中沢新一『はじまりのレーニン』

ふたりの中沢新一がいる。
中沢新一I は、癒し志向で、ソフトな予定調和のヴィジョンを求めている。
もうひとりの中沢新一II は、破壊的で、想像界の向こう側にあるリアルに到達しようとするマテリアリストである。
『チベットのモーツァルト』の中沢新一は、構造主義→記号論→ポスト構造主義という浅田彰が『構造と力』で示した三段階図式を踏襲していた。例えば「丸石の教え」で中沢は、丸石について共同体の「内と外と

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ALL REVIEWS 書評 with 紀伊國屋じんぶん大賞2020 人文書ベスト30

タイトルに興味がひかれるけど、中身が分からず、ほとんどが単行本で刊行されるため、小説よりも比較的高価で手に取りにくい人文書。これこそ書評の出番です。
ALL REVIEWS サイトから、一般読者も投票に参加できる「紀伊國屋じんぶん大賞」のベスト30に選出された本の書評を集めました。(※タイトル前の順位は、じんぶん大賞ベスト30の順位です。)

■1位『居るのはつらいよ――ケアとセラピーについての覚

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中沢新一『対称性人類学』/人間の幸福について

中沢新一さんの「カイエ・ソバージュ」というシリーズの本を秋頃から読んでいた。『人類最古の哲学』、『神の発明』、『対称性人類学』。書いてある内容は人類の歴史、民俗、宗教、哲学、経済などなど多岐に渡る。
「ほぼ日」でも中沢新一さんの特集ページがあってこれも読み応えがあった。
とても刺激を受けたのだけれど、その思いをなんと言葉にしたらいいのかが分からずにいた。
いまだうまく言葉にできないけれど、中沢さん

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そんなあなたもスキ!
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まだ汚れていない怪獣

今日はクリスマス。
クリスマスにはトルーマン・カポーティの短編を読むのが好き。

『もし何でも出来るなら私は、私たちの惑星、地球の中心に出かけていって、ウラニウムやルビーや金を探したいです。まだ汚れていない怪獣を探したいです。それから田舎に引越したいです。フロリー・ロトンド。八歳。』

これはカポーティの文章の中でわたしがいちばん好きな一文。「叶えられた祈り」より引用。

真夜中、京さんから伝えた

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昨日降りてきた言葉。
「安心も安全もいらねえドグ。ただ生きてる実感をくれドグ~!!」縄文時代は死と隣り合わせ!現代日本に足りないのは、死ぬっていう予感かも。(^o^)p こういうの中沢新一さんは「エッジの立った生」と呼んでて、死を意識することで生がありありと浮かび上がるんだって!

嬉しいドグ~!(^▽^)/
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「意味」とは何か? 3分で説明してみる

「意味とは何か」という問題を「パワーポイント数枚で」説明するという無理難題を頂いたので、トライしてみる。

意味
何かの意味
目の前に置かれたカップの意味
向こう側に座っている人の意味
あるいは「人生の意味」
「意味」という言葉の意味

●意味とは、「意味する」ことである。

●「意味する」とは、ある何かを別の何かに置き換えることである。

●置き換えるということは、静態に対する動態であり、ものに

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ありがとうございます。また書きます。
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意味の意味(2)−二つの意味  「デノテーション」と「コノテーション」

前回のnoteで、「意味する」とは「置き換える」ということであると書いた。

 意味という「もの」が存在するわけではない。意味の正体は何か特定の形を持ったものとして存在しているわけではない。
 意味ということは「置き換える」操作である。それは手続き、処理、作用といった動的な過程である。置き換えが生じるところに、意味という作用が生じる。

 何かのモノが、何か別のものの意味の正体であるかのように見え

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本日のお薦め文献は、オングの『声の文化と文字の文化』
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読書メモ:中沢新一著『レンマ学』 -レンマ的知性について

以前にラジオ版学問のススメで「コモディティ化(商品化)された軽いものではなく、噛み付いても固くて噛めないくらいの知的な深さや嵩さを持ったものを書いていきたい」と話していた著者。確かに『野生の科学』や『人類最古の哲学』も何度も読み返さないと理解できなかった。まるで円周が大きめの螺旋階段を降りていくような、なかなか目的地にたどり着かない感じ。それでも、徐々に著者の目に世界がどう写っているのかを疑似体験

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中沢新一先生の『レンマ学』p.294ヤコブソンからの引用>「選択は等価性、類似性と相違、類義性と反義性などに基づいて…結合は近接に基づいている。詩的機能は等価性の原理を選択の軸から結合の軸へ投影する」
…「等価性の原理」というのがレンマ学的には理法界の作用という。

本日のお薦め文献は、内田隆三『国土論』
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とうとう『レンマ学』にソシュールとレヴィ=ストロースが登場。

「言語がアーラヤ識にセットされた理事無碍法界に生ずる知的能力であること」(中沢新一『レンマ学』p.282)

 かくいう中沢新一先生の『レンマ学』、280ページを過ぎて、ついにフェルディナン・ド・ソシュールとレヴィ=ストロースが並んで登場するのである。

 ソシュールの「通時態」と「共時態」

 通時態というのは、時間軸に沿って形態素が並んでいく姿である。
 その一連の連鎖は「シンタグムの軸」と呼

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本日のお薦め文献は互盛央『言語起源論の系譜』
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