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意味の図画と言葉の工作、このふたつで僕は文章をつくる

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図画とはクリエイティブであり、工作とはエンジニアリングである。実用に資する公的に正しい文章は、伝達と行動を企図した徹底的な他者志向から生まれる。 文化人や知識人は世の言葉の乱れ… もっと読む
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2020年6月の記事一覧

ムズカシイ言葉

なぜ、ムズカシイ言葉が世の中こんなにも多いのだろう。アジェンダ、ショートノーティス、フィックス、ペルソナ...

最近のコロナ騒動でもそうだ。オーバーシュート、クラスター、ロックダウン…世の中は大衆がついてきていないカタカナ言葉で溢れている。

そういったムズカシイ言葉を使うことに怒りを覚えているコメントもたくさん見かける。

ただ、使う理由が全く理解できないわけではない。まずは、なんかカッコ良い

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無印良品の【「これがいい」ではなく「これでいい」】という言葉はこれでいいの?

無印良品の【「これがいい」ではなく「これでいい」】という言葉はこれでいいの?

ファミコンがなんで白とエンジ色なのか知ってますか?

「安かったから」という説があります。

白とエンジ色といえば、

無印良品です。

無印良品のシールのベージュは、色をプリントしたものではありません。

無印良品の誕生は1980年。起点はものの生産プロセスを徹底して合理化することで簡潔で気持ちのいい低価格商品を生み出すことでした。
具体的には「素材の選択」「行程の点検」「包装の簡略化」を通して

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あの時自分にしか書けない物語を書いていて本当によかった

あの時自分にしか書けない物語を書いていて本当によかった

'90年代後半西オーストリア州パースのスケート・クラブシーンが舞台の連載小説・ " '95 till Infinity " 第3章のエピソード分けをやってます。

エピソード分け自体は順調なんですが、10年近く前に書いた作品で自分でもどういった構成(チャプター分けに関わってくる)か覚えてなく、一段落したところでちょっと読んでみました。

ひさしぶりに読んでみた1番の感想は この小説をこのタイミング

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本多勝一 『新版 日本語の作文技術』

本多勝一 『新版 日本語の作文技術』

文章にも種類があって、文学的な詩歌、純文学もあれば、事実的な新聞記事、解説記事もある。

この本では、「事実的」文章だけを対象に、読む側にとってわかりやすい文章を書くことを目的にしている。センスとスキルがあるとするなら、スキルに着目している。

修飾語の語順や間違えると、文章は非常にわかりにくくなる。確かに読むときも書くときも迷うことはある。第二章では、「修飾語の語順 4つの原則」について一つの賞

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「感情解像度」の解像度

「感情解像度」の解像度

1カ月間、この5文字だけを磨き続けていた。

入谷 聡(illy)さんの #磨け感情解像度 の企画を知ってから、ずっと胸が疼いていた。学生時代に出会ったソシュール言語学(後述)の影響もあり、言葉と解像度というのは、ぼくもかねてから関心が尽きないテーマだからだ。

入谷さんは、企画の告知文で次のように仰っている。

その中で、言葉の精度を「磨く」こと+「解像度」を上げることは、私のnoteや文章に向

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UXライティングについて考える。「使う人に寄り添った文章」はなぜ大切?

UXライティングについて考える。「使う人に寄り添った文章」はなぜ大切?

プロダクトのおしらせ系の文章は、「やってほしいこと」があった上で、使う人にわかりやすく伝えるというのが役割です。でもそれだけだと、コンテンツ過多な状況では難しいのでは? と感じることが増えてきました。

なぜなら読む側は、つねに「読まない」「行動しない」という選択ができるから。

これからのプロダクトは、使う人の感情に寄り添い(共感して)、使う人の言葉で説明できるという新しいスキルが求められるので

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(当然だけど)私が書かなきゃ誰も書かない

昨日の夕方、久々に家の近くの図書館に行った。おそらく半年ぶりくらいだ。吉村萬壱の「ヤイトスエッド」、湊かなえの「絶唱」、万城目学の「ザ・万字固め」の三冊を借りて帰った。ついでに溜まりに溜まっていた牛乳パックも回収かごに入れてきた。

