way_finding

「意味」ということの謎に憑かれ、濫読の途上で博士(学術)号取得。コミュニケーションを考…

way_finding

「意味」ということの謎に憑かれ、濫読の途上で博士(学術)号取得。コミュニケーションを考える法人の代表兼大学非常勤講師。主な業績はコロナ禍における遠隔授業を乳幼児2名在宅中に実施したこと https://note.com/way_finding/n/n5af3a19375b7

マガジン

  • 言葉/ことば/コトバ/コト-”の”-ハ

    何度も読み返したいなと思った記事を、こちらに集めさせていただいております

  • 文化人類学がおもしろい

    わたくしコミュニケーションを専門とする博士(学術)の筆者が”複数の他者のあいだのコミュニケーションを記述すること”という切り口から文化人類学の文献を読んで行きます。 わたしは文化人類学については素人ですが、一介の読書趣味者としてレヴィ=ストロース氏の著作の大ファンです。

  • 中沢新一著『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読む

    中沢新一氏の著作『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』『精霊の王』『アースダイバー神社編』などを読み解きます。

  • 深層意味論で読む『神話論理』×『秘密曼荼羅十住心論』

    クロード・レヴィ=ストロース著『神話論理』 弘法大師空海著『秘密曼荼羅十住心論』 この二冊を並べて読む試みです。 導きの系は「構造」と「曼荼羅」と、深層意味論(意味分節理論)

  • 深層意味論/意味分節理論

    「ことば」と「意味」の謎にせまる、読書の軌跡をまとめました。

最近の記事

  • 固定された記事

マニ教の終末論を深層意味論で読む

前回「マニ教の創世神話を深層意味論で読む」に引き続き、青木健氏の著書『マニ教』を読む。マニ教は「善悪二元論」「光と闇の二元論」として知られる、西暦3世紀の西アジアで生まれた宗教である。 前回の記事では、青木健氏の『マニ教』に描かれた、マニ教の創世神話(世界の始まり、世界の起源についての神話)にあたるものを、深層意味論の手法で読んでみた。 それに対して今回は終末論である。 要するに、この世の終わりである。 * * 一般的には、この世の始まりについて言葉で語ろうとする起

    • W・パウリ「元型的観念がケプラーの科学理論に与えた影響」における四数性と、思考の根源を思考すること ーーユングとパウリの共著 『自然現象と心の構造』より

      深層心理学で知られるカール・グスタフ・ユングと、「パウリの排他律」で知られる物理学者ヴォルフガング・パウリとの共著『自然現象と心の構造』という本がある。 この本の終盤、「付録III」、236ページに次のような図が掲載されている(図3 スコトゥス・エリウゲナの『自然の分類について』において考えられた四元性)。 ここでは、 1: 造る(能動)/造られる(受動) 2: する/しない この二つの二項対立を組み合わせて、 β1「造ることを ー する」もの (造るもの) β2

      • 関係が項よりも先に -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(70_『神話論理3 食卓作法の起源』-21)

        クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第70回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第四部「お手本のような少女たち」を引き続き読みます。 これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。 分別を「離れる」ことを新たな分別にしないわれわれ人類は、生きている限り、どうしてもあれこれものごとを二つに分ける「分別」をしてしまう。暑い、寒い、明るい、暗い、好き、嫌い、良い、

        • 『カミと神 アニミズム宇宙の旅』を中心に、岩田慶治氏の本をいろいろ読む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(番外編)

          レヴィ=ストロース氏の神話論理を「マンダラ」状の八項関係を分けつつつなぐ動きとしてモデル化してみよう、ということをここ数年考えている。 * 文化人類学とマンダラと言えば、岩田慶治氏である。 例えば『アジアのコスモス+マンダラ』(1982)と『アジアの宇宙観』(1989)がある。 『アジアの宇宙観』の冒頭に、岩田氏は次のように書かれている。 そして在所に迷った人類のなかのある人々は「世界像」を描こうとする。 世界像とは、空間座標のどの点にどの感覚的な物が配置されていま

