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自作の詩篇をまとめています。 お気に入りを見つけてみて下さい。
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記事一覧

【詩】スローリーダウン

【詩】スローリーダウン

 落ちていく
 僕等はゆっくり落ちていく。

 それは安らぎか
 それとも悲しみか。

 月夜の水面に写る顔
 ゆらゆらと揺らめく反射は消えた。

 それは笑っているか
 悲しんでいるか。

 永遠かと思える刻は重なり
 僕等はそこに生きている。

 いずれ来る終わりは
 何も言わずに忍び近づく。

 そこに遺った骨だけは
 世界の隅に置いといてくれ。

 月夜は迷いを示す
 僕等はずっと落ちてい

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【詩】自分共和国と世界

【詩】自分共和国と世界

 自分が生まれた時
 自分の国が生まれた
 君が生まれた時
 君の国が生まれた

 195では収まらない
 80億の国々
 日々協定を結ばれては
 戦争が起こる日常

 言語も
 文化も
 思想も
 希望も
 バラバラに散らばって
 パズルの様に収まらない

 だけど
 それが常識であって
 慌てふためく範疇にさえ
 存在しない

 だから僕達は
 笑顔で手を繋ごうと願う
 バラバラならば
 くっ

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【詩】澄み切った死

【詩】澄み切った死

 「夜」という字を勢い良く書けば
 「死」という字に似てくる。
 「澄み切った夜」「澄み切った死」
 僕は素敵だと思った。

 後腐れ無く
 そして、悔い無く
 この世界から去れたなら
 どれほど気持ちの良い事なのであろう。

 死生観を語る口に
 偽りはあるか分からない。
 だけど、筆は語る。
 無意識の表れなのか。
 それとも……

 澄み切った夜の下
 僕は今夜も
 独り
 詩を書いている。

【詩】点描

【詩】点描

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・

 数は限られている。
 それは
 確かな数列の中で
 何も言わずに拘束されている。
 呼吸する事も
 自由を願う事も出来ず、
 ただ彼らは
 一つのオブジェクトと化した。
 有機ELでも表現

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【詩】鵜

【詩】鵜

 バシャ
 バシャ

 穏やかな川で
 鵜は魚を捕る

 バシャ
 バシャ

 何羽も群れて
 鵜は魚を捕る

 穏やかだった川に
 波紋が広がる

 魚は死ぬ
 飲み込まれたからだ

 生命のサイクルの中
 抵抗出来ないモノは淘汰される

 波紋上の思考内に
 弱者を悼む心は無い

 弱肉強食
 水面に写る

 バシャ
 バシャ

 次は
 誰が喰われる?

【X投稿詩】2024年5月

【X投稿詩】2024年5月

 こちらは、Xにて投稿した詩のまとめです。タイトルは後付になります。

「太陽を食べる」

 水分を含んだ
 太陽を食べたら
 食道に
 苦しい痛みが走った。
 グツグツ
 煮えたぎる太陽は
 怒りの感情に似ていた。

(2024年5月7日投稿/修正済み)

「文学の研究」

 一つの作品に
 数多な論文が重なる。
 けど多ければ多いほど
 良いって事じゃない。
 どれほど読まれ
 どれほど愛され

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【詩】( ˙-˙ )

【詩】( ˙-˙ )

 (^^)

 笑っている。

 (*´∀`*)

 笑っている。

 ( ´-ω-` )

 あれ?
 悩んでいる。

 (*`ω´*)

 あれ?
 こっちは怒っている。

 (T_T)

 あれ?
 こっちは悲しんでいる。

 (・∀・)

 おっと。
 また笑っている。

 これ等はただ
 記号で構成されただけ。
 そして
 記号に感情は無い。
 だけど
 ブロックやパズルの様に
 組み上

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【詩】或る学生の憂鬱

【詩】或る学生の憂鬱

 つまらない授業を真面目に受けて
 嫌いなアイツを避ける日々。
 教室の隅で願う逆襲は
 叶う時が来る事は無い。

 着慣れたカーディガン
 見慣れた窓際
 母が作った弁当
 放課後に聞こえるトランペット。
 そのどれもが
 綺麗に収まったパズルの様に
 律儀に型にはまって
 青春の名で構成されていた。

 だけど、彼女はひねくれていた。

 何処か指で触れたら
 一瞬で崩れるポイントがあるはず。

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【詩】行列

【詩】行列























 列の先に何がある?
 並ぶ先に何がある?

 先が見えないなら
 並ぶ必要無いんじゃない?

 けど人は並びたがる
 僕らも並びたがる

 何か得られると
 錯覚しているから

 だから今日も並ぶ
 哀れだけど並ぶ











    人

 そう
 彼もまた並ぶ

【詩】同棲生活

【詩】同棲生活

 君と体を重ねたら
 そこに愛を添えて着飾った。
 朝日差す寝室で
 乱れた毛布が証拠さ。
 山岳の様に
 高々と脈打つ毛布は
 風さえも攫えない
 堂々とした影を作るんだ。

 キッチンには
 コーヒーと煙草の匂い。
 控えなきゃと思いつつ
 日々ストレスと比例し増える。
 メラメラと燃える炎に
 命の輝きを投影すると
 何とも皮肉めいた
 実情に呆れた。

 現代社会の辛苦に
 劇薬の様な愛を

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【詩】海は書き損じで出来上がる

【詩】海は書き損じで出来上がる

 線を引いて書き直す
 増えて
 増えて
 よく見たら
 黒くなる。

 大した事ない間違いが
 増えて
 増えて
 よく見たら
 汚くなる。

 ボールペンは大嫌い
 炭素の様に消せないから。
 インクが
 粘度高く
 紙に付着して
 ずっと離れない。

 上書きではない。
 修正でもない。
 空いている隙間に
 正しく書いて
 誤魔化す。

 ごちゃごちゃとした
 インクの海。
 書き損じだら

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【詩】季節の死骸

【詩】季節の死骸

 死骸に虫はたかるか?

 死骸に花は咲くか?

 いや
 その死骸から
 新たな季節が産まれる。

 季節は不死だ。
 それは燃え尽きた灰から
 雛が産まれる
 フェニックスの様に。

 かつての死骸を
 内臓から喰らい這い出る。
 血を拭えば
 そこは新たな景色だ。

 季節は巡る。
 若気と老いを繰り返す。
 終わりのない生命に
 僕等は歓喜するんだ。

 季節よ。
 季節の死骸から
 産ま

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【詩】カニカマ

【詩】カニカマ

 冷蔵庫にポツンと居座る、
 カニカマを見て思う。

 カニカマほど、
 己に自信を持つ者はいない。

 カニはカニ、
 カニカマはカニカマ。
 カニの偽物だとしても、
 彼は個として存在する。

 カニカマだけを求めてしまう。
 偽物を本物としてしまう。
 それ程までに魅力的で、
 視認できない力を持っている。

 不思議。何とも不思議。

 カニカマに尊敬を懐きながら、
 冷蔵庫の中のそれをつ

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【詩】ラジオ

【詩】ラジオ

 何気ない日常。
 日々の気づき。
 やるせない思い。
 くだらない話。

 音声だけで
 満足させる
 パーソナリティーたちの
 技術が光る。

 日が昇る朝。
 昼の高速道路。
 帰路に就く夕方。
 深夜の部屋で一人。

 寂しがり屋の
 僕たちは
 今日もラジオに
 お世話になる。

 テレビでは味わえない
 プライベート感が
 僕たちに寄り添う

 笑い声が聴こえたら
 合図さ。

 僕た

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