マガジンのカバー画像

102
自作の詩篇をまとめています。 お気に入りを見つけてみて下さい。
運営しているクリエイター

2024年1月の記事一覧

【詩】鏡の国

【詩】鏡の国

 鏡の国の原住人は、
 己の弱さを知っている。
 映し出された表情に、
 悩みや苦労が現れるのだ。

 鏡の国の動植物は、
 生命の輝きを知っている。
 反射された光たちに、
 有限の価値を見出したのだ。

 鏡の国の思想群は、
 争いの無益さを知っている。
 個々の交わらない思考に、
 諦めと協調で解決したのだ。

 鏡の国の運命は、
 誰が決めるのか知っている。
 一人、剣を携えて、
 民衆を

もっとみる
【詩】迷子

【詩】迷子

 僕は人生の迷子。
 広い街で迷っている。

 誘惑や欲望、
 目を背けたくなる出来事。
 この街じゃ生きようが死のうが何でも有りさ。
 もう何人も目の前で死んじまったよ。

 僕は握りしめたのは、
 1本のペンだけ。
 威力の強い拳銃でも、
 綺麗な刀身の日本刀でも無い。

 僕は人生の迷子。
 この街でただ一人。

 雑踏に紛れた宝石は、
 本当に僕に力をくれるか?
 僕の探す仲間も、
 財産

もっとみる
【詩】夕方のストーリーライター

【詩】夕方のストーリーライター

 君、それは幻。
 君、それは夢。
 君の綴る物語は、
 明日を照らすカンテラとなる。

 机に置かれた原稿用紙に、
 君は楽しく文章を書く。

 僕はソファに座り、
 カフェオレを読みながら待っている。

 夕方の陽が窓を差す。
 君の影は大きく伸びる。
 無邪気に伸びるその影に、
 不定形な自由を見た。

 あぁ、この時間。
 社会は慌ただしく回る中、
 僕等は呑気に生きている。

 やりた

もっとみる
【詩】冬、午前

【詩】冬、午前

 冬、午前。
 天気は曇り。

 散歩途中、大通り沿いにある、
 老舗の喫茶店に少し寄り道。

 濃い白色の空の下、
 アメリカンコーヒー、もちろんホットで。

 裸の木々が並ぶ歩道には、
 灰色のユニフォームたちが走っている。

 彼等は寒さを偽り、
 夢に向かって走っている。

 吐かれた白い息。
 天に昇り、一瞬で見えなくなった。

 濃い白色の空の下、
 僕等は冬の景色の一部となった。

【詩】虚構世界

【詩】虚構世界

 もしも、
 この世界が全て虚構だとしたら?

 友達も、
 家族も、
 街の建物や自然も、
 目に見える全ての物が嘘だとしたら?
 時間も空間も、
 神という疑わしき存在の、
 暇つぶしの末の創作物だとしたら?

 何処ぞの誰かは、
 勘違いの正義でヒーローになろうとする。
 何処ぞの誰かは、
 混乱に身を任せ踊り狂おうとする。
 また、何処ぞの誰かは、
 どん底の中で絶望するか、
 飛躍し幸

もっとみる
【詩】乱れ狂った順序

【詩】乱れ狂った順序

 いちいち考え過ぎだと思うけど、
 睨みつけられている様な感覚が在るんだ。

 散々だよな、こんなの。

 呼んでもないのに、こんな目に遭うなんてさ。

 誤解しないでくれよ?
 ろくでもない語りだ、信用に値しない。

 斜め上から見てごらんよ、
 蜂蜜みたいに甘ったるく苦しい世の中を。

 ……急かもしれないけど、今日はここまで。

 重要なことは伝えたはずさ、思考してごらんよ。

 乱れ狂った

もっとみる
【詩】ルーキー

【詩】ルーキー

 月夜。

 夜風が染みる、深夜4時。
 辺りは眠り、騒音も無い。
 眠れないままの僕一人、
 川辺のせせらぎに耳を傾ける。

 電車の音でかき消されていた、
 静かな呟きが聞こえてきた。
 嘲笑う様に鳴く鳥も、
 口煩いあいつらも、今は居ない。

 月は鏡、
 悩みや迷いを写す鏡。

 夜に酔う僕の心は、
 深い迷いに囚われているという事実。

 ……静かな君、前を向けよ。

 ……そうか。

もっとみる
【詩】成人式前

【詩】成人式前

 姿見に写る自分の姿は、
 いつもの自分と違和感があった。

 キッチリとしたスーツ姿、
 整えられたヘアスタイル。
 普段はだらしない自分とは、
 かけ離れた姿を静観する。

 成人式。
 無事、二十歳になれた事を祝う。
 大人になったという実感は無いけど、
 書類上だとなったらしい。

 不思議だよな、
 まだまだ気分に子供が混じってる。
 お酒は好きだし、
 タバコだって吸っていいんだ。
 

もっとみる
【詩】Camera Obscura

【詩】Camera Obscura

 いつからか、
 飛べなくなっていたんだ。
 記憶を置いて、皆は今、
 空を見上げてたんだ。
 ……実に虚しい。

 見えない影は、雨に傘を差さない。
 見えない影は、無意味に語らない。
 見えない影は、彗星にときめかない。
 見えない影は、見えないままに消えた。

 風が染み込む。
 時計を止める。
 深呼吸したのなら、
 素晴らしい明日。

 何故なのか、
 走れなくなっていたんだ。
 愛慕を

もっとみる
【詩】心が折れる事

【詩】心が折れる事

 心が折れる事は、
 夢を諦める事。

 心が折れる事は、
 愛を失った事。

 心が折れる事は、
 自分を否定された事。

 心が折れる事は、
 日常が消え去った事。

 心が折れる事は、
 世間から逃げた事。

 心が折れる事は、
 志を疑った事。

 心が折れる事は、
 戻れないと分かった事。

 心が折れる事は、
 己の弱さを知った事。

 心が折れる事は、
 変化を選択した事。

 心が

もっとみる
【X投稿詩】2023年12月

【X投稿詩】2023年12月

 こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。

「良い言葉」

 良い言葉だけメモを取る。
 忘れない様にメモを取る。

 その言葉に価値を見出す。
 見出す時に笑みが浮かぶ。

 詩という形で言葉を残す。
 これは偏に快楽に等しい。

(2023年12月8日投稿)

「港町」

 彼の意思を完全に無視し、
 水は海へと還った。

 水が還ったのは港町、
 船もブイも風景の

もっとみる
【詩】新春の街

【詩】新春の街

 日の出と共に起きて、
 冬の空気をいっぱい吸う。

 明けましておめでとう。
 ……素敵な言葉じゃないか。

 新春特番をテレビで流しながら、
 昨日仕込んでいた雑煮を食べる。
 白い餅の柔らかさに、
 早々に飽きそうになる。

 昼のおせちは、
 来客が来てからのお楽しみ。
 母がお取り寄せした、
 一級品、そして高級品。

 子供たちはポチ袋を開き、
 本日の戦利品を確認する。
 これから親

もっとみる