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ポエム・エッセイ

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ポエムのまとめです。わたしの頭の中は、こんな感じです。
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空模様

空が包んでいるのか、空と一緒に浮かんでいるのか分からないけど、勝手に僕らはその中にいる。 そして、好きなうたを歌って、美味しいものを食べて、誰かを好きになった。 その日の空はとびきり良くて、自分とセットで一日が造られる気さえするんだ。 でも空はいつでも、誰かにとってはとびきり良くて、もっとも悪くて。 勝手に僕らはその中にいる。 雲が動いて、僕らが動いて。 誰かの空を、今は見てる。

透明反対主義〔ポエム〕

 声に出して伝えたい言葉は目に見えないのに、太陽は馬鹿みたいに照り続ける。そのくせ眩しいから堪らなくて細目にする。世界はいつも細長い。  どうにかしてカタチにしたがる。色を付けて絵を描いて、文字に起こして手紙にする。歌にして皆で震わせて、よく見えるように涙で洗い流したらやっと安心できた気がして覚えていられるんだ。  曇ったメガネを拭く前に、ふと、白く霞んだ世界には知らない何かがあるような気がして手を止めた。  そこに誰かいますか?

否定的思考〔詩〕

外が好きだった 空があって 匂いと風と 楽しいルールをつくって 笑って 喧嘩して 見上げながら反抗して 下を向くのは 不思議なものを見つけたとき 変わらないような気がした日 誰かが街を連れてきた それから 少しして 街と外が一緒になった日 夜が笑って見えて 朝が嫌になった 誰かが混ぜた みんなを騙すために

嘘と忘却の間〔ポエム〕

眼鏡をメガネクロスで拭いて汚れをとった。外は雨、またメガネが汚れる。 夜型は遺伝子でキマっているらしい。 だから、お前が苦しいときを気楽に過ごしてしまった。不幸を知らせる電話にもすぐにでることができた。 次の朝に涙がでた。これから始まる世界を洗い流すために。 頭の中でする会話はいつも最低で、雨の中でする鉛筆書きのスケッチブックみたいに汚いのに捨てられない。 溶けた世界が意味ありげに部屋の壁に飾られているのは、普通の日。 雨が汚れを流すのは、悪い日。 ねじれた木曜日。

スリッパ〔詩〕

ただ並んで置いてあるだけで ストーリー見せてくるんじゃないよ。 部屋用はもういらない わたしのはあるから。 ……。 そんな風に 足跡を残すのはずるいよ。

同仕様もない〔ポエム〕

ボコボコと雨雲が流れるのを下から観ていると、 雪が積もったあとの川のように見える。 途切れている雨雲の側面が白く光るから、 上には太陽があるんだと当たり前のことを思い、 また、 どこまで流れていくのか分からない 灰色の雨雲の濁流を無言で送り出す。 雨雲の腹は、遠くの 山々の頭すれすれのところから何かを舐め取り、 排水溝をひたひたにして騒ぎ、 屋根を打つ雨水を残して去っていった。 そんな熱気の中、駆け足で追いかけた。 いなくなった春を。

雨の日に傘をさすことみたいに〔詩〕

ある男はとても怖かった 忘れてしまうのが 冷静になってしまうのが いつか 原因はきっと 今なら否定するようなことなんだ 意味がないとか 本当にいるのかとか その先へは行けないとか 犠牲が大きいとか 疲れたとか 天気が悪いとか 嘘じゃなかった寂しさが 蒸し暑い夜の湿気と一緒に 欠けた月を満たして 終いには 嬉しい日に 間違って泣いてしまったりするから 雨が降る 傘をさすためじゃなく 涙を隠すために いつまでも土砂降りの中に立っていたら 気持ちだけを世界に残して 溶けて流れ

