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卯野有希路
2024年1月29日 12:31
鏡の国の原住人は、 己の弱さを知っている。 映し出された表情に、 悩みや苦労が現れるのだ。 鏡の国の動植物は、 生命の輝きを知っている。 反射された光たちに、 有限の価値を見出したのだ。 鏡の国の思想群は、 争いの無益さを知っている。 個々の交わらない思考に、 諦めと協調で解決したのだ。 鏡の国の運命は、 誰が決めるのか知っている。 一人、剣を携えて、 民衆を
2024年1月27日 08:23
僕は人生の迷子。 広い街で迷っている。 誘惑や欲望、 目を背けたくなる出来事。 この街じゃ生きようが死のうが何でも有りさ。 もう何人も目の前で死んじまったよ。 僕は握りしめたのは、 1本のペンだけ。 威力の強い拳銃でも、 綺麗な刀身の日本刀でも無い。 僕は人生の迷子。 この街でただ一人。 雑踏に紛れた宝石は、 本当に僕に力をくれるか? 僕の探す仲間も、 財産
2024年1月22日 17:39
君、それは幻。 君、それは夢。 君の綴る物語は、 明日を照らすカンテラとなる。 机に置かれた原稿用紙に、 君は楽しく文章を書く。 僕はソファに座り、 カフェオレを読みながら待っている。 夕方の陽が窓を差す。 君の影は大きく伸びる。 無邪気に伸びるその影に、 不定形な自由を見た。 あぁ、この時間。 社会は慌ただしく回る中、 僕等は呑気に生きている。 やりた
2024年1月17日 10:18
冬、午前。 天気は曇り。 散歩途中、大通り沿いにある、 老舗の喫茶店に少し寄り道。 濃い白色の空の下、 アメリカンコーヒー、もちろんホットで。 裸の木々が並ぶ歩道には、 灰色のユニフォームたちが走っている。 彼等は寒さを偽り、 夢に向かって走っている。 吐かれた白い息。 天に昇り、一瞬で見えなくなった。 濃い白色の空の下、 僕等は冬の景色の一部となった。
2024年1月14日 23:21
もしも、 この世界が全て虚構だとしたら? 友達も、 家族も、 街の建物や自然も、 目に見える全ての物が嘘だとしたら? 時間も空間も、 神という疑わしき存在の、 暇つぶしの末の創作物だとしたら? 何処ぞの誰かは、 勘違いの正義でヒーローになろうとする。 何処ぞの誰かは、 混乱に身を任せ踊り狂おうとする。 また、何処ぞの誰かは、 どん底の中で絶望するか、 飛躍し幸
2024年1月12日 17:37
いちいち考え過ぎだと思うけど、 睨みつけられている様な感覚が在るんだ。 散々だよな、こんなの。 呼んでもないのに、こんな目に遭うなんてさ。 誤解しないでくれよ? ろくでもない語りだ、信用に値しない。 斜め上から見てごらんよ、 蜂蜜みたいに甘ったるく苦しい世の中を。 ……急かもしれないけど、今日はここまで。 重要なことは伝えたはずさ、思考してごらんよ。 乱れ狂った
2024年1月10日 23:39
月夜。 夜風が染みる、深夜4時。 辺りは眠り、騒音も無い。 眠れないままの僕一人、 川辺のせせらぎに耳を傾ける。 電車の音でかき消されていた、 静かな呟きが聞こえてきた。 嘲笑う様に鳴く鳥も、 口煩いあいつらも、今は居ない。 月は鏡、 悩みや迷いを写す鏡。 夜に酔う僕の心は、 深い迷いに囚われているという事実。 ……静かな君、前を向けよ。 ……そうか。
2024年1月8日 08:34
姿見に写る自分の姿は、 いつもの自分と違和感があった。 キッチリとしたスーツ姿、 整えられたヘアスタイル。 普段はだらしない自分とは、 かけ離れた姿を静観する。 成人式。 無事、二十歳になれた事を祝う。 大人になったという実感は無いけど、 書類上だとなったらしい。 不思議だよな、 まだまだ気分に子供が混じってる。 お酒は好きだし、 タバコだって吸っていいんだ。
2024年1月7日 08:55
いつからか、 飛べなくなっていたんだ。 記憶を置いて、皆は今、 空を見上げてたんだ。 ……実に虚しい。 見えない影は、雨に傘を差さない。 見えない影は、無意味に語らない。 見えない影は、彗星にときめかない。 見えない影は、見えないままに消えた。 風が染み込む。 時計を止める。 深呼吸したのなら、 素晴らしい明日。 何故なのか、 走れなくなっていたんだ。 愛慕を
2024年1月5日 20:38
心が折れる事は、 夢を諦める事。 心が折れる事は、 愛を失った事。 心が折れる事は、 自分を否定された事。 心が折れる事は、 日常が消え去った事。 心が折れる事は、 世間から逃げた事。 心が折れる事は、 志を疑った事。 心が折れる事は、 戻れないと分かった事。 心が折れる事は、 己の弱さを知った事。 心が折れる事は、 変化を選択した事。 心が
2024年1月1日 10:44
こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。「良い言葉」 良い言葉だけメモを取る。 忘れない様にメモを取る。 その言葉に価値を見出す。 見出す時に笑みが浮かぶ。 詩という形で言葉を残す。 これは偏に快楽に等しい。(2023年12月8日投稿)「港町」 彼の意思を完全に無視し、 水は海へと還った。 水が還ったのは港町、 船もブイも風景の
2024年1月1日 08:11
日の出と共に起きて、 冬の空気をいっぱい吸う。 明けましておめでとう。 ……素敵な言葉じゃないか。 新春特番をテレビで流しながら、 昨日仕込んでいた雑煮を食べる。 白い餅の柔らかさに、 早々に飽きそうになる。 昼のおせちは、 来客が来てからのお楽しみ。 母がお取り寄せした、 一級品、そして高級品。 子供たちはポチ袋を開き、 本日の戦利品を確認する。 これから親