マガジンのカバー画像

創作物

39
思いを込めた、思いつきでできた、小説や詩などが連なっています。
運営しているクリエイター

#毎日更新

久しぶり、俺たちとマドンナ。

久しぶり、俺たちとマドンナ。



美来「いやぁ、こうやって3人で会うの、久しぶりだな…。」

榎本「確かに!えっ、何日ぶり?」

千葉「最後に登場したのが、5月8日だから、約5ヵ月ぶりかな…。」

美来「えっ、なんでこんなことになったの?」

千葉「なんか、作者が忙しかったんだって…(笑)」

美来「アイツ、無責任だな…(笑)」

榎本「…まぁ、久しぶりに会ったんだし、この5ヵ月で、お互い、何があったか喋ろうぜ!まずは俺からな

もっとみる

トゲがささった

心の真ん中に、図太い棘が突き刺さった。

抜けない。抜けないよ。

息を整えて、ゆっくりと、痛みを感じないように。

抜けない。抜けないよ。

まぶたを閉じても、遠くには行けなくて、ただ僕は、肉体を背負わされた。

いっそのこと、両手では支えきれない図太い棘で、僕を振り回しても良いのに。

笑えないシャガになって、静かに枯れていきたい。

錆びた滑り台になって、干からびていきたい。

何を望んだと

もっとみる
一番親不孝なのは誰だ?

一番親不孝なのは誰だ?



美来「今度さ、母の日あんじゃん? 千葉くん、何あげる?」

千葉「あぁー……。そうか。考えてなかったー。」

榎本「そうだったな…」

美来「……そうか。そもそもさ、母の日に、何かあげたことある?」

千葉「…ないかもなぁ。俺の覚えている限りは、ないんだよなぁー。」

美来「……じゃあ、ないんじゃん? ハハ」

千葉「…かもしれん!」

榎本「俺はあるぜ!」

美来「まだ、きいてないけどな。ま

もっとみる
沈黙が怖い

沈黙が怖い



美来「自分が長い時間喋っているとさ、沈黙が怖くなる瞬間ってない?」

千葉「確かに、あるかも。」

榎本「うん、そうだなー。」

美来「沈黙が怖いから、喋り続けてしまうんだけど、無理やり喋っているから、自分の思ってないことを言ってしまったり、余計なこと言ったりして・・・」

榎本「・・・・・」

千葉「・・・・・」

美来「・・・まぁ、お前らがこうやって黙り込むから、この癖は治らないけどな!」

もっとみる
真面目じゃないマウント

真面目じゃないマウント



美来「一回、会社に入って思ったのがさ、“真面目じゃないマウント”をとってくるヤツが、本当にたくさんいるなぁーって思ったんだよね…。」

千葉「真面目じゃないマウント…? どういうこと?」

美来「例えば、俺が一生懸命に仕事をしてたら、『俺は、そんなに真面目にできないわぁー』とか、『うわぁー、偉いねー!』とか言うヤツ!」

榎本「そんなヤツ、ほっとけばいいんじゃん?」

美来「いや、ほっとけない

もっとみる
「社会的信用」ってなんだろう?

「社会的信用」ってなんだろう?



美来「俺たちって、フリーター、じゃん?」

千葉「うん、そうだね・・・」

榎本「だなっ。」

美来「なんか、ちょっとさ、肩書きに困ることってない? 久しぶりに会った友達に、自分の職業を説明するときとか・・・」

榎本「まぁー、俺はフリーターって言っても、バイトじゃなくて“パート”だから、そんなに感じないけどなー。」

美来「お前は、“パート”に対して、誇り高いアイデンティティを持ちすぎている

もっとみる
アイドルの可愛さとは?

アイドルの可愛さとは?

