百鬼堂

読んだ本や始めたばかりの市民農園について書くことが多いです。衝動買いしたポメラで何かを…

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読んだ本や始めたばかりの市民農園について書くことが多いです。衝動買いしたポメラで何かを書いてみたい、と思ったのがnoteを始めたきっかけ。

マガジン

  • 百鬼堂農園

    土いじりなどしたことのないオッサンが畑に挑みます

記事一覧

#89 百鬼堂農園(30) 残渣と出がらし

 朝ドラ「虎に翼」はついに終幕。充実した時間でした。このドラマについては、またいつか。  トウガラシは今季最後の収穫。こんなに美しい赤色がほかにあるだろうか。た…

百鬼堂
1日前
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#88 百鬼堂農園(29) 鍋具材農家への道

 朝ドラ「虎に翼」は大団円に向かっている。このドラマを巡っては、放送終了後に同僚何人かと飲み会を開くことにしている。それに先だって、奥さんとの飲み会をやる。楽し…

百鬼堂
5日前
13

#87 最近みたもの(6) デリファス的なものの終焉

 無理せず一日休んだら体調はほぼ回復し、ひとまず安心。早晩わずかに秋の気配を感じるようになった。残暑も和らぎ、これから少しは楽になるだろう。この夏、本を開く気力…

百鬼堂
9日前
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#86 体調不良とミッドライフクライシス

 日付が変わってしばらくたった深夜。お腹が張って気分が悪くなり、何度かトイレを往復しているうちにじんわりと冷や汗のような脂汗のような気持ち悪い汗をかきはじめ、眠…

百鬼堂
11日前
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#85 百鬼堂農園(28) 種を蒔かずば実は付かず

 ここ数日ずっと大根のことを考えている。他のことが手につかない…ほどではないが、ずっと気になっている。  同僚のベテラン菜園家と、秋冬の農園経営について話してい…

百鬼堂
2週間前
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#84 最近よんだもの(23) 円形の刑務所と刎頸の交わり

 朝ドラ「虎に翼」第23週の最終回から、あさイチの伊藤沙莉ゲスト回の流れは見事なコラボレーションで、いろいろ思い出して泣けてきた。華丸が穂高先生への言葉についてツ…

百鬼堂
3週間前
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#83 百鬼堂農園(27) 野菜採れすぎ問題

 異例ずくめの台風10号だったが、熟したミニトマトがいくつか落ちたくらいで、わが農園には被害といえるほどのものはほぼなかった。被害に遭われた農家のみなさんにはお見…

百鬼堂
3週間前
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#82 百鬼堂農園(26)と最近よんだもの(22)農と書物・下

 最近、畑に行くのは早朝で、さっとミニトマトなど収穫して虫にさされないうちに足早に畑を去る。滞在時間が短いため、同じ市民農園の方々とまったく会わなくなってしまっ…

百鬼堂
1か月前
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#81 百鬼堂農園(25)と最近よんだもの(21) 農と書物・上

 ヒマワリが枯れ始めた。まだ咲いている花もいくつかあるので、はさみで切って持ち帰り、花瓶に挿してみた。いけばなについて書かれたnote記事を愛読して興味をもった影響…

百鬼堂
1か月前
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#80 夏休み

 津村記久子の文庫を読み終え、内田樹の新刊を半分ほど読んだところで百年の孤独に手を出し、ホセ・アルカディオ・ブエンディアがスペインの巨大な帆船を見つけたあたりで…

百鬼堂
1か月前
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#79 最近よんだもの(20) 現実逃避と外出忌避

 満を持して「百年の孤独」を買いに書店に行った。だが帰ってきたらマルケスの大著は手元になく、そこには「地球の歩き方 ムーJAPAN」があった。マコンドでもなかろうに…

百鬼堂
1か月前
13

#番外 ちゃちゃっと近況

 畑には2日おきくらいに通っています。早朝のみ短時間。毎回ミニトマトとオクラと大葉をいくつか収穫。キュウリはなぜか実をつけない。  車を買い替えることになった。…

百鬼堂
1か月前
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#番外 暑中お見舞い申し上げます

 厳しい暑さが続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。  いや〜仕事が忙しい。おそらくお盆過ぎまでは地獄です。とはいえ勤務時間内の話で、畑には朝早く短時間…

百鬼堂
2か月前
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#78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

 ヒマワリが咲く。東北八重というちょっと変わった品種。苗からずんずんと大きくなって、見事な花を咲かせた。広すぎる農園に、野菜以外のものをなんとなく育てたくなって…

百鬼堂
2か月前
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#77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない 精神科医、『自殺希少地域』を行く」(森川すいめい、青土社)  さて、この本について何か書くのは難しい。いろいろと思うと…

百鬼堂
2か月前
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#76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

