【小説】 ゼロポイントエネルギー 【ショートショート】
「博士、こちらが完成品になります」
「テストはしたのか?」
「ええ。十分の一の出力ですが……銀河が二、三吹き飛びました」
「そうか。その程度で済んだのなら、まぁ良いだろう」
「この蓄電池はエネルギーの究極……ですね。実際に作れてしまったことに、正直慄いています」
「その反応は素晴らしいことだ。突発的な進化を前にすると人は誰でも恐怖する。それが人類の歴史だよ」
「作動、させるんですか?」
「あぁ、作り替える為にね。突然の進化をも厭わない、そんな人類がいる世界にしなければならない