百鬼堂

読んだ本や始めたばかりの市民農園について書くことが多いです。衝動買いしたポメラで何かを…

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読んだ本や始めたばかりの市民農園について書くことが多いです。衝動買いしたポメラで何かを書いてみたい、と思ったのがnoteを始めたきっかけ。

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  • 百鬼堂農園

    土いじりなどしたことのないオッサンが畑に挑みます

最近の記事

#85 百鬼堂農園(28) 種を蒔かずば実は付かず

 ここ数日ずっと大根のことを考えている。他のことが手につかない…ほどではないが、ずっと気になっている。  同僚のベテラン菜園家と、秋冬の農園経営について話していたところ、大根をやるなら早く種をまいた方がいい、という。本来は8月にまくべきなのだが、近年は暑さが9月も10月も続くので、すぐに種まきをすれば間に合うという。小松菜などの葉物もこれから育てるのによいのだが、あまり心が躍らない。育てるなら実をつける野菜がいい。  それにしても、雨が多い。雨でない日は、容赦のない酷暑で

    • #84 最近よんだもの(23) 円形の刑務所と刎頸の交わり

       朝ドラ「虎に翼」第23週の最終回から、あさイチの伊藤沙莉ゲスト回の流れは見事なコラボレーションで、いろいろ思い出して泣けてきた。華丸が穂高先生への言葉についてツッコむところもよかった。  「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」(かまど、みくのしん共著、大和書房)  本の内容はタイトルにある通り、そのまんま。とても面白かった。読書という行為がどういうものなのかを再確認し、また読書は楽しいということを改めて認識させられた。  「老後に楽しみをとっておくバカ」(和

      • #83 百鬼堂農園(27) 野菜採れすぎ問題

         異例ずくめの台風10号だったが、熟したミニトマトがいくつか落ちたくらいで、わが農園には被害といえるほどのものはほぼなかった。被害に遭われた農家のみなさんにはお見舞いを申し上げます。市場の野菜が高騰しても払えるものはしっかり払おうと思う。農作物に正当な対価を払うべきだと強く感じるようになったのは、農園経営を始めてから。市場価格は安すぎるのでは、と感じるようにもなった。まあ高くても困るけど。  採れすぎる。そういう問題があることは知っていた。  ハツカダイコンは次々とできて

        • #82 百鬼堂農園(26)と最近よんだもの(22)農と書物・下

           最近、畑に行くのは早朝で、さっとミニトマトなど収穫して虫にさされないうちに足早に畑を去る。滞在時間が短いため、同じ市民農園の方々とまったく会わなくなってしまった。周囲の畑をみれば手入れも収穫もされているようだが、少々さみしい。会って話を始めると長話になりそうなので、結果的には熱中症の危険を避けていることになるのだろうけど。  農関連の本についての続きです。 「百姓貴族」(荒川弘、ウィングス・コミックス、既刊8巻)  北海道の農家に生まれ、漫画家になる前は農業に従事して

        #85 百鬼堂農園(28) 種を蒔かずば実は付かず

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          28本

        記事

          #81 百鬼堂農園(25)と最近よんだもの(21) 農と書物・上

           ヒマワリが枯れ始めた。まだ咲いている花もいくつかあるので、はさみで切って持ち帰り、花瓶に挿してみた。いけばなについて書かれたnote記事を愛読して興味をもった影響だろうけど、切り花を持ち帰って生けるなど初めてだ。不思議な感動がある。  今回は農園日記と読書記録のコラボ。というほどたいしたもんではないけれど。通し番号がいろいろ重なるのを仕事では毛嫌いしているのだが、ここではやってしまった。  図書館には農業に関する資料が山ほどある。家庭菜園向けのライトなものも少なくないが

          #81 百鬼堂農園(25)と最近よんだもの(21) 農と書物・上

          #80 夏休み

           津村記久子の文庫を読み終え、内田樹の新刊を半分ほど読んだところで百年の孤独に手を出し、ホセ・アルカディオ・ブエンディアがスペインの巨大な帆船を見つけたあたりで本を閉じ、この文章を書き始めた。  田舎のひんやりと心地のよい早朝の大気が流れる中、適当な軽めのクラシックをBluetoothスピーカーが奏でている。夏休み5日目。休みは最長5日間と聞いていたが、頼んでないのに6日あった。  連休の最初に合気道の稽古と合気道関係者の集まりがあり、懐かしい顔にいくつか会う。その翌日、

          #80 夏休み

          #79 最近よんだもの(20) 現実逃避と外出忌避

           満を持して「百年の孤独」を買いに書店に行った。だが帰ってきたらマルケスの大著は手元になく、そこには「地球の歩き方 ムーJAPAN」があった。マコンドでもなかろうに、不思議なこともあるものだ。「神秘の国の歩き方」のサブタイトルは伊達ではないということだろう。愉快なことこの上ない一冊。  ここ1ヵ月ほど忙しいが、図書館の返却期限に追われ、現実逃避と外出忌避があいまって、エアコンの効いた室内で案外と本を読んだ。繁忙を極めた時期も終わりが見えてきて、遅く短い夏休みは近い。 「わ

          #79 最近よんだもの(20) 現実逃避と外出忌避

          #番外 ちゃちゃっと近況

           畑には2日おきくらいに通っています。早朝のみ短時間。毎回ミニトマトとオクラと大葉をいくつか収穫。キュウリはなぜか実をつけない。  車を買い替えることになった。手続き煩雑。  仕事は忙しい。人が足りない。  サウナには通っている。仕事がきつくなると行きたくなる。ほっといても汗をかくような暑さなのに、なぜわざわざ汗をかきに行くのか、とも思うが、水風呂と外気浴の爽快感はやみつきになる。  読書はしている。朝ドラも毎日見ている。総力戦研究所。ゲームも「祇(くにつがみ)」とい

