蛙太郎
歯を磨いて布団を被る 気になる肝機能血糖値 五畳の部屋に散らばる毛髪 一本一銭の価値もない もう使わないマスクの束 一枚二十円にしちゃ軽い 今月の家賃が払えない 爪が…
厚着明けは首周りが心許なくて、忘れ物の予感と似ていたから、振り返れば春だった。 建設現場のフェンスから漏れ出すノスタルジア。愛しい轍は霞んでいく。 スカーレットの…
夜を穿った角部屋の 満ち足りないベランダで ループ再生の夜を見てた 月と嘯く黄信号の点滅 砂枯れた室外機の羅列 寿命を終えた星の幽霊 人も車輪も猫も踏まない交差点の中…
ウミネコが二羽隣り合って、乾いた空を見上げて鳴いた。 じれったい別れ話の行方を、彼らは知る由もなかった。 あっけらかんの空が吸い上げた寂寞は、人工衛星が回収するさ…
2024/2/23から、僕が出演する舞台があります。この投稿を見て興味を持ってくれた方がいましたら是非観に来て頂きたく。 演劇二本立ての公演で、僕は「てんとう」という演目…
ヘッドライトが影を伸ばして モーテルを串刺しにした 昨日のくちづけがはにかむ 外付けメモリから流れてくる 他人事のような持ち物だ 忘れられて、荷物になって、ガサゴソ…
くよくよくよと鳴る言葉を、毎日いくつも飲み込んで、アセトアルデヒドは乱痴気。今日を終わるのが苦手みたい。 直線道路を一人ゆく、あの人はまだ日傘を差している。 叫…
産毛だけ濡らすような雨 正午過ぎから降り続き 季節を塗り替える薄い風が 夜を讃えて吹き渡った 送電塔を見に行く 骨組みのシンメトリー 過ぎた夏も短すぎる秋も 二十歩先…
愛着から膨らんで、風船はほら、市松模様の雲を透過した。 エプロンのポッケから、はみ出る程のありがとうを、結わえて一緒に放ったでしょう。 今、何を見ていますか? 欄…
僕たちは何も持たなかった 漲ったものも乾いてしまうし 結んで開いた拳の中には琥珀色の生命線 占いを信じないのは最大限の抵抗で 最小限の夕焼けがずっと縁取っているせい…
もしもし 幸せを捨てちゃって、悲しみを拾ってきたような人。 あなたが捨てた幸せを拾った、幸運な人もいるようです。 感謝も同情もされないあなたが、ラブソングを口遊む…
浮雲ひとつ さびしい片足が 空中に蹲る 破れた靴下みたく 今にも千切れそう 死ぬ間際だけお前を もう忘れるから お前は死ぬ間際…
色々が膨らんでメンタルが危うくおわりを告げかけた。こりゃアカンということで、タイムカードをンニャー!と押した勢いのまま夜行バスに飛び乗った。 行き先は幼少期を過…
待ち合わせたランドマークに ぬるい水たまりがあったら それは私のつま先から 溢れた歓喜のオアシスです。 帰り着いた最寄駅のホームを 一陣の風が通り過ぎたら それは私…
待ちくたびれたような青 明日こそ私も空を飛べたら ありふれた悩みに薬はないから ありふれた夜に物語はないから 夜が明るければ もっと強く 翼があったならば もっと清く …
2024年6月29日 03:35
歯を磨いて布団を被る気になる肝機能血糖値五畳の部屋に散らばる毛髪一本一銭の価値もないもう使わないマスクの束一枚二十円にしちゃ軽い今月の家賃が払えない爪が死んでも詩と志は辞さないいつでも抜け出していい街居場所つくっても空調が効かない猥雑で醜悪で狡猾な口角恐れてたどん底はそう深くはない粋と意気地の二本脚背水の陣で仁王立ち惚れた腫れたは波がさらった身の程なんてとっくに分か
2024年5月19日 16:30
厚着明けは首周りが心許なくて、忘れ物の予感と似ていたから、振り返れば春だった。建設現場のフェンスから漏れ出すノスタルジア。愛しい轍は霞んでいく。スカーレットの鈍行列車。秘色の膝の裏。おやすみのベルガマスク。質量を失くしても背負い続けて、土踏まずを凹ませた。あれから何も出来ないままで、湿っぽくなった風が吹く。トーキョータワーのアンテナが、脳漿に放つ微弱な電流。目まぐるしいこの街で、立って
2024年4月5日 22:17
夜を穿った角部屋の満ち足りないベランダでループ再生の夜を見てた月と嘯く黄信号の点滅砂枯れた室外機の羅列寿命を終えた星の幽霊人も車輪も猫も踏まない交差点の中央で思い出はいつも酔い痴れているサンダルからはみ出した小指にコニャックを垂らすと言いそびれたサヨナラが恍惚としてむしゃぶりついてくる祭りの後の匂いがした道端に落ちたソース焼きそばと恋人たちの頬に残った微かな唾液とそれ
2024年2月29日 05:41
ウミネコが二羽隣り合って、乾いた空を見上げて鳴いた。じれったい別れ話の行方を、彼らは知る由もなかった。あっけらかんの空が吸い上げた寂寞は、人工衛星が回収するさ。忘れなくたって幾星霜。そうだね、空は明るかった。終の住処はどこだろう。前奏曲を湛えた水平線を望む坂。二人が見向きもしなかった、跨線橋の端に伸びた階段。下ると決まって陽だまりがあって、自販機にはラムネだけ並ぶ。ほんの数十秒夢見
2024年2月21日 20:58
