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#89 百鬼堂農園(30) 残渣と出がらし

 朝ドラ「虎に翼」はついに終幕。充実した時間でした。このドラマについては、またいつか。

 トウガラシは今季最後の収穫。こんなに美しい赤色がほかにあるだろうか。たった2株から次から次へと実をつけ、思っていた量の10倍くらい、トータルではバケツ2杯以上採れたのではないだろうか。この夏は人生最大量のカプサイシンを摂取して、体脂肪が燃焼しまくってすっきりとした。

 というのは全くの嘘で、脂肪燃焼効果を上回る食欲増進効果があったことをご報告します。おいしかったですよ。

 残渣(ざんさ)。野菜の収穫後に残った茎や葉やつるなどの残骸のことで、半世紀を超す人生で、ほとんど口にしたことのない言葉である。畑を覆うこれらを片付けないと、次の野菜が育てられない。

 枯れかけたミニトマトやキュウリを引っこ抜き、畑の隅に重ねていく。発酵しこなれてきたら、畑にまいたり埋めたりするのが適当なのだろう。このあたりのやり方は、書物やYouTubeなどでまだ知見を得ていない。

 あまりに大きく長く育ったものは、はさみで切ってから捨てる。ネットに巻き付いたつるを外すのが少々面倒。枯れていても案外と取れないのだ。ヒマワリとオクラは一部は処分したが、まだ残っている。どちらも茎は太くて固く、これはもはや樹木に近い感覚だ。収穫などに使う園芸用の小さなはさみでは、もはや太刀打ちできないので、しっかりとした剪定鋏を導入しようかと考えている。

 生木を切るのは大変だが、切らずに引っこ抜いてしばらく放置してある程度枯れてくれば、バキッと折ることも可能だということがわかった。木の枝が出せるゴミの日に縛って出すか、鋏で細かく切って埋めるのもいい、と南東さんが教えてくれた。できれば土に返したい、と思っている。

 片付けや掃除が得意なほうではない。だが、畑の片付けは思っていたほど苦労を感じなかった。畑がすっきりするのは気持ちがよい。そして種をまき、苗を植えることの準備だと思うと、やはり心が躍る。

 茎や枝葉が朽ちて、巡り巡って畑の栄養となり、再びみずみずしい野菜となる。「虎に翼」で穂高先生の言った「立派な出がらしになってくれたまえ」というセリフを思い出す。感傷に浸っている場合ではない。急いで残りを片付けないと、ハクサイを育てるスペースがない。

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