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発達障害の世界【当事者目線でおくる】

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#小説

新卒2か月で辞めた社会人落ちこぼれ

新卒2か月で辞めた社会人落ちこぼれ

私、落ちこぼれなの?

問題児と長年戦って悩んでいた私が問題児で落ちこぼれと言われるなんて。

周りには自分の才能が全く理解されず、ひたすら他の人にはできない工夫やセンスでいきてきた私が、他人よりも劣っていて、普通じゃないのか。

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自閉症と受験【この靄を抜けて】小説

自閉症と受験【この靄を抜けて】小説

知的能力には支障がないと言われる障害だが、ここまで記憶力がないとなると受験勉強に関してはとても苦労をした。

そこで、団飛ばしではなく一つ一つ思考のプロセスを説明してくれるような講義を受講した。

色ペンを使って、文を構造的に読み解いていった。こうしなければ、さっきまで、何をしていたのか忘れる気がする。

自分の中に決まったルール、決まったイメージを作り(副詞は〈〉で囲むなどルールを決めて文の構造

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私はただの傍観者【この靄を抜けて】小説

思ばいつだって私は傍観者だった。友達が部活に入って仲間割れしたり、涙を流したり、青春したりしても自分は何も参戦せず、傍観者だった。
苦労も楽しさも感動もない。

高校時代友人たちが何やかんや男子と遊んだりしてもそんなの恥ずかしいと傍観して当事者になりたがらなかった。

恋バナの渦中にもいたくもなかった。

学校の委員会なんかもくだらなく思たし、集団でやる何もかもがくだらなく興味が湧かなかった。

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恥ずかしさの正体 【この靄を抜けて】小説

恥ずかしさの正体 【この靄を抜けて】小説

集団にいるとき、居心地が悪く、なぜかわからないが恥ずかしくてもじもじしていた。

なぜ私は恥ずかしかったのかが、発覚した。

比較的幼い頃の記憶はしっかり残っている。

まだ乳母車に乗っていた頃の思い出。

チャイルドシートのような脚と脚の間に柵がある椅子に座らせられるのが気持ち悪かったこと。

幼稚園の入園の際に面接を受けた後、いちごのアイスシャーベットを園長先生に貰ったこと。

園の客室間に水

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発達障害と時間感覚 【この靄を抜けて】小説

私は不注意障害という言葉から世間の人が長年理解しなかった原因があるのではないかと思っている。

不注意という言葉は、たるんでいるというイメージを彷彿させるのだと思う。

しかし、ADHDの人は生活に支障をきたさないように必死すぎて、真面目にならざる負えない人もいる。

私も真面目過ぎる生活だった。

時間が守れないといけないので、友人と遊ぶこともないし、人と出かけるときは体調が万全な日しかえらばな

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発達障害だけど不登校になれなかった訳 【この靄を抜けて】小説

学校は刑務所だと感じていた私が、不登校にはなりたくなかったのには理由がある。

発達障害傾向が生活に支障をきたしているレベルの人は、学校生活も会社生活も好奇の目に晒され苦痛を伴うものになってしまうだろう。

私自身も自尊心はズタボロになったし、自分が輝ける場所ではないとことに長時間拘束されている生活は刑務所のように感じていた。

学校には行きたくない。しかし、当時不登校には絶対になりたくなかった。

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人生が開けた!? 【この靄を抜けて】 小説

人生が開けた!? 【この靄を抜けて】 小説

子供の時はどこへ行ってもいじめられたり、段差のない所で転んでばかりの心が傷だらけの私だったけれど、それを克服したくて真剣に成長しようとしていた。

私はなぜ事あるごとにトラブルになるのかと小学校の頃はよく分析していた。

何がいけないのかわからないまま、時間の経過とともに卒業して人生が年齢だけ更新されていくけれど、そうはいかない時期がやってきた。

大学受験だ。

はじめて自力で突破しないといけな

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なりたい自分

なりたい自分

私はずっと賢い人になりたかった。

恵まれた境遇を踏み台にして、のし上がっていくんだ。

そう思って生きてきた。

血がにじむほど努力して勉強した10代後半を経てからの20歳。

私は人から「頭いい」と言われるようになっていた。

受験をして世間が認める大学に入っていた。

私には、そういう立派な門構えが必要だった。

誰からも見下されて、どこに行ってもやっていけなくて、いじめられて…

そんな自

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初彼のはなし。

初彼のはなし。

今日は珍しく恋愛の話をしようと思う。

発達障害は恋愛が苦手と言われる。

特に女の子は、性被害に遭いやすいから気をつけようという本なんかも出ている。

発達障害をもつ私の、元彼の話をすることにした。

発達障害の子どもの恋愛に不安を感じてる方、自分自身が不安という方は楽しんで参考にしていただけたらと思う。

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自殺する瞬間の心境

自殺する瞬間の心境

電車がホームに入った瞬間

人が飛び込んだ。

乗っていた乗客たちは何かに乗り上げるように電車の床が持ち上がったのを感じた。

毎朝の通勤ラッシュ時にこんな状況に遭遇し、人身事故で電車が遅延になった事はあるだろう。

読者の方の中に、電車に飛び込もうと思ったり、ダンプカーに飛び込んでしまおうと思った事がある方はいるだろうか。

これ以上、生きる事はできない。

線路に飛び降りる瞬間の気持ちを私は覚

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短編小説【知人の恋】

短編小説【知人の恋】

SNSで小学生の時、気になっていた人の婚約を知った。

相手と会話を交わしたこともない。

それじゃ、単なる片思いじゃ?

いや、それが違うんだ。

彼とは塾が一緒だった。
中学受験の進学塾だ。

彼は頭が良く、御三家のクラス。

社交的で友達も多く、サッカーのユニフォームのまま塾に来ることもある。

おそらく振る舞いから言ってリーダー格の目立つタイプ。

スポーツ少年らしい。

集団の中でも、比

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一度だけ、父親を泣かせた事がある。【超短編小説応募作品】

一度だけ、父親を泣かせた事がある。【超短編小説応募作品】

一度だけ、父親を泣かせた事がある。

30年の人生の中でたった一度だけ。

父親は不器用でコミュニケーションが壊滅的に下手だった。

決して無口なわけではないから、ただのめんどくさい人だ。

息子にも話しかけては面倒がられ、大切にされていないが、気づかないのか、めげずに話しかけたりしていた。

父以外の家族は仲良しだった。
父は疎外感を本当は感じていたかもしれないが、それでも父は家族の中で唯一働き

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