          #番外 ちゃちゃっと近況

          #番外 暑中お見舞い申し上げます

           厳しい暑さが続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。  いや〜仕事が忙しい。おそらくお盆過ぎまでは地獄です。とはいえ勤務時間内の話で、畑には朝早く短時間だけちょいちょい通っています。暑いので読書もゲームもあまりやる気にならず、ダラダラしてます。  何が言いたいかと申しますと、執筆意欲も減退しがちだということです。更新ペースは滞ることになりますが、のんびりやることにします。  私の愛読するnote執筆者の方々も不調を訴える方が多いようです。ご健筆ぶりを拝見できない

          #番外 暑中お見舞い申し上げます

          #78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

           ヒマワリが咲く。東北八重というちょっと変わった品種。苗からずんずんと大きくなって、見事な花を咲かせた。広すぎる農園に、野菜以外のものをなんとなく育てたくなって植えたが、にぎやかになってよい。シルバーサンシャインという品種も、そう遠くないうちに咲くだろう。とても華やかで目立つので、他の畑の方たちにも評判だ。ちょっとでかくなりすぎだけど。  葉が黄色くなりはじめたので、ジャガイモを初めて収穫した。土寄せをおこたったこともあり、丸々と大きくなった、とはいかなかったけれど、コロコ

          #78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

          #77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

          「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない 精神科医、『自殺希少地域』を行く」(森川すいめい、青土社)  さて、この本について何か書くのは難しい。いろいろと思うところがありすぎて、書き切れない。しかもとても面白いので、どんどん読み進んでしまう。メモを取らずに読みふけってしまったので、書くべきことの多くを失念した。良さをうまく伝えられないのが残念だが、多くの人に手に取ってほしい一冊。  タイトルにある通りの内容。自殺する人が少ない「自殺過少地域」を精神科医が地元の人の話を聞き

          #77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

          #76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

           雨が降ると畑に行けないので本を読む。晴耕雨読とはこのことか。  世俗から離れ、穏やかな心持ちで書物に没頭できるかというと、そんなことはない。畑が気になり、なんとなく鬱々とした気分で過ごすことになる。仕事もそれなりに忙しい。  農園の運営を始めて初めての梅雨。この長雨の季節のことを、作物を育てる者としての視点からは、考えたこともなかった。恵みでもあり、災いでもある。大雨のニュースをみて、被害に遭われた人たちのことを思う。家屋はもちろんだが、畑や田んぼはどうなっているのだろ

          #76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

          #75 最近よんだもの(18) 半身でいこう

           「百年の孤独」(ガブリエル・ガルシア=マルケス、新潮社)は人にあげたりして、単行本で3回買った。池澤夏樹の読み解き支援キットをプリントアウトしたが、文庫版を買って久しぶりに読んでみようか悩んでいる。  「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(三宅香帆、集英社新書)  日本人と労働と読書について、働いて生きていくことについて、深く考察した一冊。著者の名前は近年、新聞の書評などで目にすることが増えたが、なるほどこんな本を書く人だったか。思いのほか味わい深く、骨太な印象のす

          #75 最近よんだもの(18) 半身でいこう

          #74 百鬼堂農園(22) 草生えるw

           わが農園のタヌキによるトウモロコシ被害を半ば強引に聞かされた、畑仲間の若き同僚が、「けさ採れたばかりのおすそ分けです」とズッキーニを2本くれた。深緑に輝いて美しい。「うれしい、ありがとう。でもお返しできるものはないよ」と応えるほかなかったが、人様にあげられるような立派な野菜をいつかつくってみたいと思った。  さて、梅雨入りしてから雑草の伸びがすごい。とはいえ放置しているわけではないので、草刈り機で一掃しなくてはならないほどではない。ブチブチと軍手で引っこ抜いたり、シャベル

          #74 百鬼堂農園(22) 草生えるw

          #73 最近みたもの(5) 振り返れば

           映画「ルックバック」をみてきた。藤本タツキの原作は公開された日に読んで衝撃を受けた。映画は、原作そのものより原作に近いのでは、と思うほどだった。泣けた。  休みだったので帰りにサウナに寄ろうと思ってお風呂セットを持って行ったが、場面やセリフを思い出しながらふらふら歩いて、なんだかよく分からないうちにどこにも寄らず帰宅していた。  上映後、席を立ったところで声をかけられた。振り返ると、泣いている男が立っている。同僚のデザイナーだった。  おそろしく優秀なデザイナーで、彼

          #73 最近みたもの(5) 振り返れば

          #72 百鬼堂農園(21) 野望のグリーンカーテン

          「キュウリ作らないの?接ぎ木の苗が安くなってるよ」  南東さんからあからさまな圧力がかかる。  キュウリは家庭菜園の中でも人気の野菜だ。ただ、食材として嫌いということはないが、積極的につくって食べたい、というほどではない。あと、ウリ科でツルを伸ばして成長するため、ネットを張らなくてはならない。100均で売っている材料で簡単に作れる、みたいな動画がたくさんアップされているが、やはり面倒くさそう。それでなんとなく手を出さずにいた。  ホームセンターにいって苗をみる。キュウリ

          #72 百鬼堂農園(21) 野望のグリーンカーテン