発達障害と時間感覚 【この靄を抜けて】小説

私は不注意障害という言葉から世間の人が長年理解しなかった原因があるのではないかと思っている。

不注意という言葉は、たるんでいるというイメージを彷彿させるのだと思う。

しかし、ADHDの人は生活に支障をきたさないように必死すぎて、真面目にならざる負えない人もいる。

私も真面目過ぎる生活だった。

時間が守れないといけないので、友人と遊ぶこともないし、人と出かけるときは体調が万全な日しかえらばなかった。

時間も、厳密に遅刻しなさそうな時間を選ばせてもらった。

こういうのは傍から見たらわがままで自己都合ばかり考える人に見えるのだろうが、申し訳ないが人の事を気遣っている余裕などないのだ。

だってまず自分の事ができないのでいっぱいいっぱいだからだ。

遅刻しないでそこに何事もなく、到着できるかというのは私にとっては一代勝負なのだ。

メンタルが病んでいたりすると、間違いなくスムーズな行動はできない。

運動会で記録を残すような緊張感さえおぼえた。

あまりにも深刻になりすぎて、夢に見てしまったほどだ。
気を緩めると時間が過ぎてしまうのだ。

こんなに深刻にプレッシャーを抱えていても、どんなにまじめであっても、先天的に私のようにうまれてしまえば、責められる運命というわけなのだ。


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発達障害という言葉がない時代を生きた私の普通の人として歩んだ人生録。

まだ発達障害という言葉が世間になじみがない頃に生まれた私。 普通の子として人生を生きて生きた私の「大人になるまで」をここに記録しました。

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