秘密裏〔詩〕

手紙には 自分を 喉のちょっと下にある 音がしない自分を 包む 静かにしているだけで どうしてか おしゃべりするより 伝わる ニ、三回折り曲げただけで 願いも 想いも 喜びも 哀しみも なんでか知らないけど はみ出さないから 抱きしめなくても あなたを感じます 授業中の 女友達に「回して」と渡される キミからの小さい手紙には なにが書いてあるか 分からないけど キミが笑っているから ボクはドキドキします 手紙には そんな効果もあります #シロクマ文芸部

ある日の昼前に〔詩〕

根拠の無い 愛だとか優しさとか そういったものを大切にした世界に 納得できない時間が訪れる だから分析し シンプルな項目に細分化して 順番に書き出していく それが解明するのは当たり前なくらい 彼は優秀だったから 世界は 再現可能な「根拠の無い」ことを 完全に複製して 価値が薄くなったことを気にせず 口にする 彼はひとり 黒板に書き出していく 自分が納得するまで チョークを押し当て 誰に見せるわけでもないのに 順番にこだわって書いた そんな ある日の昼前に シンプルな項目が

いまは、とりあえず人差し指を唇にあてて〔詩〕

距離を取るために卵に入る 嫌なものから離れるためだろう そう決めつけたように囁かれた 別れが辛いのは その日が来るまでわからない 鈍感なボクだから 淋しいと誤魔化す あまりにも思い出が楽しすぎた 原因はそれだけの でもそれが問題で 転がるのが面白くて見ていたボールが 急に崖の下に消えていくときに 反射的に駆け寄ることは意味をなさず 消えてしまったボールは 世界から消える 世界から ボール遊びを楽しむ人達の 笑い声を無くそうなんて それこそ淋しいから 自分が卵に入れば済むこ

いつもの紫陽花〔詩〕

転校初日の中庭に 膨らんでいたのは青い紫陽花 空の色をそのまま透かしたような色 それが わたしの月曜日 優しいキミのいる教室は 次の日からは楽しい わたしのクラス 隣の席のキミはわたしを見て なぜか頰を赤くしていた 二人だけの秘密がすぐにできて 帰りの時間  並んで歩いた火曜日 恥ずかしがり屋のキミは 好きな人はいないと言ってた 紫陽花みたいに笑ってるけど わたしはいつまでも待ってないわ 見逃しちゃったら ごめんなさい また同じ場所に咲くまで待ってれば もどかしいから

想う 〔詩〕

となりに並んで座るのが好き 自分が鳥だって気がついていれば 少し苦しいときも 切り抜いた空を 憧れることも無かったのかも 翼を腕と呼んでいた昨日は 汚れを洗い流して 猿のつもりになっていた 猿が嫌いな訳じゃなくて 一緒にいた猿たちは大好き 誰よりも大切な気持ちに嘘はない でも 上手くハグできないのは 自分の心が 未熟だと思っていたけど 翼でするコミュニケーションとしては やり難かっただけみたい だから今日も並んで座る 切り取った空を見ながら それだけで 嬉しい

ゾンビは不思議〔詩〕

骨に肉を纏って動いているから 意識があるから 食べるから 生きている人だから でも 骨に肉を纏って動いているけど 別な意識があるけど たまに食べるけど 死んでいるらしい 動いていても 魂がある時とない時があるみたい どこが違うのか 笑わなくて 怒らない AIが進化して 人型のロボットが完成したら それはなんだ 肉と骨と笑いと怒りが無い だんだん可哀想になって 好きになって 信頼したら 生きていると認める 魂は無いけど それはいつかくる それは名前で呼ぶ

そういうもんです

 気温31度から冷房の効いた床屋の店内に入る。受付をしながら、混んでいても予定を変えなくて良かったと思えるくらい快適な温度に喜び、待合室の椅子に座った。駐車場の時点で混んでいるのは分かっていたから、読みかけの電子書籍を開く。  頭がスッキリしている。髪を切る前からおかしな感じだがそうではなくて、眠気や足を組み替えたときの身体の重さまで無くなったような「スッキリ感」がしている。  読書がなかなか進まないときがある。そんなときは、今日は疲れているからを筆頭にして、椅子をもっといい