見出し画像

スターバックスコーヒー、略してスタバ

読者の皆様もコーヒー、あるいは
キャラメルフラペチーノなどを
召しあがったことがあるのでは?
「スタバ、なう」などの
X記事でもお馴染みですよね。

…スタバについて、いま、
私たちは何を思い浮かべるでしょう?

プチ贅沢気分のコーヒー店…。
サードプレイスの居心地…。
地方なのに何だか都会…。
各人それぞれの思い出により、
抱く感傷もまたスペシャリティ。


本記事では、スタバの今(NOW)と
過去と未来
について書きます。

アメリカ合衆国で生まれたスタバです。
スタバの個性を知るには、
アメリカにおけるコーヒー事情の歴史を
紐解いていく必要がある。

1776年「イイナナロウよ独立国へ」の年に
「アメリカ独立宣言」が出されます。
どこから独立したか。
イギリスからです。

イギリスと言えばアフタヌーンティー!
紅茶のほうがメジャーです。
イギリスでも「コーヒーハウス」が
多かった時代があるのですが、
あまりにも男性が入り浸るので
女性から反発され、
「ティーハウス」のほうが
増えていった…という歴史があります。

いわばイギリス=紅茶

独立前のアメリカでは
「ボストン茶会事件」と呼ばれる
イギリスの紅茶を
海に捨てる事件まで起きた。

独立の敵=紅茶だったんですね。
独立戦争の間、アメリカでは
「紅茶を飲む」ことがはばかられた。
紅茶からの独立、つまり
相対的にコーヒーが広まる…。

ただ、アメリカンなコーヒーと言えば
「薄い」イメージがあります。

アメリカのコーヒーは「浅煎り」でした。
コーヒー豆は当時はとても貴重なもので
重量単位で価格が決められていたのです。
「深煎り」にすると水分が抜けて軽くなる。
また深煎りは長持ちしないために、
広いアメリカを運ぶうちに
品質が落ちてしまう、という事情もあった。

「浅煎りのコーヒーを薄くして飲む」
そんなスタイルが主流になっていきます。

第一世界大戦後、アメリカは
「大量生産・大量消費」を
体現する国になりました。
「量」こそ大事。
「質」はそこまでは問われなかった。

禁酒法も制定されました。
お酒の代わりにコーヒー!
コーヒー文化が大衆へと浸透する…。

その頃、南米のブラジルでは、
コーヒーの生産量が増えていきます。
アメリカは「反スペイン」の傾向がある。
米西戦争も戦った。元スペインの
隣国メキシコとも仲が良くない。

となると、スペインのライバル、
ポルトガルの元植民地であるブラジルとは
「敵の敵は味方」で協力しやすいんです。
アメリカは、1808年にいち早く
ブラジルの独立を承認した国。
ブラジル産コーヒーがアメリカに流入する。

1929年に「世界恐慌」が起きた際には、
炊き出しでコーヒーとドーナッツが
人々に配られたそうです。
お腹が空いた時の配給の記憶は
心と体に刻み込まれるもの。

お手軽価格で一杯のコーヒーを!
「大衆化」がどんどん進みます。

第二次世界大戦後には広告産業が発展。
家族向けにもコーヒーが勧められた。
毎日コーヒーを飲める家族こそが
豊かさの象徴だ
、と…。

ただ、このアメリカの豊かさの意識が
1960年代から変わっていきます。

「こんなにも薄いコーヒーを
当たり前に飲んでいるとは…!
これでは本当の豊かさとは言えないぞ!」

本格的なコーヒーを志す人が出てくる。
その代表が、アルフレッド・ピート

彼はカルフォルニア州、バークレーで
「深煎り」の本格的なコーヒー店を始めた。
オランダ生まれ、コーヒーの貿易商出身。
インドネシアのジャワやスマトラで
高品質なコーヒーを味わっていました。

この「ピーツ・コーヒー&ティー」が
熱狂的なファンを生みだした。


そのファンのうちの三人が、
英語教師ジェリー・ボールドウィン、
作家ゴードン・バウカー、
歴史教師ゼブ・シーグルでした。
いずれも飲食業界とは無縁だった人たち。
彼らが1971年、シアトルで
『スターバックス』を始める
んです。

…そう、これが、スタバの始まり!

最初は「コーヒー豆を売る店」でした。
カフェではなかった。
豆に徹底的にこだわるスタイル!
その姿勢が時代の波に乗り、
各地に店舗がどんどん増えていきます。

物欲から精神的な豊かさへ。
大量生産/消費からスペシャリティへ…。

当時の1960年代から70年代あたりは
「カウンターカルチャー」の時代です。

それまでの若者は良い大学に行き、
大きな家を持って車を持つ、それで
物欲を満たして充実感を持つことができた。
しかし戦後のベビーブームの若者は違う。
メインカルチャーとは異なる
「新しい文化」を追い求めていました。


折りしも「ベトナム戦争」の時代です。
ヒッピーなどのスタイルも生まれる。
自分なりの自己表現をどうするのか?

…そんな時代に、ピートのコーヒーや
その流れを汲んだスタバのコーヒーが
深くジャストフィットしたんです。

スタバの「深煎り」のコーヒーは
従前の浅煎りのコーヒーとは異なり
濃くて苦いコーヒーだったことでしょう。
しかしそれがゆえに、
これまでとは一味違うスペシャルで
鮮烈な印象を若者たちに与えた。
「俺たちのスタバ」になっていく…。

コーヒー界には、三つの波があります。

「第一の波」は19世紀後半~1960年代。
大衆へと普及していく時代です。
「第二の波」は1960年代から。
スペシャリティコーヒーの登場。

そう、スタバはこの「第二の波」を
体現するコーヒー店だったのです。
ゆえに全米、全世界へ波及していく…。

最後にまとめます。

本記事ではスタバを切り口にして、
アメリカのコーヒーの歴史を
主に書いてみました。

今、コーヒー界は「第三の波」
サードウェーブの真っただ中です。
2000年以降に本格化。

サンフランシスコ発祥のコーヒー店、
「ブルーボトルコーヒー」に
代表されるローカルで個性的な味。
ブレンドを「あえてしない」コーヒー!

「シングルオリジン」とも言われます。
1か所の国、1か所の農園限定。
唯一無二で千差万別。
大量生産をすることなく
焙煎後になるべく早く売って
その独自の風味を味わってもらう。

ワイン好きが土地にこだわるように、
コーヒーもまたオンリーワンの
こだわりが求められる時代
なのです。
スタバもまた、その状況を受けて
進化していっています。

…私は、この三つの波が、
「SNSにおける波」にも似ている、
と感じました。

私もそうでしたが、SNSに参入した当初は
一般受けする投稿を模索しがちなもの。
しかし世の中に慣れ、馴染むにつれて
「スペシャリティ」に目覚めます。
やがて「シングルオリジン」つまり
自分ワールドの風味を醸し出す…。

読者の皆様はいかがですか?

自分だけの歴史と地理に紐づいた
あなたなりの風味を、SNS上で
どう焙煎して醸し出していきますか?


「あなた、なう」と、ビフォー/アフターは?

※「コーヒー大国」
ブラジルについてはこちら↓
『魅力と魔力のブラジルコーヒー』

※こちらの記事も参考にしました↓
『【スターバックス成功の理由】
「サードプレイスを作ったから」ではない!
若者に受け入れられた真の要因』

合わせてぜひどうぞ!

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!