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精神の考古学 -四大元素の声、セム・セムニーより-



P114
「水の声はほとんど隠喩などではなく、水の言語は直接の詩的な現実であり、小川や川は無音の風景を不思議なほどに音声化(ソノリゼ)する」というバシュラールの表現には、奥深い存在の理法が語られている。四大(ないし五大)元素は科学が明らかにできる物質構造をあらわしているのではなく、存在の基底材であるダルマダーツ(法界)の音声化されたゲシュタルト(形態)を示している。

現在ではほとんどやられていないという、ゾクチェンの古くにあった、四大元素の声(「土、水、火、風」の自然元素の潜在力を熟知する)を聞くというヨーガを実践している筆者。

水が一番わかりやすく一体となる感覚があるのは、水には音声があり、水は水の外界を巻き込み、その場の独自のリズムと音を奏でるからだと思う。自分の体内にある水と同調する感覚。

↑これは水と一体となったとき知覚したリズムが自分のリズムと似ていた。そのときの詩。

家にはネオンテトラのいる水槽があって、日常より水が循環する音を常に聞いているためか、水の音とリズムが同調し心地良くなったのだった。

(記事の写真は諏訪大社前宮の小川。)

バシュラールのいう音声化は、自然界にある物質独自の周波数でもあり、陰陽五行の木火土金水に通じる。

人間の感情や想いは、四つ、五つに大きくわけられ、それは自然界にある元素の声と同じものだと言っているのだろう。

それらの自然の声が聴こえると歓喜が湧き起こると先の文章の後に書かれているが、私は歓喜というより、自然の周波数と同調出来る心地良さを感覚する。修行の苦難を経て達成した場合は歓喜の感動が起こるのかもしれない。

自然との同調だが、合う合わない、合わせたくないという感覚もあるが、それは自分自身の属性に由来するのかもしれない。声は聴こえるが、同調は敢えてしたくないという思いがあるモノが在る。その感覚は人間の集合意識との同調と似ている。

P124
人間のサンサーラはつねに言葉と共にあるのである。
 それならばニルヴァーナの原空間で、その言葉はどんな変容を受けることになるのか。そもそもニルヴァーナに言語活動はあるのか。あるとしたら、それはセムニーの活動に制限を加えるものであってはいけない。時間の流れにしたがって事物を線形に並べることで、サンサーラの言葉はニルヴァーナの言葉に制限を加えているからである。いちどきにすべてを表現できる言葉でないと、ニルヴァーナの言葉にはなれない。そうなると、詩的言語はサンサーラの言葉とニルヴァーナの言葉の中間にあるということになる。天使の言語活動があるならば、やはりそういうものだろう・・・・・私はそんなことをとりとめもなく考えた。
 人間はこの言葉によってつくられる仮想現実を介して、生物に必ず訪れる生老病死というリアルと直面する。そのために、動物たちは自分の死を恐れたりしないのに、人間だけは言葉がつくる「私」というものがあるために、自分の死を恐れることになる。生物的な死とともに「私」が消えてしまうことを、仮想的な「私」は認めることができないからだ。ブッダはこの問題に取り組んで、仮想的な「私」の滅却に至った。その状態が「ニルヴァーナ」と呼ばれるものである。

サンサーラ…生死輪廻の世界
ニルヴァーナ…輪廻を抜け出した解脱の世界
セム…動く心、セムニー…心そのもの


常に動いている心は、自分を軸にしてその活動が行われる為、毎日刹那に一喜一憂し感情を伴いますが、それは自身の想像力によってもそうなる。想像力が長けている為、人間は恐怖や不安も所有する。

しかし、それは仮想(幻想)である。その幻想を見る「私」は偏見があるのだ。恐怖や不安は怠惰や欲望を所有している故に起こる。その所有物が失くなる恐怖と不安という一連の心の動きを此処では、セムニーとニルヴァーナの活動制限と言っているのだと思う。

「私」をなくせば、仮想(幻想)を見る私もなくなる。ブッダさんと同じことを考えていたと、今知りました。一連のそれを考えさせるのは、人間には死があるからで、死の恐怖があるのは、自分を続けたいという欲望から来ている。それは幻想であるため、滅しなければならないと私も3年くらい前のそのとき思いました。

いや、実は単に破壊フェチなのもあります。
自分を何処まで無くせるか、自分に「有る」をみつけて、壊していく時に快感があるのです。こちらは歓喜ですね。無になるときの歓喜。(私には「校舎の窓ガラス」が欲しいという危険性を孕んでいる)

外界の他や他者にも見つけますが、なかなか壊れないですね。自分は変えられるが、他者は変えられない所以でもあり、自分の無力さも同時に発生します。







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