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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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記事一覧

【小説】 アイアム・スリラー 【ショートショート】

 何不自由ない暮らしを四十半ばで形成した。以後、妻も子供達にも不自由などさせたことはない…

大枝 岳志
12時間前
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【小説】 逆上がり 【ショートショート】

 一九九四年。秋の風が砂埃を舞い上がらせる夕景の霞む校庭の隅、一郎は鉄棒を握り締めたまま…

大枝 岳志
2日前
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【小説】 マジいかちい! 【ショートショート】

「マジだりぃ」 「だりぃ。つーか、クソだりぃ」 「タバコ切れそうなんだけど。うわっ、だりぃ…

大枝 岳志
3日前
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【小説】 戦争はもうやめよう 【ショートショート】 

 とある国の将軍は日々、思い悩んでいた。  外貨獲得の為にデモンストレーションとしてミサ…

大枝 岳志
5日前
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【小説】 斎藤君の変 【ショートショート】

 いつものように学校へ行こうと家を出て、同じクラスの斎藤君が来るのを僕は通学路で待ってい…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 既知との遭遇 【ショートショート】

 中学を卒業してから十五年。青春もだんだん遠い昔だなぁなんて思えて来た今日この頃だったけ…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 夜のない街 【ショートショート】

 あまりに短い夏が過ぎると、名残を惜しむようにこの街の太陽は沈むことがなくなり、空は夜の存在をすっかり忘れてしまう。  一日中薄明りに照らされた極寒の霧が晴れる頃、外へ続く道のないこの街の中央へ、生活物資が投下される。  この街で生まれ育った私は、今年で十五歳になる。  けれど、世界の誰よりも世間を知らないし、世界の誰よりも冷静な目で世間を知っているつもりだ。 「ヴェラ! 信じられない物が届けられたよ!」  同級生のイヴァンが興奮気味に私の所へやって来て、DVDのパッケ

【小説】 干乾びる千の鐘 【ショートショート】

 小学四年の夏休みを迎えていた悠斗は昼間、居間で流れるアニメの再放送に見入っていた。夏休…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 彼方のサンマ 【ショートショート】

 半分人間の私はロボ部長に言われた通り、魚の中でも特級に美味いと言われている「サンマ」を…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 川沿いに花 【ショートショート】

 僕の住む公団団地はこの街の墓標のように、川沿いにひっそりと並び建っている。  雨の多い…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 ゼロポイントエネルギー 【ショートショート】

「博士、こちらが完成品になります」 「テストはしたのか?」 「ええ。十分の一の出力ですが……

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 ワニと盲目、そして棍棒 【ショートショート】

 ロダは細工にちょうど良さそうな木の棒を村の隅で拾い、誰かの落とし物ではないことを目線を…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 新しい刑罰 【ショートショート】

 架空請求詐欺事件を起こし、主犯としてパクられた俺に実刑が下された。  寝てても情報が拾…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 月並みの裏切り 【ショートショート】

 プレゼントの箱を開けた途端、それまで浮かれ調子だった彼の表情が一変した。  箱から取り出された彼が「欲しい」と言っていたはずのスマートウォッチは、指の毛の少ない彼の手によってテーブルの上に無遠慮に投げ出された。 「柚乃さぁ、コレ違うじゃん。こういうのってさ、裏切りじゃない?」 「でも……翔也が欲しいって言ってたのと色も形も合ってるはずだよ? 私、何度も確認したもん」 「だから違ぇって! 今は違うんだよ。オレンジ欲しかったけど、もう気分じゃねぇんだよなぁ」 「そんなの……言