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【愛する世界】文学の森。それは言葉のブレンド。

Kyon.Jさん撮影(張家界)

その毎日は、思えば平凡だけど、書けば、文学になる。

その仕事で、喋れば生意気だと言われたけど、書けば、文学になる。

その本音は、つぶやけば炎上するかもしれないけど、書けば、文学になる。

その食事(食べること)は、残酷なことだけど、楽しくて、素晴らしいので、書けば、文学になる。

その窓は、日常を、文学に変えていく。

■二人は立ち上がって、窓のところへいき、抱き合って立っていた。(フランツ・カフカ『変身』より)

■窓から梅の花びらが吹き込んで来て、お茶碗の中にはいって濡れた。(太宰治『斜陽』より)

■わたしは坐ったまま窓を眺め、いつか開きはしまいかと待ち受けていた。(イワン・ツルゲーネフ『はつ恋』より)

大切なものを思い、走り続けるひたむきさが伝わる物語。

その真っ直ぐな思いが、気持ちを、ほっこり温かくし、情感を静かに立ち上がらせてくれる。

そんな文学の森を、もっと散策してみる。

【参考図書】
ちくま文学の森 全15巻別巻1セット

新・ちくま文学の森 全16巻セット

この森は、不思議な森。

ここを通り抜けると。

効能は、人、それぞれに違うと思うけど。

心は、しなやかな強さと、イキイキした張りをもち。

今、ここに生きている実感に、包まれていく感じで、生きてゆくのが、ずいぶん楽になるかもしれない。

「森の思想」(河出文庫 南方熊楠コレクション)南方熊楠(著)中沢新一(編)

「森の思想が人類を救う」梅原猛(著)

それは、どこか、「森の思想」に通じているのかもしれないね。

南方さんが、大英博物館という、当時の知の最前線の場を離れてから、那智の深い森に入り込んで、何を見つけたのか?

ちょっと、紹介しておきますね。

「森は、その中に踏み込んだ人間に、容易に観察者の立場に立つことを、許さない。

森の全体を観察しようと思ったら、小高い山にでも登り、木々の高さをこえでて、あたり一面を眺望できる場所に立つことをしなければならないだろう。・・・(中略)。

ここから彼は、森の一般理論などを、考え出すかもしれない。

しかし、そのとき、もはや森の中にいない観察者は、小さな谷の襞や、山の上からは見分けることもできないほどちっぽけな小川の中で起こっている、不思議に満ちた世界を知ることができなくなっている。・・・(中略)。

この森の中で、どこから観察をはじめるか。

森の中からでは、鳥瞰はできない。

したがって、森全体を一つの像としてとらえることは、放棄しなければならない。

それに彼が動けば、動物はかすかな足音を立てて去り、足の下では、未知の生物が、彼によって踏みしだかれていく。

ここでは、観察者は自分もまた、森の一員として、大きな全体の中に、深く巻き込まれてしまっていることに、気づかざるを得なくなるのだ。

そのときである。

彼の中に何かの決定的な変化が起こるのだ。

観察の行為が、彼の中で意味を変化させていく。

彼は森を内側から生き、呼吸するようになる。

彼は周囲にひろがる生命の世界を、自分から分離してしまうことができないことを、知るようになる。

ほの暗い森の奥にどんな世界が秘められているか、彼には知ることもできないが、その闇の中に隠されてあるものもまた森であり、彼自身もまた、森の一部なのだから、それはもはや分離された外部などではなく、森の奥に隠されたものと彼の生命は、いまやひとつながりになっていることが深く自覚されるようになる。

このとき、森は自分の本質を、観察者の立場を放棄した彼の前に、おもむろに開くのだ。・・・(中略)。

三年余の長きにわたって、那智の森の中に生きた南方熊楠は、そのようにして森の秘儀に立ち入ることを、許された。(P81)

森に踏み込み、森を深く生きることができるようになったとき、人はそこに、生命にとって本質的である「何ものか」が、立ちあらわれてくるのを、全身で知る。

森の深さが増せば増すほど、今度は逆に、その奥のほうから、明るい何かが、自らを開きながら、こちらに向かってくるのがわかるのだ。

それを自然(ピュシス)の玄旨と呼んでもいいし、森の秘密儀と言ってもいい。(P88)」

人間の思考を始まりと終わりがある砂漠思考と、永遠と考える森林思考の二つに分けて考察する本書も参考になると思います。

「森林の思考・砂漠の思考」(NHKブックス)鈴木秀夫(著)

そう、難しい顔をしていると。

生きることが、難しくなるばかりです(^^;

森の秘密儀を参考にして、文学を読んだ後は、昔(その時代)の速さで、歩いてみる(^^)

その時、口遊む歌。

明日へと続く歌を(^^♪

劇場アニメ「映画大好きポンポさん」主題歌「窓を開けて」

【おまけ】
「森籠もりの日々」森博嗣(著)

「森遊びの日々」森博嗣(著)


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