午後イチから夕方まで、クトゥルフ関連のTRPGで遊んでいた。キャラメイクが皆うますぎて、「これは本当にTRPGなのだろうか」という繊細な台詞運びとシーンがいくつも展開

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noteを100本書いたら音楽ライターになった話

noteを100本書いたら音楽ライターになった話

気がつけば、note連続更新100日を超えました。といっても最近はnote感想文ばかりなんですが、たまに自分の書きたいことがあったときには1日2本書いて投稿していました。

そんな中、noteの記事がきっかけで、音楽ライターになりました。

掲載先は、『ヂラフマガジン』さん。「あたらしい音楽、発掘。」というコピーのもと、いまこの瞬間もどこかで生まれているあたらしい音楽を、音楽を愛するわたしたち独自

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これから「エモい」はどこに行くのか

これから「エモい」はどこに行くのか

(多くの方から感想がいただけたらと思い、私のブログ『小麦粉惑星』より転載しました。ご了承ください。)

「エモい」という言葉がわからない、なかなか馴染めずにいるという話を以前ブログに書いた。

この記事を書いてから、そろそろ1年半が経とうとしている。言葉への抵抗感は徐々に薄れ、自ら進んで使いはしないが、かなり理解を深め、わざわざ距離をとることはしなくなった。

言葉を尽くすことは大切だけれど、決し

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文章を書くうえで大事にしていることは?ライターと編集の仕事の備忘録 ⑴

文章を書くうえで大事にしていることは?ライターと編集の仕事の備忘録 ⑴

先日、宣伝会議が主催する編集・ライター養成講座の卒業生としてオンラインの開校式に呼んでもらって、編集者とライターの仕事について話をする機会があった。

卒業生と言っても私が通っていたのは、10年以上前。大学2年生の頃、就活を前に、出版社や新聞社に興味があったけれど周りに業界の人も目指す人もいなくて、講師の人たちの話を聞いてみたいという好奇心で申し込んだ。気になりつつも受講料が高くて迷っていたのだけ

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読みやすさとは何か、ということについて。

読みやすさとは何か、ということについて。

この文章を読んでいるあなたは、本を読むのが得意ですか?

私はというと、どちらとも言えません。昨年、本を一冊出版したくらいなので、今でこそ本は好きですし読むのも早くなりましたが、子どもの頃はむしろ苦手でした。

なぜ苦手だったのかと考えると、端的に言えば「めんどくさかったから」です。大量の文字情報を目の前にすると、それだけでウンザリして眠くなってしまい、面倒くさがり&せっかちだった私は、あらすじと

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文章を書く時に気にしたい「ええヤツ」と「悪いヤツ」

文章を書く時に気にしたい「ええヤツ」と「悪いヤツ」

今回も、ヘイヨーさんが読んでよかったと思ったnoteの紹介です。今回はおふたり!

その前に文章の話をしたいんですけど…

「白紙の紙に何かを書く」って難しくないですか?

ヘイヨーさんも昔は大変でしたよ。何を書いていいのかよくわかりませんでした。今でこそ、次から次へと言葉があふれ出てくるようになりましたけどね。

「なんでも書いていいよ!」って言われると、逆に何も書けなくなっちゃうってことあると

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息子よ! 自分の「おもしろい」を信じろ!

息子よ! 自分の「おもしろい」を信じろ!

 くそつまらない優等生になんかならなくていい。くそつまらなくない優等生にならなってもいい。

 僕が自分の子どもたちに伝えたいことはそれだ。

 子どもというのは割と簡単に、規範というものに毒されるのだということがわかってきた。

 今年、例のアレのおかげで小学校はずいぶんと長いこと休校になった。その間、学校から課題が出され、教育委員会からも教材が与えられ、やるべきことが山積みにされた。加えて、我

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詩と小説のなにがちがうのか

文芸同好会二年のものです。三島由紀夫と舞城王太郎とドストエフスキーを愛しています。

僕は「詩」があまり好きではありませんでした。小、中、高校と国語の教科書なんぞに詩が載っていましたが、読んでみても意味がよく分からず、なんだかお説教みたいな愚痴みたいなことが書いてあるような感じがしましたが、「なぜそうなるか」という「理由」みたいなものが全然理解できませんでした。国語の先生は小説や評論については解説

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