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2021

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#百姓

晴天好日。

晴天好日。

畑周りもすっかり片付けて

落ち葉集めも一段落したし

さして忙しくもないくせに

忙しい気分になっていて可笑しい

庭先で冷たい風に当たりながら

ふと空を見上げたら

すっかり葉を落とした木々の間に

冬の高い青空が思いのほか広い

ふうっと深呼吸しながら

いい一年を過ごせたなあと独言つ

森と畑と鳥と土と緑と赤と春夏秋冬を思い

来年もまたいい一年にと願うひととき

師走もここまで来れば

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期間限定・菜飯定食

期間限定・菜飯定食

お待たせいたしました菜飯定食でございます。

ご飯は麦飯。

千切りにした生姜をたっぷりいれて

白だしにちょいと醤油を加えて炊き込んで

炊き上がったら塩揉みしたかぶの茎を混ぜ込みます。

お味噌汁は豚汁。

畑でとれた里芋、蕪、人参、長葱と豆腐に椎茸。

切れ端の豚肉の油がいいお出汁。

仕上げに蕪の葉っぱを散らして。

付け合わせには

菊芋の甘酢づけと白菜の漬物。

どちらも柚子の香りがい

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キッチンガーデンの夢

キッチンガーデンの夢

食べる分だけをちょっとずつ。

そんなふうに野菜を畑から摘んでくる。

今日の収穫は

菊芋3個とカブ2つ小松菜と水菜をふた株ずつ。

それとネギとにんじん2本ずつ。

小さな畑にいろんな野菜を少しずつ育てて

食べる分だけをちょっとずつ。

形が悪くても、ちょっと虫が喰っていても、

自分で食べるなら問題なし。

そんなふうに

みんなが小さな畑で

自分で食べる野菜を育てたら

きっともっと食

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秋の田んぼとSDGs

秋の田んぼとSDGs

毎一日の氏神詣の帰り道

澄み渡る空を見上げて散歩道

水路沿いを歩いて出会ったのは

昔ながらの田んぼの景色

たわわに実った稲を根本から刈りとって

田んぼに建てた竹竿に袈裟懸け天日干し

お日様と秋風を受けて十分に乾いたら

実の部分だけを千歯扱きで梳きとって、

籾殻付きの美味しいお米へ

実を取って残った部分も捨てることなく有効利用

稲藁は家畜の餌や畑の優れた保温保湿材として

精米し

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生姜の掘り起こし

生姜の掘り起こし

若葉の頃に植え付けてから

春夏秋をじっくり育った生姜の子

ピンと伸びた緑葉が枯れて

いよいよ そろそろ収穫のサイン

土くれの中の立派な塊をイメージし

そろりそろりと掘り出せば

鼻先に感じる爽やかないい香り

薄紅の根本が現れてその先に連なる新生姜

さらにその先にお馴染みの根生姜が顔を出す

煮物に焼き物に炒め物

和食に中華に洋食

どんな料理も引き立てる名脇役は

身体を芯から温め

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秋の風景

秋の風景

冬越し野菜の植え付けを終えて

あれこれ芋掘り作業もひと段落で

今日は畑をひと休み

好天に誘われて近所を散歩

秋ど真ん中をからだに浴びる

見上げれば、天高く遥かに浮かぶ銀の翼

緩やかな川の流れには染め始めの紅と青空、そして白い雲

社の紅葉は陽の当たる場所から染まり始めてグラデーション

銀杏葉は黄色く、桜葉は茶色く

足元の枯葉の間には鮮やかな藍色の竜胆

畑に続く畦の坂道には菊の花

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菊芋の収穫

菊芋の収穫

初めて育てた菊芋4株

背高のっぽの黄色い花が

根元にたくさんのみのりをこしらえた

背高のっぽを支えるために

四方に張り巡らせた根っこの先の

あちらこちらでみのらせたので

小芋まで残さず掘るのは大変そう

なるほどそれが彼らの生き残り策

