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#RTした人の小説を読みに行く をやってみた【第1回総評】
「書評・批評がそれ自体独立したコンテンツとして楽しめるように」をテーマとしてはじめた、「#RTした人の小説を読みに行く をやってみた」は、ひとまずイキりすぎて炎上することなく、無事に10人の作者の10作の小説についてレビューをつけることができた。
これはひとえに応援してくださっている方々と力作を惜しみなく寄せてくださる実作者のみなさまおかげで、また文学好きの方々をはじめ、作家・編集者・書店員・校
たつひこさんのこと。
はじめてできた小説を書く友だちは「たつひこさん」というひとで、「たつひこ」という名前は旦那さんの名前なんだと教えてもらったのは、小説投稿サイトで何回かコメントをつけたあとだった。
いまでこそ小説を書く友だちというのは増えたのだけれども、いまもむかしも変わらないのは「書く」という営みだけが生命線ということ。書くのをやめたひとはたぶん自分でも気がつかないうちに小説を書くのをやめてしまっていて、い
故郷に海ができる【掌編小説】
あなたゴルフする? あたしはしない。でも穴のことなら分かる。ほらグリーンに空いているまあるい穴。あれって不思議な大きさよね。大きすぎもせず、小さすぎもせず。他の何にも似ていない穴。すごく的確な空洞。
パパが開けた穴もちょうどそれと同じくらいの大きさの穴だった。
園芸用のスコップを持っていきなり庭の畑を掘り始めたの。畑っていっても趣味(というかパパの暇つぶし)の家庭菜園用だから、全然猫の額みた
娘の恋人に説教する。
度肝を抜かれた。
四つ辻右折出会い頭。
ほんの僅かな隙を突かれる。
山高帽子の気取った男が、にやにやと嗤ってぼくを見る。
黒山羊みたいな男だった。
浅黒い肌。
細身の、だが均衡の取れた引き締まった肉体。
身にまとう黒衣と山高帽子。
口元の乱杭歯。
異形ではあるが、そこにはある種のスマートさが感じられる。
それが、余計に不気味だった。
男は誇らしげに左手を掲げる。
袖口から覗く手首には、解