 雨が降ると畑に行けないので本を読む。晴耕雨読とはこのことか。  世俗から離れ、穏やかな心持ちで書物に没頭できるかというと、そんなことはない。畑が気になり、なん…

百鬼堂
2か月前
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#89 百鬼堂農園(30) 残渣と出がらし

#89 百鬼堂農園(30) 残渣と出がらし

 朝ドラ「虎に翼」はついに終幕。充実した時間でした。このドラマについては、またいつか。

 トウガラシは今季最後の収穫。こんなに美しい赤色がほかにあるだろうか。たった2株から次から次へと実をつけ、思っていた量の10倍くらい、トータルではバケツ2杯以上採れたのではないだろうか。この夏は人生最大量のカプサイシンを摂取して、体脂肪が燃焼しまくってすっきりとした。

 というのは全くの嘘で、脂肪燃焼効果を

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#88 百鬼堂農園(29) 鍋具材農家への道

#88 百鬼堂農園(29) 鍋具材農家への道

 朝ドラ「虎に翼」は大団円に向かっている。このドラマを巡っては、放送終了後に同僚何人かと飲み会を開くことにしている。それに先だって、奥さんとの飲み会をやる。楽しみである。

 ようやく涼しくなった。先週末はまだ暑く、畑仕事に夢中になっているうちにちょっと熱中症気味になってしまった。作業中に耐えられなくなり、近くの公園の日陰に2度避難し、水筒の水を飲み干し、頭から水道の水を浴びた。後の体調不良の一因

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#87 最近みたもの(6) デリファス的なものの終焉

#87 最近みたもの(6) デリファス的なものの終焉

 無理せず一日休んだら体調はほぼ回復し、ひとまず安心。早晩わずかに秋の気配を感じるようになった。残暑も和らぎ、これから少しは楽になるだろう。この夏、本を開く気力のない日は、エアコンの効いた室内でテレビを結構みたのだと思う。

 映画「ラストマイル」

 野木亜紀子の脚本によるシェアード・ユニバース映画。こんな言葉は初めて聞いた。この映画と世界観を一とする野木によるドラマ「アンナチュラル」「MIU4

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#86 体調不良とミッドライフクライシス

#86 体調不良とミッドライフクライシス

 日付が変わってしばらくたった深夜。お腹が張って気分が悪くなり、何度かトイレを往復しているうちにじんわりと冷や汗のような脂汗のような気持ち悪い汗をかきはじめ、眠れなくなった。そのうち腰が痛み始め、横になっていられなくなった。

 何度か体温を測ったが平熱。名状し難い不安と痛みに悶えながら、腰のストレッチをする。立ったり座ったりうろうろ歩いたり本を開いたり閉じたりしているうちに、バファリンプレミアム

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#85 百鬼堂農園(28) 種を蒔かずば実は付かず

#85 百鬼堂農園(28) 種を蒔かずば実は付かず

 ここ数日ずっと大根のことを考えている。他のことが手につかない…ほどではないが、ずっと気になっている。

 同僚のベテラン菜園家と、秋冬の農園経営について話していたところ、大根をやるなら早く種をまいた方がいい、という。本来は8月にまくべきなのだが、近年は暑さが9月も10月も続くので、すぐに種まきをすれば間に合うという。小松菜などの葉物もこれから育てるのによいのだが、あまり心が躍らない。育てるなら実

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#84 最近よんだもの(23) 円形の刑務所と刎頸の交わり

#84 最近よんだもの(23) 円形の刑務所と刎頸の交わり

 朝ドラ「虎に翼」第23週の最終回から、あさイチの伊藤沙莉ゲスト回の流れは見事なコラボレーションで、いろいろ思い出して泣けてきた。華丸が穂高先生への言葉についてツッコむところもよかった。

 「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」(かまど、みくのしん共著、大和書房)

 本の内容はタイトルにある通り、そのまんま。とても面白かった。読書という行為がどういうものなのかを再確認し、また読書は楽

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#83 百鬼堂農園(27) 野菜採れすぎ問題

#83 百鬼堂農園(27) 野菜採れすぎ問題

 異例ずくめの台風10号だったが、熟したミニトマトがいくつか落ちたくらいで、わが農園には被害といえるほどのものはほぼなかった。被害に遭われた農家のみなさんにはお見舞いを申し上げます。市場の野菜が高騰しても払えるものはしっかり払おうと思う。農作物に正当な対価を払うべきだと強く感じるようになったのは、農園経営を始めてから。市場価格は安すぎるのでは、と感じるようにもなった。まあ高くても困るけど。

 採

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#82 百鬼堂農園(26)と最近よんだもの(22)農と書物・下

