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読み書き

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読んだ本の書評,感想,書いた小説など、Text の倉庫。
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Short Story * Alone and Around Forty かな子の場合

Short Story * Alone and Around Forty かな子の場合

友だち申請とかフレンド登録って、好きじゃない。

そもそも、友だちってなに?
楽しく遊ぶ仲間が、寂しい時や落ち込んだときに寄り添ってくれるとは限らない。
遊び友だちと寄り添ってくれる人が別だったとしても、その考え方自体が自分本位であって、相手がどう思っているかは本当のところ、わからない。

こちらが友だちだと思っていても、相手は違うかもしれないし、その逆もあるかもしれない。
考え方が十人十色である

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理由なき焦燥 と 涙活

理由なき焦燥 と 涙活

原因不明の焦燥感というのは、生きていれば誰にでもあるのかもしれない。

という落語の一節があったらしいが、そんなことよりこの心の乱れをどうにかせねば。
こういう場合は息が上がるくらい全速力で走るとスッキリする場合がある。
とはいえ急な動きは怪我につながることもあるので全速力は避け、時々軽く走る程度のwalkingに出かけた。

2.5kmほどの道のりも、運動不足な私にとっては程よい距離である。

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日本人の法意識 * 読んだ

日本人の法意識 * 読んだ

難しそうなタイトルの本だが、外国人とビジネスをするうえで『日本人あるある』が書かれていて、飛鳥時代から及ぶ和の精神がよく分かった本。

先日、在宅勤務中に警察官が来て、居住者情報を記載するように言われた。
こうした場合、市役所でも郵便局でも調べられるような、国にとっては簡単なことを、なぜわざわざ個人宅を回って記載してもらっているのだろうとぼんやりと思っていた。

私は日本国民として重要な基本原則を

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雪国 * 読んだ(ネタバレあり)

雪国 * 読んだ(ネタバレあり)

え …… なにこれ、エロい。
こんなの中学生の教科書に載せちゃって委員会。というのは8ページ目だけだし、中学生には意味が分からないかもね。

そして読了後にドラマも観てみた。
ドラマのネタバレを含むので、ぜひ原作とドラマを両方楽しんでから本文を読んでいただきたい。

クズ男と呼ばれる類の男に耐性がない方は、
チェーホフの『犬を連れた奥さん』
ラディゲの『肉体の悪魔』
ツルゲーネフの『はつ恋』
その

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ムツェンスク郡のマクベス夫人 * 読んだ

ムツェンスク郡のマクベス夫人 * 読んだ

この作品はオペラ化されているものの、原作書籍は青空文庫にしかなかったので読んでみた。

今更ながら思ったのだが、青空文庫は読み放題で、なおかつビジネス書や自己啓発本の類は、いっさい存在しないのが良い。
どれをとっても古典文学で、わりと短編が多いのも手軽で良い。
ありがたく、もっと活用させていただこう。

悲しみよこんにちは * 読んだ

悲しみよこんにちは * 読んだ

私は文学作品を読んで感銘すると、二次創作癖が疼いてしまう性質がある。
いま私はこの作品の二次創作をしたくなっている。

検索するとまっさきに昭和の懐メロがヒットしてしまうほど超有名なタイトル故に、軽薄なイメージが拭えずどうしても手が伸びなかった小説。

だが蓋を開けてみれば、パリピJKが書いた作品とは思えない、揺れ動く心理の言語化の巧みさはラディゲとも共通するものがあるように感じた。
どちらも十代

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La Porte étroite * 狭き門 * 読んだ

La Porte étroite * 狭き門 * 読んだ

偶然にも併読していたのがフランス文学だったのだけれど、この作品を原文で読めるようにはなっていないので、当然ながら和訳版を読んだ。

できるだけ、読んだ人にしかわからないように書いたつもりだが、ネタバレしないように感想文を書くのはとても難しい。

デカダン爵 ボードレール *去っていった女

デカダン爵 ボードレール *去っていった女

プロの翻訳では、愛した女が去ったあと強がったように「ただの通りすがり」と訳されているが、私の解釈では未練たっぷりに飲んだくれている切ない男の背中が見える、そんな詩だと思った。

解説では、パリの雑踏の一瞬を切り取り、通りすがりの美しい女性に亡き母の姿を重ねたというものだった。

正しく解釈できなかったとしても、脳内で情景や物語が思い浮かんだら、それだけでもなんか良い。

A une passant

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ジュール・ラフォルグ *フランス詩 我流和訳

ジュール・ラフォルグ *フランス詩 我流和訳

少しずつ熟語も取り入れてみた。
詩ってぼんやりしてるからそれぞれの解釈があって、はっきりとした正解がないから気が楽なのかもしれない。

対訳本で答え合わせをしたら、だいぶ違う部分もあって笑ってしまった。

フランス詩を読む
(20)ラフォルグ「つかのまの喜劇」(「詩学」2004年8月号より)

ある意味、詩だからこそ、自由に解釈するのもまた楽しい。

ランボー拘りの和訳 *我流フランス語

ランボー拘りの和訳 *我流フランス語

アルチュール・ランボー はよく聞く名前だし、海外古典文学を多読するようになってから、怒りながら機関銃をぶっ放し脱出する人ではなく、詩人だということは知っていた。

でも、どんな詩を書いているか知らなかったのだ。
今夜、彼の詩を原文から和訳するまでは……。

尾崎豊の歌のようだ。
彼がランボーを読んでいた可能性も高いし、彼自信のキャラクターや年齢的偶発性もあるのかもしれない。

ランボー、怒って機関

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種の起源 *読んだ

種の起源 *読んだ

ずっと積んでいたチャールズ・ダーウィンを、ついに読了。

神が創造した世界という設定を覆す研究結果の論文は、発表するには危険すぎて躊躇していたが、科学者仲間のウォレスに勇気づけられ発表した。

そのような背景がある中で書かれているので、動植物は同じ種を祖として進化したものであり、人間もまた動物と同じように進化したということを、再三にわたり執拗なまでに何度も書かれている。

その根拠を示すのに、地質

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