。寄せては返す波は時折大きく砂浜を侵食し、汀に転がる貝殻がカラカラと響かせる。ここ最近、目の前で次から次へと価値観が通り抜けていくのを見続けていたからか、僕は、僕というモノが何だかよくわからなくなっていた。

海は人間の

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〔ショートショート〕        几帳面で忘れっぽい

〔ショートショート〕        几帳面で忘れっぽい

 早朝の太陽の光を背中に浴びて、男がポスターを貼っている。

「1日増えた今日を、休日にしなかった人間を好きになる方法募集」

 男の身長が高いせいなのか、長い手足でポスターを貼る後ろ姿がどこか不器用に見える。白地に黒のストライプのスーツにネクタイ、柔らかくかき上げたオールバックには赤いメッシュが入っている。結んだ口元には、黄色のラメ入りリップ。その顔は険しく、真剣である。
 知り合いに頼んで、こ

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じんせいゲーム 13

じんせいゲーム 13

🚙:[所持金]198000円(手持ち)/250000円(ATM) [職業]タレント [保険]火さい保険 自動車保険 [アイテム]流れ星

🚗:死亡

🚕:死亡→ATM

🚙「うわっ!」

🚙「あ、ありがとうございます」

🚙「うわー!!!!!!マジか!!!!!!当たりました!!!!!!」

(続く)

【ショートショート】散歩日和

【ショートショート】散歩日和

 今日は天気がよい。
 私はカーディガンを羽織って、散歩に出た。
 目の前には背中を丸め、ヨチヨチと歩くロボットがいる。
 あぶなっかしい。
 おまえは家で留守番をしておれと言いたいが、恥ずかしながら、私自身も似たようなものだ。ロボットには私の骨年齢を入力してある。
 金木犀の薫るなか、ロボットは住宅地の路地をとぼとぼと歩いて行く。このあたりはでこぼこが少なく、飛び出してくる車にさえ気をつけていれ

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【過去作】横断歩道にて【垂れ流すPART2】

【過去作】横断歩道にて【垂れ流すPART2】

横断歩道にて

少しずつできないことが多くなってきて、指折りで数えられた不安は、両手の指では足りなくなりました。気づけば頭の中は不安でいっぱいです。最近横断歩道を渡るのがとても怖いのです。歩行者用の信号機の青色には歩き出す人間が描かれていますが、私は本当に進んでもいいんでしょうか?もしかしたら他の人間にだけに向けたサインで、私は渡ってはいけないという意味ではないですよね?もし違ったとしても、注意し

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シロクマ文芸部 | 物書きジム

シロクマ文芸部 | 物書きジム

本を書く人々の間で人気のトレーニングジムがあった。それは神保町よりは九段下寄りの、寂しげな住宅街の中にある。
いかにも物書き風情が好みそうな、ボロアパートの一室を改造して作られたジムには、数人の男たちが出入りする様子が見られた。
「ああ、どうも」
「ああ……」
いかにも人付き合いが苦手そうな男二人が、ほとんど同時に入口のドアをくぐる。

「おたくは、えっと……」
「毒婦。、アンダーグラウンド、殺人

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【詩】Hi melody.

【詩】Hi melody.

物語を語る

その物語に無為で静かな息づかいがあれば

人は耳を澄ます

ただそこにある風であったり

目に焼きついた陽の光だったり

留める事の出来ない無数の息づかいは

纏まることを嫌い

そうであるから

僕らは物語に思いを馳せる

語るべき時に語れないのは嘘になる

年老いてあらゆるものが乾ききってしまうと

語るべきことが億劫になってしまう

まるで渇いた口びるで愛を囁くのが億劫なように

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禁断の研究【短編小説#29】

禁断の研究【短編小説#29】

「何度やってもだめだ。あと少しなのに、何故なんだ。まだ僕にはできないのか。」少年は頭を掻きむしりました。

幼少の頃から神童と呼ばれた少年は、5歳で博士号を取得し、10歳になった今、医学者としてある研究をしています。それは、一度死んだ人間を甦らせる、禁じられた研究でした。

亡くなったおじいちゃんともう一度話をしたいという、純粋無垢な想いがきっかけで研究を始めましたが、うまくは進みません。

死ん

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箇条書きストーリー

箇条書きストーリー

誕生編①職場で出会った父と母の間に産まれる
※共働きのため保育園に宿泊したりもしていた

②小学校入学前に両親が離婚し母親に引き取られる
※放課後は学童や母方の祖父母宅へ預けられていた

③一部の同級生から悪口や陰口を言われる始める
※先生からは評価されていたのでダメージは少ない

④母親に意見ややり方に疑問を持ち出す
※自分の言う通りにしておけばいいという主張

⑤音楽LIVEを体験して歌手とい

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