        • 固定された記事

        マニ教の終末論を深層意味論で読む

        • W・パウリ「元型的観念がケプラーの科学理論に与えた影響」における四数性と、思考の根源を思考すること ーーユングとパウリの共著 『自然現象と心の構造』より

        • 関係が項よりも先に -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(70_『神話論理3 食卓作法の起源』-21)

        • 『カミと神 アニミズム宇宙の旅』を中心に、岩田慶治氏の本をいろいろ読む -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(番外編)

        マガジン

        • 言葉/ことば/コトバ/コト-”の”-ハ
          282本
        • 深層意味論で読む『神話論理』×『秘密曼荼羅十住心論』
          76本
        • 意味分節理論とは
          35本
        • 中沢新一著『レンマ学』『精神の考古学』『構造の奥』などを読む
          54本
        • 深層意味論/意味分節理論
          271本
        • 文化人類学がおもしろい
          178本

        メンバーシップ

        • [読書塾]10月3日(木)、17日(木)、31(木)に開催します

          この投稿を見るには 「読書塾」で参加する必要があります
        • [読書塾]9月12日(木)と19日(木)に開催します

          この投稿を見るには 「読書塾」で参加する必要があります
        • 9月『精神の考古学』を読む会 日程のご相談

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • [読書塾]8月は8日木曜日、22日木曜日に開催します

          この投稿を見るには 「読書塾」で参加する必要があります
        • [読書塾]10月3日(木)、17日(木)、31(木)に開催します

          この投稿を見るには 「読書塾」で参加する必要があります
        • [読書塾]9月12日(木)と19日(木)に開催します

          この投稿を見るには 「読書塾」で参加する必要があります
        • 9月『精神の考古学』を読む会 日程のご相談

          この投稿を見るには メンバーになる必要があります
        • [読書塾]8月は8日木曜日、22日木曜日に開催します

          この投稿を見るには 「読書塾」で参加する必要があります

        メンバー特典記事

          レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(6) 『神話論理』×空海『十住心論』 -言語の分節を多重化し、「心」の分節も多重化する

          (前回の記事(第五回)はこちら↓) 三重のコード『神話論理I 生のものと火を通したもの』の序文に次の一節がある。 前回も少し触れたが、改めてコードが三重である点に注目して読もう。 一次的コード:言語のコード=分節システム 二次的コード:神話が語ることのコード=分節システム 三次的コード:二次的コードを設定するコード(神話の分節システムを発生させている分節システム)、と仮に言い換えておこう。 一次的コードは言語のコードである。 これを「意味するもの」と「意味されるも

          レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(6) 『神話論理』×空海『十住心論』 -言語の分節を多重化し、「心」の分節も多重化する

          さるかに合戦は、なぜ「猿」と「蟹」なのか? ー意味分節理論の超応用編(1) 『神話論理』で読む昔話の世界

          一年生になった上の子が、毎週小学校から本を借りてくる。 今週の一冊は『かにむかし』。 いわゆる”猿かに合戦”の異文のひとつである。 「昔話は和むなぁ」 と、平和な気持ちでパラパラと眺めていると、なにやら気になる二項対立関係が見えてくる。 赤と青 頭と尻 固さと柔らかさ こういう対立と折り重なって、猿と蟹が対立している。 レヴィ=ストロースの神話論理の世界対立関係にある二極が、物語の中で過度に接近したり、分離したりする。 これはまさに、クロード・レヴィ=ストロース

          さるかに合戦は、なぜ「猿」と「蟹」なのか? ー意味分節理論の超応用編(1) 『神話論理』で読む昔話の世界

        記事

          "ある"ように"なる"ような・・/「月」と「カエル」が二つの結婚を捩って分離しながら結合する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(69_『神話論理3 食卓作法の起源』-20)

          クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第69回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第四部「お手本のような少女たち」を引き続き読みます。 これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。 前回の記事に引き続き、神話的な「結婚」の話である。 結婚とは?結婚といえば、それ自体として単独で自立独立した女性と、これまたそれ自体として独立自存する男性とが、たまたま何か

          "ある"ように"なる"ような・・/「月」と「カエル」が二つの結婚を捩って分離しながら結合する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(69_『神話論理3 食卓作法の起源』-20)

          四次元、幽霊、見えない力 と共鳴共振できるコトバを -唐澤大輔・石井匠著『南方熊楠と岡本太郎 知の極北を超えて』を読む(2)

          唐澤大輔氏と石井匠氏の『南方熊楠と岡本太郎 知の極北を超えて』を引き続き読む。 見えない力に『南方熊楠と岡本太郎 知の極北を超えて』の250ページに、著者の石井氏が次のように書かれている。 四次元との対話?! 見えない力に呼びかける?! 呪術?! これは一体どういうことだろうか。 四次元、見えない力。 そういことは、通常の感覚や言語の表層的な分節をはるかに超えている。 超えているというか、掬いとれないというか、網にかからない。 「あれです」、「これです」などと言

          四次元、幽霊、見えない力 と共鳴共振できるコトバを -唐澤大輔・石井匠著『南方熊楠と岡本太郎 知の極北を超えて』を読む(2)

          "ある"ように"なる" 神話の論理と近代の論理、論理を息づかせるコミュニケーションの問題 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(68_『神話論理3 食卓作法の起源』-19)

          クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第68回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第四部「お手本のような少女たち」を読みます。これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。 いま、目の前にボールペンがひとつ”ある”。 窓から空を見上げれば、大きな雲が”ある”。 もうすぐ雨が降るでしょう、という情報が”ある”。 そして、「雨が降ったら、蒸し暑くなるだろう

          "ある"ように"なる" 神話の論理と近代の論理、論理を息づかせるコミュニケーションの問題 -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(68_『神話論理3 食卓作法の起源』-19)

          +3

          「流星群の夜の、三つの物語」

          「流星群の夜の、三つの物語」

          +2

          言葉を不可得モードにずらす読書経験へ -唐澤大輔・石井匠著『南方熊楠と岡本太郎 知の極北を超えて』を読む

          共同研究をしている仲間が教えてくださった『南方熊楠と岡本太郎 知の極北を超えて』を読む。 2024年の6月に出版された新しい本である。 この一節から始まる本書は、対立する二極の区別を前提として固めたところから出発する通常の思考とは異なった「極北」の知のあり方というか動き方を探っていく。 言葉、コトバ、ことば、コト-ハその探索が行われる密林のような場所になるのが、熊楠の言葉であり、岡本太郎の言葉である。 例えば、岡本太郎の言葉について、次のようにある。 ひとりの人間の

          言葉を不可得モードにずらす読書経験へ -唐澤大輔・石井匠著『南方熊楠と岡本太郎 知の極北を超えて』を読む

          子づれ旅行を通して、ミクロコスモスとマクロコスモスの共鳴をおもう

          下の子が小学生になり、初めての夏休み。 日頃、「時間とか、空間とかいうのは、あるような、ないような」などと放言して憚らない私であるが、わざわざ時間をかけて三次元空間中を移動せざるをえない社会的圧力を一応感じる。家族旅行である。 (ちなみに、家族旅行の話よりも、「時間とか空間とかないから。”ある/ない”の分別もあってもなくても(以下略」みたいな話を読みたい方は下記の記事をどうぞ) さて旅行となれば、第一の候補は高野山に向かいたいところであるが、これは子どもたちがもう少し大

          子づれ旅行を通して、ミクロコスモスとマクロコスモスの共鳴をおもう

          神話論理は表層四項、深層四項の八項関係で世界の起源を分節する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(67_『神話論理3 食卓作法の起源』-18)

          クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第67回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第三部「カヌーに乗った月と太陽の旅」の最後のところを読みます。 これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。 さて、これまでの一連の記事では、レヴィ=ストロース氏が南北アメリカ先住民の神話分析を通じて浮かび上がらせようとしている「神話の論理」を、空海が『吽字義』に記している

          神話論理は表層四項、深層四項の八項関係で世界の起源を分節する -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(67_『神話論理3 食卓作法の起源』-18)

          法界と共鳴しつつ生きていることを知る -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(9)

          中沢新一氏の『精神の考古学』を読む。 + + 私たちの「心」は、普段、あれこれの物事を、 好き/嫌い 損/得 うまい/まずい 良い/悪い ある/ない うち/そと 容器/中身 などと分けては、 「あちらではなく、こちらを、絶対に選ばなければならない」 という具合に働いている。 「好きなものだけを選びたい、嫌いなものは選びたくない」、「安くてもまずいものは食べたくないが、高くて美味いものも食べられない。どこかに安くて美味いものはないかなぁ」と、これらは一見するととても「良

          法界と共鳴しつつ生きていることを知る -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(9)

          +19

          AI生成マンダラ集(2)

          AI生成マンダラ集(2)

          +18

          亀のはなし / 二項対立を分節する脈動たちを多様に変調しながら重ね合わせると、世界の現れ方が自在になる -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(66_『神話論理3 食卓作法の起源』-17)

          クロード・レヴィ=ストロース氏の『神話論理』を”創造的”に濫読する試みの第66回目です。『神話論理3 食卓作法の起源』の第三部「カヌーに乗った月と太陽の旅」の最後のところを読みます。 これまでの記事は下記からまとめて読むことができます。 これまでの記事を読まなくても、今回だけでもお楽しみ(?)いただけます。 「ふたつの虹」『神話論理3 食卓作法の起源』p.188に掲載された神話M417を見てみよう。「ふたつの虹」という神話である。 まずはどういう話か、様子を見てみよう

          亀のはなし / 二項対立を分節する脈動たちを多様に変調しながら重ね合わせると、世界の現れ方が自在になる -レヴィ=ストロースの『神話論理』を深層意味論で読む(66_『神話論理3 食卓作法の起源』-17)

          暗黒瞑想 宇宙/非宇宙分節以前の”法界の根源的脈動”と微かに共振するアンテナとしての”わたし”へ -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(8)

          中沢新一氏の『精神の考古学』を引き続き読む。 松岡正剛氏が『空海の夢』で「仏教の要訣は、せんじつめれば意識をいかにコントロールできるかという点にかかっている」と書いている(松岡正剛『空海の夢』p.23)。 意識をコントロールする例えば、私たちが迷い苦しむのは、自/他、生/死、清/濁、光/闇、などと二つに分けて、そのどちらか一方だけを自分ものにしようとこだわり、他方を遠ざけておこうこだわるから、であると考える。例えば生/死など、前者だけを選んで、後者を捨て去りましょう、など

          暗黒瞑想 宇宙/非宇宙分節以前の”法界の根源的脈動”と微かに共振するアンテナとしての”わたし”へ -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(8)

          超-明るい部屋へ/埋蔵経典を”発掘”する神話的思考 -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(7)

          中沢新一氏の『精神の考古学』を引き続き読む。 精神の考古学。 私たちの「心」は、いったいどうしてこのようであるのか? 私たちが日常的感覚的に経験している分別心(例えば、好き/嫌いを分別したり、自/他を分別したりすることは当たり前だと思っている心)が、発生してくる深みへと発掘を進める中沢氏の「精神の考古学」。 いよいよ第八部「暗闇の部屋」を読んでみようと思う。 ここで中沢氏は、「まったく光の入ってこない部屋の中で、一週間にわたっておこなう[…]暗黒瞑想」について書く(p

          超-明るい部屋へ/埋蔵経典を”発掘”する神話的思考 -中沢新一著『精神の考古学』をじっくり読む(7)