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百鬼堂農園

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土いじりなどしたことのないオッサンが畑に挑みます
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#89 百鬼堂農園(30) 残渣と出がらし

#89 百鬼堂農園(30) 残渣と出がらし

 朝ドラ「虎に翼」はついに終幕。充実した時間でした。このドラマについては、またいつか。

 トウガラシは今季最後の収穫。こんなに美しい赤色がほかにあるだろうか。たった2株から次から次へと実をつけ、思っていた量の10倍くらい、トータルではバケツ2杯以上採れたのではないだろうか。この夏は人生最大量のカプサイシンを摂取して、体脂肪が燃焼しまくってすっきりとした。

 というのは全くの嘘で、脂肪燃焼効果を

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#88 百鬼堂農園(29) 鍋具材農家への道

#88 百鬼堂農園(29) 鍋具材農家への道

 朝ドラ「虎に翼」は大団円に向かっている。このドラマを巡っては、放送終了後に同僚何人かと飲み会を開くことにしている。それに先だって、奥さんとの飲み会をやる。楽しみである。

 ようやく涼しくなった。先週末はまだ暑く、畑仕事に夢中になっているうちにちょっと熱中症気味になってしまった。作業中に耐えられなくなり、近くの公園の日陰に2度避難し、水筒の水を飲み干し、頭から水道の水を浴びた。後の体調不良の一因

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#85 百鬼堂農園(28) 種を蒔かずば実は付かず

#85 百鬼堂農園(28) 種を蒔かずば実は付かず

 ここ数日ずっと大根のことを考えている。他のことが手につかない…ほどではないが、ずっと気になっている。

 同僚のベテラン菜園家と、秋冬の農園経営について話していたところ、大根をやるなら早く種をまいた方がいい、という。本来は8月にまくべきなのだが、近年は暑さが9月も10月も続くので、すぐに種まきをすれば間に合うという。小松菜などの葉物もこれから育てるのによいのだが、あまり心が躍らない。育てるなら実

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#83 百鬼堂農園(27) 野菜採れすぎ問題

#83 百鬼堂農園(27) 野菜採れすぎ問題

 異例ずくめの台風10号だったが、熟したミニトマトがいくつか落ちたくらいで、わが農園には被害といえるほどのものはほぼなかった。被害に遭われた農家のみなさんにはお見舞いを申し上げます。市場の野菜が高騰しても払えるものはしっかり払おうと思う。農作物に正当な対価を払うべきだと強く感じるようになったのは、農園経営を始めてから。市場価格は安すぎるのでは、と感じるようにもなった。まあ高くても困るけど。

 採

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#82 百鬼堂農園(26)と最近よんだもの(22)農と書物・下

#82 百鬼堂農園(26)と最近よんだもの(22)農と書物・下

 最近、畑に行くのは早朝で、さっとミニトマトなど収穫して虫にさされないうちに足早に畑を去る。滞在時間が短いため、同じ市民農園の方々とまったく会わなくなってしまった。周囲の畑をみれば手入れも収穫もされているようだが、少々さみしい。会って話を始めると長話になりそうなので、結果的には熱中症の危険を避けていることになるのだろうけど。

 農関連の本についての続きです。

「百姓貴族」(荒川弘、ウィングス・

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#81 百鬼堂農園(25)と最近よんだもの(21) 農と書物・上

#81 百鬼堂農園(25)と最近よんだもの(21) 農と書物・上

 ヒマワリが枯れ始めた。まだ咲いている花もいくつかあるので、はさみで切って持ち帰り、花瓶に挿してみた。いけばなについて書かれたnote記事を愛読して興味をもった影響だろうけど、切り花を持ち帰って生けるなど初めてだ。不思議な感動がある。

 今回は農園日記と読書記録のコラボ。というほどたいしたもんではないけれど。通し番号がいろいろ重なるのを仕事では毛嫌いしているのだが、ここではやってしまった。

 

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#78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

#78 百鬼堂農園(24) OUT OF CONTROL

 ヒマワリが咲く。東北八重というちょっと変わった品種。苗からずんずんと大きくなって、見事な花を咲かせた。広すぎる農園に、野菜以外のものをなんとなく育てたくなって植えたが、にぎやかになってよい。シルバーサンシャインという品種も、そう遠くないうちに咲くだろう。とても華やかで目立つので、他の畑の方たちにも評判だ。ちょっとでかくなりすぎだけど。

