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架空小説書き出しまとめ②
・なにもかもあべこべ。右も左も上も下も、全部ぐちゃぐちゃになった世界で、あの子だけが真っ直ぐ立っていた。
もう顔も覚えていないあの子にどうしても会いたくて、私はいろんな方法で夢を見た。紛れもない私の初恋である。
『ウタカタ』より
・彼女が最初にこの橋を渡った時、その瞳は希望に満ちていて、少しの不安さえも気持ちを高揚させる材料となった。
次に彼女がこの橋を渡った時、かつてあった希望は形を変え、その
命が奪われている現実とそこから離れた場所にある現実
命について考えている。
朝起きる。寝ぼけ眼のまま携帯のアラームを止め、布団から体を起こすことを渋りながらSNSをチェックする。
誰からも連絡が来ていないLINEを開く。これはルーティーンをこなすようなもので、ほぼ無意識にニュースのタブをタップする。そこには昨晩から今朝にかけて起こったことが見出しとなって並んでいる。
ああ、今度は学校が襲撃されている。
見出しだけを確認した私は、LINEを閉じ
人が大人になるのはお酒を飲み始めた時でも煙草を吸い始めた時でもなく
人はいつ大人になるか。
答えは簡単だ。
一人で銀行口座を開設した時である。
事情により、銀行口座が必要になった。
いや、今までも銀行口座はあったのだけれど、それは私が大学に入る前に母と共に銀行に赴いてつくったものであり、私は銀行の窓口で母と銀行員さんが会話をする隣でふむふむとただ聞いている風の顔をしているだけであった。
それが事情によって別口の口座が必要になったのである。
行くしかない。銀行