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『声なきものの声を聴く──ランシエールと解放する美学』 試し読み公開!
弊社既刊、『声なきものの声を聴く──ランシエールと解放する美学』のまえがきを公開します。本書は、フランス現代思想の重鎮、ジャック・ランシエールの美学思想をテーマとし、ランシエールの思想を通じて、下記のような疑問に迫る一冊です。
現代思想は、内輪で各々の思想を卓越化し合うだけで、実際的な力を持っていないのではないか?
現代思想は机上の空論で、今なお続く世界の悲惨を変えてはくれないのではないか?
【不完全な社会をめぐる映画対話】河野真太郎×西口想「ハラスメントがある世界で、いかに作品と向き合うか」──『セッション』『スタンドアップ』『スキャンダル』『トランスジェンダーとハリウッド』『ミッドナイトスワン』
「この映画の社会問題の描き方に疑問を感じる」
「好きだった作品の監督がセクハラをしていた」
「通っていた映画館でパワハラが横行していた」……
近年、映画と社会のかかわりを考えるときに、「ハラスメント」の問題は避けては通れなくなっています。私たちはこの問題にどのように向き合えばよいのでしょうか?
ポップカルチャー批評で注目の集まっている、文筆家の西口想さん、英文学者の河野真太郎さんのお二人に議論し
【試し読み】 『気候リヴァイアサン』日本語版への序文
6月発売の新刊、『気候リヴァイアサン──惑星的主権の誕生』の日本語版序文を公開します。本書は、気候変動の影響によって出現が予見される巨大権力、「気候リヴァイアサン」を巡る未来像を描出するものです。
原書は2018年に刊行されていますが、こちらの序文は2022年に日本の読者に向けて執筆されたより新しいものです。
日本語版への序文本書は急速な気候変動という状況下において、世界の政治的未来を考察してい
【特別公開】「君は神戸に行ったか」──『残らなかったものを想起する』「おわりに」
「君は神戸に行ったか」
1995年1月、阪神・淡路大震災が起きたあと、ある雑誌の見出しに踊っていた言葉だ。のちに「ボランティア元年」と名付けられる当時の神戸には、多くの人々がやってきた。傷ついた人の力になりたいと駆けつけた人、ある種の興奮状態でいてもたってもいられずやってきた人、「火事場見物」の興味本位でやってきた人。当時の神戸には、「助けになりたい」という共通認識ではまとめきれない、多様な理由
【三田三郎連載】#013:急性胃腸炎と第一歌集と葉ね文庫
※こちらのnoteは三田三郎さんの週刊連載「帰り道ふらりとバーに寄るようにこの世に来たのではあるまいに」の第十三回です。
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急性胃腸炎と第一歌集と葉ね文庫 私は仕事中に急性胃腸炎で救急搬送されたから、「葉ね文庫」という書店へ通うようになった。
これだけを書くと頭がおかしくなったと思われそうだが、確かに因果はそのように結ばれたのだ。では、実際にどのような経緯で私が葉ね文庫
【いま、何も言わずにおくために】#002:演じる、記憶する、やってみる 後編|森脇透青・渡辺健一郎
※こちらのnoteは森脇透青さんの不定期連載「いま、何も言わずにおくために」第二回の後編です。
前編はこちらから。
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誤読されること、ずれること渡辺
私は今でこそ批評家を名乗っていますが、2年くらい前まではほとんど書いてこなかった人間なので、今「顔の見えない読者に向かって書く」ということに強く悩まされています。誤読されることを恐れて、書くことに臆してしまうというか。俳優が、
【いま、何も言わずにおくために】#002:演じる、記憶する、やってみる 前編|森脇透青・渡辺健一郎
※こちらのnoteは森脇透青さんの不定期連載「いま、何も言わずにおくために」第二回の前編です。他の記事はこちらから。
森脇
『いま、何も言わずにおくために』という連載の初回は書き下ろしでしたが、今回以降はゲストを招いて対談を行います。第一回のゲストとして、渡辺健一郎さんに来ていただきました。渡辺さんは『演劇教育の時代』というテキストで群像新人賞を取られて、演劇に関わっていらっしゃいます。この連載