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の
2024年8月9日 19:30
夜は今にはじまってゆく曇る窓 雨をすべらせ思うことすべての魔法がほどける 旅する人へ夜は今しか見えないもので溢れかえる考えうる道のりに凝らす目 夜行の流れ夜は深く 通り沿いを過ぎる雨 壁をすべり向かいの 傘の上をオノマトペのように落ちる茂みに 糸がなびく水の楕円を振り返り考えうる姿を練る冷える風 たぐる右手川べりの香の中で気持ちは駆け抜けていくひとりの
im
2024年6月23日 12:26
人生が映画なら、と君は言うけど私はやっぱり言葉を選ぶよ。あの日の強くて優しい風を花と一緒に揺れていた心のことを昨日見上げた月の大きさをそれを君に教えたかったことを朝になれば忘れるような静かな静かな夜の音を私だけが知っている君の横顔を忘れてしまっても思い出せるようにどれだけ過去が増えていっても何ひとつ取りこぼさないように全部を言葉にしてしまいたい。走馬灯にもならない小さな
すー
2024年6月4日 19:07
簡単に変わってしまうものだったりずっと変わらないものだったり不思議で素敵なもの
佐々木 夜無
2024年4月24日 18:58
雨が好きなんじゃない森が好きなのだよ洗濯板背負って泥まみれの旅葉っぱの先へごくごくごく指の先まで潤ってさあとはもうぼ─街の雨は疲れるねドレスコードはぺかぺかの服たらい回しの光が眩しい傘で乱反射してもうわけがわからないよやっぱり森が好きなのだよ洗濯板背負って泥まみれの旅枯れ葉の音と木の葉の音と指の先まで喜んでさあとはもうぼ──
藻屑
2024年5月31日 18:20
朝起きたら目を開けるよりも先に「君が好き」って思うんだぼんやりと広がるいつもの風景何度も頭に教え込ませた「君が嫌い」の言葉がじんわり広がる二度寝しようとするけれど絶望に固まって閉じない瞼外から聞こえる子供の泣き声大切にしていたぬいぐるみを奪われたのかな公園へ連れて行ってもらえなかったのかな"自分をもがれた痛み""悲痛な叫びに変わる"走り書くノートの隅ゴトンマグ
hanauta
2024年3月29日 11:09
澄んだ空気が一段と青空を高くする小さな薄い雲だけがそっと傍で浮いているあなたの場所からも見えますかいつからか見える空が異なっていつからか違う陽を浴びていたそれでもこんな晴れた日はあなたと目が合いそうでそっと見上げて探しているあなたの空も晴れですかあなたの空も元気ですか
2023年12月15日 19:35
扉を閉めたら街は静謐書く手から踊るよ文字がとけるよ何ごとも長く続いた方がいい望郷。星は空の水滴のよう暁闇の通りを今日も歩くけれどまだ、あの日の答えを分からないまま、立ち竦む比喩の漣がそのうちきっと聞こえてくるその手から込めるよ夜の轍を車の抜けるトンネルで空気はゆれるけれどまだ、この夜の空白をどこか置いたまま眺めている比喩の漣がそのうちきっと聞こえてくると
上水春信
2024年2月10日 16:39
何も見えない漆黒の夜道を何も見えない光の海の中を前が見えない土砂降りの中を目を開けていられない激しい嵐の中を彼は感覚だけを道しるべにして生きている一番敏感な粘膜を闇に晒し光に晒し雨に晒し風に晒し体の奥深くで激しい拒絶反応を起こしながら絹の糸を口から吐き出し躰の周りに純白の繭を張るそれは自分を司り自分の心を護るためのそ
久住ハル
2022年12月2日 22:48
きれいに手入れされた白い手とネイルより土にまみれた岩のように黒く焼けた手美しい新しく煌びやかに磨かれた革靴踵が擦れ形は崩れているそれでも靴墨で手入れされ大切に使っている靴ブランドの文字が大きく目立ち来年は着ないかもしれないセーター何十年もの間手を加えながらほつれは繕い毛玉はきれいに取り愛されているセーター高級な流行デザインは奇抜今の空気にはピッタリ胸に輝く
Seiji Lakefield
2022年8月13日 16:01
°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜 砂埃の舞う荒廃した街並みに初老の男が訪れる。( この街もずいぶんさびれたな。) もうかれこれ60年が経つまだ少年だった頃のかつての学舎は廃校となっていた古びた校舎の片隅にある相合傘の落書きをそっと指先でなぞってみる深く眼を閉じて瞼の裏側に浮かぶ遠い少年だった頃が蘇る__・・・・un, deux, tro