百鬼堂

読んだ本や始めたばかりの市民農園について書くことが多いです。衝動買いしたポメラで何かを…

百鬼堂

読んだ本や始めたばかりの市民農園について書くことが多いです。衝動買いしたポメラで何かを書いてみたい、と思ったのがnoteを始めたきっかけ。

マガジン

  • 百鬼堂農園

    土いじりなどしたことのないオッサンが畑に挑みます

最近の記事

#80 夏休み

 津村記久子の文庫を読み終え、内田樹の新刊を半分ほど読んだところで百年の孤独に手を出し、ホセ・アルカディオ・ブエンディアがスペインの巨大な帆船を見つけたあたりで本を閉じ、この文章を書き始めた。  田舎のひんやりと心地のよい早朝の大気が流れる中、適当な軽めのクラシックをBluetoothスピーカーが奏でている。夏休み5日目。休みは最長5日間と聞いていたが、頼んでないのに6日あった。  連休の最初に合気道の稽古と合気道関係者の集まりがあり、懐かしい顔にいくつか会う。その翌日、

    • #79 最近よんだもの(20) 現実逃避と外出忌避

       満を持して「百年の孤独」を買いに書店に行った。だが帰ってきたらマルケスの大著は手元になく、そこには「地球の歩き方 ムーJAPAN」があった。マコンドでもなかろうに、不思議なこともあるものだ。「神秘の国の歩き方」のサブタイトルは伊達ではないということだろう。愉快なことこの上ない一冊。  ここ1ヵ月ほど忙しいが、図書館の返却期限に追われ、現実逃避と外出忌避があいまって、エアコンの効いた室内で案外と本を読んだ。繁忙を極めた時期も終わりが見えてきて、遅く短い夏休みは近い。 「わ

      • #番外 ちゃちゃっと近況

         畑には2日おきくらいに通っています。早朝のみ短時間。毎回ミニトマトとオクラと大葉をいくつか収穫。キュウリはなぜか実をつけない。  車を買い替えることになった。手続き煩雑。  仕事は忙しい。人が足りない。  サウナには通っている。仕事がきつくなると行きたくなる。ほっといても汗をかくような暑さなのに、なぜわざわざ汗をかきに行くのか、とも思うが、水風呂と外気浴の爽快感はやみつきになる。  読書はしている。朝ドラも毎日見ている。総力戦研究所。ゲームも「祇(くにつがみ)」とい

        • #番外 暑中お見舞い申し上げます

           厳しい暑さが続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。  いや〜仕事が忙しい。おそらくお盆過ぎまでは地獄です。とはいえ勤務時間内の話で、畑には朝早く短時間だけちょいちょい通っています。暑いので読書もゲームもあまりやる気にならず、ダラダラしてます。  何が言いたいかと申しますと、執筆意欲も減退しがちだということです。更新ペースは滞ることになりますが、のんびりやることにします。  私の愛読するnote執筆者の方々も不調を訴える方が多いようです。ご健筆ぶりを拝見できない

        #80 夏休み

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        • 百鬼堂農園
          24本

        記事

          #78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

           ヒマワリが咲く。東北八重というちょっと変わった品種。苗からずんずんと大きくなって、見事な花を咲かせた。広すぎる農園に、野菜以外のものをなんとなく育てたくなって植えたが、にぎやかになってよい。シルバーサンシャインという品種も、そう遠くないうちに咲くだろう。とても華やかで目立つので、他の畑の方たちにも評判だ。ちょっとでかくなりすぎだけど。  葉が黄色くなりはじめたので、ジャガイモを初めて収穫した。土寄せをおこたったこともあり、丸々と大きくなった、とはいかなかったけれど、コロコ

          #78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

          #77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

          「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない 精神科医、『自殺希少地域』を行く」(森川すいめい、青土社)  さて、この本について何か書くのは難しい。いろいろと思うところがありすぎて、書き切れない。しかもとても面白いので、どんどん読み進んでしまう。メモを取らずに読みふけってしまったので、書くべきことの多くを失念した。良さをうまく伝えられないのが残念だが、多くの人に手に取ってほしい一冊。  タイトルにある通りの内容。自殺する人が少ない「自殺過少地域」を精神科医が地元の人の話を聞き

          #77 最近よんだもの(19) 自殺希少地域を歩く

          #76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

           雨が降ると畑に行けないので本を読む。晴耕雨読とはこのことか。  世俗から離れ、穏やかな心持ちで書物に没頭できるかというと、そんなことはない。畑が気になり、なんとなく鬱々とした気分で過ごすことになる。仕事もそれなりに忙しい。  農園の運営を始めて初めての梅雨。この長雨の季節のことを、作物を育てる者としての視点からは、考えたこともなかった。恵みでもあり、災いでもある。大雨のニュースをみて、被害に遭われた人たちのことを思う。家屋はもちろんだが、畑や田んぼはどうなっているのだろ

          #76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

          #75 最近よんだもの(18) 半身でいこう

           「百年の孤独」(ガブリエル・ガルシア=マルケス、新潮社)は人にあげたりして、単行本で3回買った。池澤夏樹の読み解き支援キットをプリントアウトしたが、文庫版を買って久しぶりに読んでみようか悩んでいる。  「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」(三宅香帆、集英社新書)  日本人と労働と読書について、働いて生きていくことについて、深く考察した一冊。著者の名前は近年、新聞の書評などで目にすることが増えたが、なるほどこんな本を書く人だったか。思いのほか味わい深く、骨太な印象のす

