太陽を見間違えるひとはいない〔ショートショート〕
7月のある雨降りの午後に、僕は太陽にそっくりな女性を見かけたんだ。
その日は内科の受診のために、駅前の総合病院を訪れていた。僕は看護師から渡された体温計で検温しながら椅子に座り、名前が呼ばれるのを待っていた。彼女が現れたのはそのときだった。
これはべつにその女性が、輝くほどの美人だったという話ではない。寧ろ、彼女は地味な顔立ちをしていていた。身長もどちらかといえば低めで、胸やお尻もぺたっとしている。洋服の着こなしだとか、美容に気を使っているとか、そういった目立つタイプの