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雨の日に傘をさすことみたいに〔詩〕

ある男はとても怖かった
忘れてしまうのが
冷静になってしまうのが

いつか
原因はきっと
今なら否定するようなことなんだ
意味がないとか
本当にいるのかとか
その先へは行けないとか
犠牲が大きいとか
疲れたとか
天気が悪いとか

嘘じゃなかった寂しさが
蒸し暑い夜の湿気と一緒に
欠けた月を満たして
終いには
嬉しい日に
間違って泣いてしまったりするから

雨が降る
傘をさすためじゃなく
涙を隠すために
いつまでも土砂降りの中に立っていたら
気持ちだけを世界に残して
溶けて流れることができるだろうか
その可能性が少しでもあるから
男は傘をささなくなった






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