#82 百鬼堂農園(26)と最近よんだもの(22)農と書物・下

 最近、畑に行くのは早朝で、さっとミニトマトなど収穫して虫にさされないうちに足早に畑を去る。滞在時間が短いため、同じ市民農園の方々とまったく会わなくなってしまった。周囲の畑をみれば手入れも収穫もされているようだが、少々さみしい。会って話を始めると長話になりそうなので、結果的には熱中症の危険を避けていることになるのだろうけど。

 農関連の本についての続きです。

「百姓貴族」(荒川弘、ウィングス・

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#81 百鬼堂農園(25)と最近よんだもの(21) 農と書物・上

#81 百鬼堂農園(25)と最近よんだもの(21) 農と書物・上

 ヒマワリが枯れ始めた。まだ咲いている花もいくつかあるので、はさみで切って持ち帰り、花瓶に挿してみた。いけばなについて書かれたnote記事を愛読して興味をもった影響だろうけど、切り花を持ち帰って生けるなど初めてだ。不思議な感動がある。

 今回は農園日記と読書記録のコラボ。というほどたいしたもんではないけれど。通し番号がいろいろ重なるのを仕事では毛嫌いしているのだが、ここではやってしまった。

 

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#80 夏休み

#80 夏休み

 津村記久子の文庫を読み終え、内田樹の新刊を半分ほど読んだところで百年の孤独に手を出し、ホセ・アルカディオ・ブエンディアがスペインの巨大な帆船を見つけたあたりで本を閉じ、この文章を書き始めた。

 田舎のひんやりと心地のよい早朝の大気が流れる中、適当な軽めのクラシックをBluetoothスピーカーが奏でている。夏休み5日目。休みは最長5日間と聞いていたが、頼んでないのに6日あった。

 連休の最初

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#79 最近よんだもの(20) 現実逃避と外出忌避

#79 最近よんだもの(20) 現実逃避と外出忌避

 満を持して「百年の孤独」を買いに書店に行った。だが帰ってきたらマルケスの大著は手元になく、そこには「地球の歩き方 ムーJAPAN」があった。マコンドでもなかろうに、不思議なこともあるものだ。「神秘の国の歩き方」のサブタイトルは伊達ではないということだろう。愉快なことこの上ない一冊。

 ここ1ヵ月ほど忙しいが、図書館の返却期限に追われ、現実逃避と外出忌避があいまって、エアコンの効いた室内で案外と

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#番外 ちゃちゃっと近況

#番外 ちゃちゃっと近況

 畑には2日おきくらいに通っています。早朝のみ短時間。毎回ミニトマトとオクラと大葉をいくつか収穫。キュウリはなぜか実をつけない。

 車を買い替えることになった。手続き煩雑。

 仕事は忙しい。人が足りない。

 サウナには通っている。仕事がきつくなると行きたくなる。ほっといても汗をかくような暑さなのに、なぜわざわざ汗をかきに行くのか、とも思うが、水風呂と外気浴の爽快感はやみつきになる。

 読書

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#番外 暑中お見舞い申し上げます

#番外 暑中お見舞い申し上げます

 厳しい暑さが続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 いや〜仕事が忙しい。おそらくお盆過ぎまでは地獄です。とはいえ勤務時間内の話で、畑には朝早く短時間だけちょいちょい通っています。暑いので読書もゲームもあまりやる気にならず、ダラダラしてます。

 何が言いたいかと申しますと、執筆意欲も減退しがちだということです。更新ペースは滞ることになりますが、のんびりやることにします。

 私の愛読

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#78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

#78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

 ヒマワリが咲く。東北八重というちょっと変わった品種。苗からずんずんと大きくなって、見事な花を咲かせた。広すぎる農園に、野菜以外のものをなんとなく育てたくなって植えたが、にぎやかになってよい。シルバーサンシャインという品種も、そう遠くないうちに咲くだろう。とても華やかで目立つので、他の畑の方たちにも評判だ。ちょっとでかくなりすぎだけど。

 葉が黄色くなりはじめたので、ジャガイモを初めて収穫した。

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#77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

#77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない 精神科医、『自殺希少地域』を行く」(森川すいめい、青土社)

 さて、この本について何か書くのは難しい。いろいろと思うところがありすぎて、書き切れない。しかもとても面白いので、どんどん読み進んでしまう。メモを取らずに読みふけってしまったので、書くべきことの多くを失念した。良さをうまく伝えられないのが残念だが、多くの人に手に取ってほしい一冊。

 タイトルに

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#76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

#76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

 雨が降ると畑に行けないので本を読む。晴耕雨読とはこのことか。

 世俗から離れ、穏やかな心持ちで書物に没頭できるかというと、そんなことはない。畑が気になり、なんとなく鬱々とした気分で過ごすことになる。仕事もそれなりに忙しい。

 農園の運営を始めて初めての梅雨。この長雨の季節のことを、作物を育てる者としての視点からは、考えたこともなかった。恵みでもあり、災いでもある。大雨のニュースをみて、被害に

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