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歴史考察

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歴史について考察した記事をまとめています。
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#イギリス

「光栄ある孤立」の盛衰 ~パックス・ブリタニカの外交~

「光栄ある孤立」の盛衰 ~パックス・ブリタニカの外交~

19世紀のイギリスの外交、その変遷!
そこは「歴史の教訓」の宝庫とも言えます。

世に名高い「大英帝国」。
グレートブリテンの栄光、すなわち
「パックス・ブリタニカ」
と呼ばれる世界が出来上がっていきました。

…21世紀に生きる私たちは、
20世紀の「第一次世界大戦」によって
この世界秩序が崩壊し、
「第二次世界大戦」後には多くの国が独立、
世界が変わったことを知っています。

ただ、だからこそ

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14歳でケンブリッジ、24歳で首相

14歳でケンブリッジ、24歳で首相

「いやいや、そんな人、マンガじゃあるまいし、
いるわけないじゃないですか!
『主人公補正』にもほどがあるのでは?」

…そう思いましたか?

ケンブリッジ大学と言えば、英国の名門大学!
そこに14歳で入れるわけがない。
その後24歳で首相というのもありえない。

…それがですね、いるんですよ。歴史上で。
フィクションでは、ない。

実は14歳でケンブリッジ大学入学、
という人は、最近にも一人いるそ

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摂政ダイヤモンドが見たもの

摂政ダイヤモンドが見たもの

ダイヤモンドは永遠の輝き…とは言いますが、
世に名高いダイヤは数奇な運命を
辿ることが多い。

ダイヤモンドは、とても硬いものです。
揺るぎない。
何者にも侵されない!
周りの者たちが諸行無常の変転を経る中で、
その輝きをずっと保ち続けます。

不易と流行。
変わらないものと、変わっていくもの…。

そんな歴史の一ページを、
「摂政ダイヤモンド」と呼ばれる一つの
ダイヤに託して紹介してみたいと思い

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ネイボッブと「カレー」の起源

ネイボッブと「カレー」の起源

日本のカレーの起源は、イギリスから。
インド直輸入、インドから直接ではない。

インドで食べられていた
「スパイシーな香辛料を使った料理」が、
インドを植民地化していった
「大英帝国」イギリスにもたらされ、
「カレー(カリ)」となって、

それが明治維新期の日本に
イギリス人、欧米から紹介されて、
「カレー」という料理として
日本全国へと広まっていった…。

ワンクッション、挟まっている。
イギリ

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Red Flag act ~イノベーションへの摩擦~

Red Flag act ~イノベーションへの摩擦~

世界を変えた箱、その名も「自動車」!

18世紀に生まれた自動車は、
19世紀にガソリンの内燃機関を備えて、
20世紀にはどんどん世界で普及していき、
21世紀の今では「普通」に使われています。

マイカーの所有の有無にかかわらず
「自動車なしの社会」が考えられないほど、
世界に欠かせない箱になっている。

…ただですね、このような
世界を変えていくような
大きなイノベーションが起きる時には、

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大隈重信、早稲田と伊藤

大隈重信、早稲田と伊藤

「伊藤公(伊藤博文)は最初から慎重に打つ。
大隈侯(大隈重信)は何も考えずに打つ。

局面が不利になると、大隈侯は初めて考える。
もとより頭脳の良い人である。
妙な手を考え出し、血路を拓くことはある。
しかし大隈侯が考える時には、
既に局面が収拾できない状態だ。
結局、負け碁になることが多かった。

伊藤公は、初めから定石通りに、
慎重に考えて打つから、破綻が少ない。
大隈侯は難局にならなければ知

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ヌーベルフランスの興亡

ヌーベルフランスの興亡

北アメリカ大陸のカナダの東部には
「ケベック州」が広がっています。

州都は、ケベック・シティ。
最大の都市は、モントリオール!
人口約176万人の大都市で、
カナダで二番目に人口の多い街です。

カナダと言えば、元々はイギリスの自治領。
イギリスの植民地だったから英語、
というイメージが強いのですが、
ケベック州における公用語は「フランス語」。
カナダ全体でも、国民は
幼少期からフランス語も学ん

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眠る江戸、戦う西洋

眠る江戸、戦う西洋

…と詠まれた「黒船の来航」。
1853年。アメリカのペリー。
『西洋の衝撃』、ウェスタンインパクト!