          #75 最近よんだもの(18) 半身でいこう

          #74 百鬼堂農園(22) 草生えるw

           わが農園のタヌキによるトウモロコシ被害を半ば強引に聞かされた、畑仲間の若き同僚が、「けさ採れたばかりのおすそ分けです」とズッキーニを2本くれた。深緑に輝いて美しい。「うれしい、ありがとう。でもお返しできるものはないよ」と応えるほかなかったが、人様にあげられるような立派な野菜をいつかつくってみたいと思った。  さて、梅雨入りしてから雑草の伸びがすごい。とはいえ放置しているわけではないので、草刈り機で一掃しなくてはならないほどではない。ブチブチと軍手で引っこ抜いたり、シャベル

          #74 百鬼堂農園(22) 草生えるw

          #73 最近みたもの(5) 振り返れば

           映画「ルックバック」をみてきた。藤本タツキの原作は公開された日に読んで衝撃を受けた。映画は、原作そのものより原作に近いのでは、と思うほどだった。泣けた。  休みだったので帰りにサウナに寄ろうと思ってお風呂セットを持って行ったが、場面やセリフを思い出しながらふらふら歩いて、なんだかよく分からないうちにどこにも寄らず帰宅していた。  上映後、席を立ったところで声をかけられた。振り返ると、泣いている男が立っている。同僚のデザイナーだった。  おそろしく優秀なデザイナーで、彼

          #73 最近みたもの(5) 振り返れば

          #72 百鬼堂農園(21) 野望のグリーンカーテン

          「キュウリ作らないの?接ぎ木の苗が安くなってるよ」  南東さんからあからさまな圧力がかかる。  キュウリは家庭菜園の中でも人気の野菜だ。ただ、食材として嫌いということはないが、積極的につくって食べたい、というほどではない。あと、ウリ科でツルを伸ばして成長するため、ネットを張らなくてはならない。100均で売っている材料で簡単に作れる、みたいな動画がたくさんアップされているが、やはり面倒くさそう。それでなんとなく手を出さずにいた。  ホームセンターにいって苗をみる。キュウリ

          #72 百鬼堂農園(21) 野望のグリーンカーテン

          #71 百鬼堂農園(20) 江戸川乱歩の害獣(嘘)

           トウモロコシが1本倒れていた。わが農園の作物の中では屈指の丈夫な茎で、風で倒れるのは考えにくい。倒された茎の先についた、まだ若いトウモロコシが強引にむかれ、ひっかかれ、食べられている。倒れていないものも含め、3つの房が被害に遭う。  ちょっとしたパニックになる。誰の仕業?鳥じゃないよね?たまたま畑にやってきた大東さんに「トウモロコシ、やられちゃったみたいです」と話す。トウモロコシの無残な姿をみた大東さんは、  「多分タヌキだと思います」  こんな住宅街に、タヌキが出る

          #71 百鬼堂農園(20) 江戸川乱歩の害獣(嘘)

          #70 百鬼堂農園(19) 姑獲鳥じゃなくて収穫の夏

           エダマメとトウモロコシを収穫した。豊作とは言い難いけれど、エダマメはできのよい2株、トウモロコシも比較的大きな2本をもぎ取った。トウモロコシは皮をむいてみたら思ったより小さく、ちょっと早かった。  エダマメもトウモロコシも、甘い。本当にうまい。  残った株はあまり期待できないけれど、今回食べたものに関しては満足度は高く、感動を禁じ得ない。妻にも食べてもらったところ、おいしいとのことで、好評だった。いやあ楽しいね。たまたま家に帰ってきていた息子にもエダマメを食べさせたが、

          #70 百鬼堂農園(19) 姑獲鳥じゃなくて収穫の夏

          #69 百鬼堂農園(18) ネギとわたくし

           ネギについてこれほど考えている人間がほかにいるだろうか。  6~7月はネギを植える季節。今までそんなことを知らずに生きてきた。しかし、知ってしまった限りは植えなくてはならない。そんな気分でこの数日間過ごしてきた。  ネギは植えないのか、と南東さんに厳しめの口調で何度か指摘されていた。いやでも難しそうだし、やってみたいけど苗売ってるの見たことないんですよ。「ホームセンターの店の外の苗売り場じゃなくて、店の中だよ。観葉植物とか売ってるところ」  売っていた。30本348円

          #69 百鬼堂農園(18) ネギとわたくし

          #68 百鬼堂農園(17) NOT UNDER CONTROL

           妻が所用のため何日か実家に帰った。妻が育てているベランダの花に水をやり、リビングにPS5を移し、Rise of the RONINというゲームを始める。幕末を舞台にしたオープンワールドアクションロールプレイングゲーム(長い)。セールになっていたので買ったけど、キャラクターのクリエイトだけで疲れた。読まなきゃならん本が山積みで、ゲームどころじゃなかった。  風の影響だろうか、ミニトマト苗1本がべったりと地に伏せるように倒れていた。枯れてはいないので、急いで起こして支柱に結わ

          #68 百鬼堂農園(17) NOT UNDER CONTROL

          #67 最近よんだもの(17) アレ読んでますか?

           「存在のすべてを」(塩田武士、朝日新聞出版)  面白かった。とてもよくできた感動的な物語。意地の悪い言い方をすると、「方舟を燃やす」のような、得体のしれない凄みのようなものはない。  著者は元新聞記者。意図して書いているんだろうけど、ブンヤ稼業のプライドが見え隠れする。いやプライドとは違うな。なんだろな。取材も構成も描写も文句のつけようがないんだろうけど、ブンヤ臭がきつい。これは読み手としての自分の問題なのだが。  この本を読み終えた翌日、著者と面識のある方とたまたま

          #67 最近よんだもの(17) アレ読んでますか?