掘り残しから次の芽が

新しい命をつないでゆく

芋と言いつつシャキシャキで

百合根のような舌触り

甘味もホクホク感も少ないけれど

高血圧に効く

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キアゲハの子

キアゲハの子

晴れ渡る空 少し冷たい風

病明けの身体を慣らしながら

陽だまりで久しぶりの土弄り

ニンジンの畝で野の草退治 その最中

目に飛び込んで来たキアゲハの子

この親にしてこの子ありの美形

葉茎を喰らい ムチムチのマルマル

ニンジン色のドットが可愛らしい

が よく見れば 周りに仲間もいるし

放置すれば 畝ごと全部丸裸の予兆

ひとさま分の青果を確保するには

心を鬼に虫退治やむなしか

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九里四里うまい十三里

九里四里うまい十三里

数日続けて晴れた秋の週末

やや遅ればせながらさつまいもを掘る

5月の半ばに苗を植え付けてから150日

ほぼ手間なしで育ってくれた孝行者は

この夏の天候不順にもめげないで

四方八方に蔓を伸ばして葉を茂らせ

たっぷりしっかり芋を太らせた

数が欲しけりゃ苗を寝かせて

でかくしたけりゃ突き刺して

植え付けの時に先輩に教わった通り

今年の畑は大きめの芋がゴロゴロリ

数日寝かせてうまみを

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再起動

再起動

思いの外長引いた副反応を振り払おうと

明るい陽射しに包まれた畠に出れば

伏せる前日に播いた種が土を跳ね上げて

背伸びをしながら出迎えてくれる

ご無沙汰していたこの数日の

畑とお日さまの仕事ぶりに笑みが漏れ

くすぶっていた頭痛も一気に晴れ渡る

胸いっぱいに吸い込む久々な感じの大地の匂い

伸びる気満々の活力溢れる芽吹きの萌え色

よし、スイッチ入ったぞ

さぁ、ここから新しい季節を再起

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秋空高く菊芋の花

秋空高く菊芋の花

久々の、

本当に久々のしっかりした太陽

雲は高く流れは早く 

心地よい風が吹く

そこはかとなく 

秋を少しだけ感じながら

長雨に出鼻を挫かれた畑仕事に汗をかく

見上げれば 空近く菊芋の花

人さまの目などお構いなしに

もう手の届かない幹の先 

陽の指す方へと咲き競う

収穫まではまだふた月 

願わくば台風 長雨を乗り越えて

秋が深まるその頃に

豊かな収穫を迎えられますように

青唐辛子醤油

青唐辛子醤油

猛烈な暑さと渇きが続いたと思ったら

前代未聞の長雨と低温と

制御不能な天候不順だった今年の夏

それを乗り越え実った頑張り屋の唐辛子

鷹の爪とペッパーソースにする分を差引いて

早目に収穫してきた100本余の青い実を

丁寧に水洗いして水気を切って

適当な大きさに小口切り

大きめのガラス容器は熱湯消毒

旨味の強い昆布醤油と放り込む

そのまま寝かせて五日間

青臭さと爽やかな辛みがたま

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それぞれの芋・それぞれの解

それぞれの芋・それぞれの解

植物にとって何よりも大事な命題は

「太陽の光をたくさん集める」こと。

光合成をし、栄養分を製造し

虫や病原菌に負けない身体を作り

子孫を残すために蓄える。

そのシンプルで命がけの問いを解くために

それぞれの植物はそれぞれに

個性的なアプローチを持っている

さと芋は

誰にも負けない大きな葉っぱで

さつま芋は

どこまでも広がる地を這う蔓で

きく芋は

3メートルにも迫る高い背丈

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星の種ー8月の星々ー

星の種ー8月の星々ー

昔、北の森には、毎年夏の終わりに、たくさんの星が降った。

人々は星を集めて豊かな黒土の畑に蒔いた。

その種はたちまち芽吹き 

すくすくと育ち鮮やかな花を咲かせると

たくさんの小さな実をつけた。

すすきを揺らす風がそよと吹く頃 

その実は風に乗って勢いよく空に舞い上がり

そのまま輝く星になった。