「泰平の眠り」のスリープ状態の日本は、
長崎などの例外は除き、
いわゆる「鎖国」状態にあった。
1603年に徳川家康が幕府をひらいてから、
1853年まで約250年、江戸時代。長い。

それにしても「黒船」です。
「開国」「攘夷」で世論も分かれ、
ついに「大政奉還」「王政復古の大号令」!
倒幕、

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スエズ動乱と「現在の世界史」への実用

スエズ動乱と「現在の世界史」への実用

「世界史」を学ぶと大まかな世界の動きが
わかってきますよね。

15~6世紀からの「大航海時代」と
ポルトガル、スペインの拡大と支配。
17世紀は「オランダの時代」。
各国の世界各地での植民地争奪戦争を経て、
19世紀には「大英帝国の繁栄」へ。

しかし20世紀に入ると「世界大戦」が起き、
ヨーロッパ諸国が植民地や勢力を
失っていくのと引き換えに、

アメリカ合衆国とソ連の勢力が拡大、
いわゆる「

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スコットランドのミュアフィールド

スコットランドのミュアフィールド

サッカー(フットボール)発祥の地、イギリス!
しかしイギリス、と一口に言っても、
サッカーのW杯には「イギリス代表」という
チームは出ていませんよね。

例えば「イングランド代表」や
「ウェールズ代表」などという名前で出る。

そう、イギリスとは、あくまで
外の国から見た時の呼び名であって、
普段私たちがイギリス、イギリス、と
呼んでいる国は「連合王国」なんです。

一つの国、ではない。
「グレー

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パーマストン、変幻自在の英国外交

パーマストン、変幻自在の英国外交

永遠に仲が良い国は、ない。
永遠に悪い国も、ない。
今日の敵は明日の友。変幻自在。

英国、イギリスの外交は
恐ろしいほどドライ、かつ洗練されています。
歴史を学ぶとそんなことを感じます。
(本記事執筆時2022年10月では
トラス首相の辞任で騒がしいですが)

冒頭の「名言」を放ったのは
19世紀頃の英国の政治家、パーマストン。
本記事は、彼について書きました。

彼の本名は、長い。
Henry

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スパイス、コットン、世界帝国の覇権争い

スパイス、コットン、世界帝国の覇権争い

日本が江戸時代の頃、実は世界は覇権争い中。

…江戸時代と言えば、
「オランダと中国だけと貿易をしていた」
など、いわゆる『鎖国』のイメージが強い。

そのため、当時の世界の
「世界各国のビジネスはどうだったのか?」
という部分が抜け落ちがち、なんですね。

でも、考えてみれば。

…なんか登場する国が変わってません?
ポルトガル・スペイン・オランダは?

本記事では、この頃の
「世界の覇権争い」

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エジプトでのナポレオン、エジプトのナポレオン

エジプトでのナポレオン、エジプトのナポレオン

エジプトでそう兵士に呼びかけたのは、
かの有名なフランスの英雄、
「ナポレオン・ボナパルト」だと言われます。
1769年~1821年の、輝かしい生涯。

フランス革命(1789年~)の混乱に乗じて
軍人として頭角を現し、
ついには皇帝にまで登りつめた風雲児!

ナポレオンの名は、世界中に知れ渡りました。
かの有名な明治維新の英雄、西郷隆盛も
彼の伝記『那波列翁伝初編』という本を
島流しに遭った時に

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賛否両論ヴィクトリア女王

賛否両論ヴィクトリア女王

イギリスのヴィクトリア女王についてのお話。

彼女については、そこまで日本では知られていないのではないか。歴史の授業で名前だけ知っていて、どんな人だったのか知らない人も多いだろう。

イギリスは、伝統的に女王が有名である。

例えばエリザベス1世(在位1558年~1603年)は、日本で言うと戦国時代から関ケ原の戦いの頃に活躍した女王だが、当時最強と言われたスペインを海戦で破るなどして名声を高めた。

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