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#77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない 精神科医、『自殺希少地域』を行く」(森川すいめい、青土社)

 さて、この本について何か書くのは難しい。いろいろと思うところがありすぎて、書き切れない。しかもとても面白いので、どんどん読み進んでしまう。メモを取らずに読みふけってしまったので、書くべきことの多くを失念した。良さをうまく伝えられないのが残念だが、多くの人に手に取ってほしい一冊。

 タイトルにある通りの内容。自殺する人が少ない「自殺過少地域」を精神科医が地元の人の話を聞きながら歩いた、フィールドワークの記録だ。医学的な調査ではない。自然が豊かで、優しく親切で親しみやすい人たちが住む場所か、といえば、そんな簡単な話でもない。

 緊密な人間関係が人を救うこともあるだろうが、殺すこともある。自殺過少地域に住む人たちも、孤独を感じたり、怒りや悲しみを抱えて生きている。「人と人の関係は、疎で多」であること。ひとつの答えではあるだろう。この本を読んで感じたことは、世界はやはり複雑で、わかりやすいものではないということだ。

 自分がつらいときは助けを求め、そうでないときは人に手を差し伸べられる人間でありたい、と思う。そんな人間関係の構築は難しいかもしれないけれど、悔恨とともに。


 地図本を2冊購入。

「地図でスッと頭に入る中国戦国時代」(渡邉義浩監修、旺文社)

 宮城谷昌光の作品を読むお供として。孟嘗君や楽毅を再々読中。


「旅に出たくなる地図 日本」(帝国書院編集部)

 見ていて楽しい。妄想旅行から実現へ一歩踏み出したい。「地球の歩き方 ムーJAPAN」も欲しいところだが、ひとまず自重。


 G・G・マルケス「百年の孤独」文庫版を手に取る人がまわりに増えた。この機に再々読して、読書会でもやろうかな。

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