2024/2/23から、僕が出演する舞台があります。この投稿を見て興味を持ってくれた方がいましたら是非観に来て頂きたく。演劇二本立ての公演で、僕は「てんとう」という演目の主人公を演じます。noteに詩を投稿していることもありまして、「てんとう」のあらすじというか、作品紹介文を頼まれて書きました。以下、公演の詳細です。劇団FAX 二本立て公演「ボツワナ・てんとう」■日時2024年2
2024年1月24日 01:17
ヘッドライトが影を伸ばしてモーテルを串刺しにした昨日のくちづけがはにかむ外付けメモリから流れてくる他人事のような持ち物だ忘れられて、荷物になって、ガサゴソ鳴っておやすみ。螺旋状に上昇すると故郷も酸素も遠のいた夜行は全角スペース一個分体を丸めて宇宙への旅周回するライカの郷愁回る往年のキラーチューン放り出されて、荷物になって、ガサゴソ鳴っておやすみ。好きで嫌いなひとた
2023年10月31日 03:47
くよくよくよと鳴る言葉を、毎日いくつも飲み込んで、アセトアルデヒドは乱痴気。今日を終わるのが苦手みたい。直線道路を一人ゆく、あの人はまだ日傘を差している。叫んでしまえば簡単に世界は壊れる。そんな緊張感でコンクリートは地球に根を張る。冷ややかな輪郭に、触れようとは誰も思わない。遮る物は無くなって、日傘は吸い切れない光を浴びる。蟠りに覆われた都市、メランコリック・ワンダーランド。抜け穴
2023年10月20日 01:13
産毛だけ濡らすような雨正午過ぎから降り続き季節を塗り替える薄い風が夜を讃えて吹き渡った送電塔を見に行く骨組みのシンメトリー過ぎた夏も短すぎる秋も二十歩先の生垣からドロンと落ちた白い毛むくじゃら夜道の猫とだけ分かち合える人の哀しさいじらしさ送電塔を見に行くよい子はたちいりきんしの半端な大人と猫のランデヴーキンモクセイに関する記述にむず痒くなる鼻をつまんだ一月前の十
2023年9月30日 01:55
愛着から膨らんで、風船はほら、市松模様の雲を透過した。エプロンのポッケから、はみ出る程のありがとうを、結わえて一緒に放ったでしょう。今、何を見ていますか?欄干に手を置く度。敵はどいつと、あいつが憎いと、ギンガムチェックの重なり探し。取り合ってから綻ぶ手、昨日の夢の落とし前に、カラーコーンを並べました。今なに見てる?赤信号で止まる度。空を仰げば背筋が伸びる、靴下が覗く、おかえりの
2023年8月14日 04:54
僕たちは何も持たなかった漲ったものも乾いてしまうし結んで開いた拳の中には琥珀色の生命線占いを信じないのは最大限の抵抗で最小限の夕焼けがずっと縁取っているせいで通学カバンの内ポケットに入れっぱなしにしてきた青春ダウンジャケットのフードの裏でまだ春を探す徒な温度僕たちはいつも待っていた夢で見た約束の既視感一世紀前の海原を知っている気がする君を愛している、それが嘘になるまで君を愛
2023年7月8日 07:38
もしもし幸せを捨てちゃって、悲しみを拾ってきたような人。あなたが捨てた幸せを拾った、幸運な人もいるようです。感謝も同情もされないあなたが、ラブソングを口遊む時、太陽系第九惑星の、核で蠢くものがあります。もしもし四畳半の窪みに嵌って、5ミリの雨を聞いていた人。部屋の隅にはホコリと一緒に、アジアの戦塵が煌めきます。ゴミ捨ても支払いもこなすあなたが、白い目で見られるのであれば、私は紫
2023年6月18日 21:58
漢検準一級受けてきました。自己採点は合格圏内!やぴ✌️
2023年6月15日 01:28
浮雲ひとつ さびしい片足が 空中に蹲る 破れた靴下みたく 今にも千切れそう死ぬ間際だけお前を もう忘れるから お前は死ぬ間際だけぼくを思い出してくれ浮雲ひとつ漂っているやがて一碧二匹
2023年5月24日 00:32
色々が膨らんでメンタルが危うくおわりを告げかけた。こりゃアカンということで、タイムカードをンニャー!と押した勢いのまま夜行バスに飛び乗った。行き先は幼少期を過ごした町、愛知県は北設楽郡東栄町だ。字面や駅の体裁から伺えるように、なかなかの田舎町である。ちなみに駅は鬼の顔を模している。赤鬼が舞う花まつりの里。0歳からの約6年間をオレはここで過ごした。当時同級生はオレを含めて3人だけだった。ま
2023年5月2日 10:07
待ち合わせたランドマークにぬるい水たまりがあったらそれは私のつま先から溢れた歓喜のオアシスです。帰り着いた最寄駅のホームを一陣の風が通り過ぎたらそれは私のご機嫌な口笛が引き連れた鳥です。鳴らないはずの目覚まし時計が夢現の鼓膜を揺らしたならそれは私が目を遣った花が散る間際のお便りです。残された私には罪と涙があるだけです。それらを拾い集めたあなたに私は逢いたかったの
2023年4月30日 01:07
待ちくたびれたような青明日こそ私も空を飛べたらありふれた悩みに薬はないからありふれた夜に物語はないから夜が明るければもっと強く翼があったならばもっと清く生き抜ける類の猛禽類加害者であること咎められず被害者であること同情されず生に責任はなく死に責任もなく空を飛ぶ海を渡るビルに遊ぶ山に眠る昨日も明日もなかったら飛べたんだろう