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苔のお気に入り

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"愛する"というスキル

"愛する"というスキル

「ひとにはね、見えないスキルがあるんだよ」

まるでそれは魔法のことば、妖精がささやくように彼女は言う。

「履歴書に書けるようなスキルがないとしても、あなたは魅力的でひとを惹きつける。あなたの愛は、見えないスキルだよ」

なんだかその言葉をポッケに入れれば、どこまでも歩いていける気がする。そんな宝物を今日もひとつ、もらった。



わたしにはほとんど職歴がない。正確に言えば、正社員の経験はゼロ

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大丈夫神話

大丈夫神話

「若いんだから大丈夫だよ」
「何とかなるって、大丈夫大丈夫。まだまだ若いんだし」

生きているとそこで生活をしているだけで色んな言葉を頂戴するものだが、働いている時に言われがちなのはこの言葉かもしれない。因みにこの場合の若さとはその職場の中ではという意味だ。平成初期生まれのわたくし、そこそこいい歳である。それでも言われる上記のフレーズ。何かにつけ言われる。サビメロかなんかですか?ってくらい言われる

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生活をサボるな。とインド人に叱られて二年経ってから分かったこと

生活をサボるな。とインド人に叱られて二年経ってから分かったこと

「生活」を真面目にやってみたら、一日八時間も働く余裕がなかった。

という旨をツイートしたら、ものすごい反響があった。

たくさんの人が解釈してくださり、思いもよらない反応も貰ったので、なんでこういうツイートをしたのか、少し噛み砕いて書いてみようと思う。

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大前提として、私は超都会っ子である。親戚も少なく、田舎に触れる機会もほとんどなかった。母が病気を患っていたので小さい頃からコンビニ弁

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メンタルの基礎代謝

メンタルの基礎代謝

うつ病を患ってから一番変わったなと思うのは、1日で勝手に消費されるメンタルのエネルギー量、つまり基礎代謝が下がったことだなと思う。

過度に頑張らずにいたら、生きていくのに必要なエネルギーが少なくて済むようになった。

強いストレス環境に長く身を置いたせいで、脳の一部機能を停止して自分を守った結果、脳内における正しく感情を機能させるために必要な免疫力が著しく低下した状態、それが私のうつ病だった。

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『暮らしを楽しんでいる人』が習慣としていること。

『暮らしを楽しんでいる人』が習慣としていること。

「腰が痛い」
「血圧が高い」
「生理痛だ」
女性の職場では日々こんな会話が繰り返されます。みんな、いつもどこかが不調なのです。

で、先日同僚にこんなことを聞かれました。
「あんまり体の不調とか訴えないけど、今日は腰が痛いなーとかないの?」と。

「たまにはあるけど、そういうときは腰のストレッチとかすれば治るから」とわたし。

同僚はびっくりした顔をしていました。日常的に体の“メンテナンス”をして

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大人になんかなるなよ、死ぬなよ、

大人になんかなるなよ、死ぬなよ、

「大人にならなくていいのに」そう悲しそうに、何気なく先生は言った。少し暑くなった病室に、静かな風が吹く。春の終わりの匂いがした。



昨日、初めてのメンタルクリニックへ行った。東京から引っ越したせいで、新しい病院を探していたからだ。「3ヶ月後になっちゃうんですけど…」予約時にそう言われた時は絶望したけれど、なんとか騙し騙しこの日を迎えた。精神科は、ほんとうに空いていない。今日死にたいのに!今日

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檸檬は憂鬱を超克する~梶井基次郎『檸檬』~

檸檬は憂鬱を超克する~梶井基次郎『檸檬』~

梶井基次郎『檸檬』との出会いは筆者が大学生の時だった。日本文学で博士号を取ったアメリカ人教授の講義で課題として出されたのだ。それで、『檸檬』との最初の出会いは英語だった。

そのときから、「なんだかよく分からないけれど、澄んでいる」というのが梶井基次郎の印象だった。改めて原文の日本語で読み直しても、何か不思議でとらえどころがない作品だと感じた。ただ、精しく読んでいくとその澄み切ったつかみどころのな

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かなしいの箱をつくる

かなしいの箱をつくる

こころにも、救急箱が必要だ。

わたしは恋人と同棲をはじめるときに彼が救急箱を持ってきたので驚いたことがある。実家ではもちろん、一人暮らしの部屋でも薬や絆創膏を適当に保管していたせいだ。急いでいるときにすぐに目当ての薬を見つけることができて、これは便利だなあと緑色の十字が描かれたプラスチック製の箱をしげしげと眺めた。

救急箱は持っていないわたしだが、こころの救急箱を部屋の見えやすい位置にいつも置

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