千葉「アイドルって元気もらえるから、良いよなぁー。ずっと可愛いし、見ているだけで良いんだよねー」

榎本「まぁ、シンプルに癒されるよね。美来は、あんまりそういうの、興味ないよな?」

美来「・・・まぁ、あんまかな…」

千葉「そうか。オレさ、今、アイドルの動画観ることだけが生きがいなんだよね。でも、美来が話せないなら、美来の前ではこの話題、やめるよ」

榎本「優しいー!話が通じないヤツがいると、こ

もっとみる
告白がえし

告白がえし

「あぁ、まさにここだよ! このベンチでフラれたんだよね。ここから改めて見ると、結構、綺麗な景色だったんだなぁ」

光太は、休憩所にある二人掛けのベンチに勢いよく腰かけて、目の前に広がる噴水広場を見渡した。神代植物公園の噴水広場は、真紅、薄紅色、橙色と、色とりどりのばらに囲まれ、遠くから一望すると、まるで異国に訪れたような心地になる。

「へぇー。素敵じゃん」

私は、手前にある一人掛けのベンチを避

もっとみる
不安電車

不安電車

イヤホンから流れる、東京の汗。

8時間労働に従事した後、

各々、葛藤を持ち寄る大人たちの声。

吊革に掴まる僕と同じ。

視界に入る大人も、

素知らぬ顔をしながら、

一つの不安でつながっている。

僕たちにラジオネームはないけれど、

実はつながっている。

あなたの話は聞けなくても、

労う気持ちもってるよ。

娘に言えない言葉たち。

娘に言えない言葉たち。

「何度も検査したんだけど、あのね、美久、お腹に赤ちゃんがいるみたい」

美久の声は震え、溢れ出しそうな涙を堪えている。拓朗は、目に映るもの全てが、一瞬だけ歪んで見えた。家族4人が集まる食卓も、開けたばかりの缶ビールも、手を伸ばせば伸ばすほど、消えてなくなる気がした。普段から美久は、何か困ったことがあると、母の沙也子にしか相談しない。父の拓朗や兄の海斗の前では、弱さを見せず、明るく振る舞うことが多い

もっとみる
電話相談なんて、ロクなもんじゃない。

電話相談なんて、ロクなもんじゃない。

ある日、非通知設定から着信があった。
「はい、もしもし?」
「こんばんは!ラジオネームは?」
「…はい?」
「ラジオネーム、わかんないですか? じゃあ、僕がつけちゃいますね!ラジオネームは、クールビューティー前田くんにしましょうか!」
「はぁ…。あの、何ですか、これ?」
「あぁ、申し遅れました!『小森三郎のウェルカム!電話相談』です!ということは、私は、小森三郎です!」
「…あぁ。なんか、間違って

もっとみる
春の日

春の日

分からない

なぜ、こんなに匂うのか

分からない

なんでこんなにいい気分なのか

別に共感しないでいい

一人で春を楽しめばいい

だけど一人じゃない

そんな気がした

春の日だった

親友と朝

親友と朝

 「ケンリュウのバッティングって、当たるときと当たらない時の差、ヤバくない?」

「アイツ、安定しないよなー」

「ぶっちゃけ言っていい? 下手くそ!」

「ハハハッ!」

ケンリュウが誰なのかを知らない竜一は、ただただ、二人の会話を聞きながら歩いていた。毎朝、千田と周太は、誰かの悪口を楽しそうに言っている。その人物は、竜一が見たことのない他校の生徒、竜一が授業を受けたことない先生、竜一が喋ったこ

もっとみる
恋愛システム

恋愛システム

朝の学校。涼しい風が吹いた快適な教室に、誰よりも早く入った。

誰もいないせいか、教室のすべての窓を開けると、吹き抜ける風が気持ちよかった。スカートがめくれても気にしなくていい。一応、中にスパッツを履いているので心配はないが、大胆にスカートがめくれているのは恥ずかしい。さらに言えば、大きく両手を広げていることも恥ずかしいことだ。しかし、こんな快適空間でこれをやらずにはいられない。

「おい、どうし

もっとみる