 葉が黄色くなりはじめたので、ジャガイモを初めて収穫した。

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#76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

#76 百鬼堂農園(23) 晴耕雨読の日々

 雨が降ると畑に行けないので本を読む。晴耕雨読とはこのことか。

 世俗から離れ、穏やかな心持ちで書物に没頭できるかというと、そんなことはない。畑が気になり、なんとなく鬱々とした気分で過ごすことになる。仕事もそれなりに忙しい。

 農園の運営を始めて初めての梅雨。この長雨の季節のことを、作物を育てる者としての視点からは、考えたこともなかった。恵みでもあり、災いでもある。大雨のニュースをみて、被害に

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#74 百鬼堂農園(22) 草生えるw

#74 百鬼堂農園(22) 草生えるw

 わが農園のタヌキによるトウモロコシ被害を半ば強引に聞かされた、畑仲間の若き同僚が、「けさ採れたばかりのおすそ分けです」とズッキーニを2本くれた。深緑に輝いて美しい。「うれしい、ありがとう。でもお返しできるものはないよ」と応えるほかなかったが、人様にあげられるような立派な野菜をいつかつくってみたいと思った。

 さて、梅雨入りしてから雑草の伸びがすごい。とはいえ放置しているわけではないので、草刈り

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#72 百鬼堂農園(21) 野望のグリーンカーテン

#72 百鬼堂農園(21) 野望のグリーンカーテン

「キュウリ作らないの?接ぎ木の苗が安くなってるよ」

 南東さんからあからさまな圧力がかかる。

 キュウリは家庭菜園の中でも人気の野菜だ。ただ、食材として嫌いということはないが、積極的につくって食べたい、というほどではない。あと、ウリ科でツルを伸ばして成長するため、ネットを張らなくてはならない。100均で売っている材料で簡単に作れる、みたいな動画がたくさんアップされているが、やはり面倒くさそう。

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#71 百鬼堂農園(20) 江戸川乱歩の害獣(嘘)

#71 百鬼堂農園(20) 江戸川乱歩の害獣(嘘)

 トウモロコシが1本倒れていた。わが農園の作物の中では屈指の丈夫な茎で、風で倒れるのは考えにくい。倒された茎の先についた、まだ若いトウモロコシが強引にむかれ、ひっかかれ、食べられている。倒れていないものも含め、3つの房が被害に遭う。

 ちょっとしたパニックになる。誰の仕業?鳥じゃないよね?たまたま畑にやってきた大東さんに「トウモロコシ、やられちゃったみたいです」と話す。トウモロコシの無残な姿をみ

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#70 百鬼堂農園(19) 姑獲鳥じゃなくて収穫の夏

#70 百鬼堂農園(19) 姑獲鳥じゃなくて収穫の夏

 エダマメとトウモロコシを収穫した。豊作とは言い難いけれど、エダマメはできのよい2株、トウモロコシも比較的大きな2本をもぎ取った。トウモロコシは皮をむいてみたら思ったより小さく、ちょっと早かった。

 エダマメもトウモロコシも、甘い。本当にうまい。

 残った株はあまり期待できないけれど、今回食べたものに関しては満足度は高く、感動を禁じ得ない。妻にも食べてもらったところ、おいしいとのことで、好評だ

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#69 百鬼堂農園(18) ネギとわたくし

#69 百鬼堂農園(18) ネギとわたくし

 ネギについてこれほど考えている人間がほかにいるだろうか。

 6~7月はネギを植える季節。今までそんなことを知らずに生きてきた。しかし、知ってしまった限りは植えなくてはならない。そんな気分でこの数日間過ごしてきた。

 ネギは植えないのか、と南東さんに厳しめの口調で何度か指摘されていた。いやでも難しそうだし、やってみたいけど苗売ってるの見たことないんですよ。「ホームセンターの店の外の苗売り場じゃ

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#68 百鬼堂農園(17) NOT UNDER CONTROL

#68 百鬼堂農園(17) NOT UNDER CONTROL

 妻が所用のため何日か実家に帰った。妻が育てているベランダの花に水をやり、リビングにPS5を移し、Rise of the RONINというゲームを始める。幕末を舞台にしたオープンワールドアクションロールプレイングゲーム(長い)。セールになっていたので買ったけど、キャラクターのクリエイトだけで疲れた。読まなきゃならん本が山積みで、ゲームどころじゃなかった。

 風の影響だろうか、ミニトマト苗1本がべ

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