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短編小説『白の奇跡よ、黒く染まれ』(3/3)
「――」
田町の顔色が変わる。血の気が引いたよう。学内探偵は言葉で詰め寄った。
「ぜひとも合理的な説明を聞きたい。田町さんにはアリバイがあるのだから、犯人とは思っていないよ。とにかく僕は、状況を正しく認識したいんだ」
「待てよ、石動探偵さん」
見かねた名和が、挑発気味の言葉を投げる。
「何かな」
「女性を相手にするときは、もう少し優しく接したら? 君みたいな急襲は、怯えさせるだけ」
「しかし、
短編小説『白の奇跡よ、黒く染まれ』(2/3)
「そうだろう? 僕が掴んだ情報では、亡くなった桜井茂を巡って、四人の女子が争っていた。内一人が、第一発見者でもある田町さん。その田町さんに恋心を抱いていたのが君だ」
「そ、そんなこと、誰が言ったんだ」
動揺を隠しきれず、名和は目元を赤くした。
「全ては小さな出来事の積み重ねだよ。僕はこの情報に信を置いているが、今の名和君の反応を見ると、念のために確認しないといけないな。この情報が偽りであるのなら
プロレスに詳しい人の意見を聞きたい、昭和プロレスの「ん?」その4
4『ジャパンプロレスはマッチメイクの面で、全日本プロレスに対してどの程度もの申せたのか』
昭和のプロレスで忘れてはいけない団体の一つが、ジャパンプロレスでしょう。主催興行のみならず、曲がりなりにもシリーズを開催しているのですから、れっきとした団体として認めなくては。何よりも、その活動期間の短さに反して、当時の存在感はかなり大きかったと言えるのではないでしょうか。
シリーズ開
プロレスに詳しい人の意見を聞きたい、昭和プロレスの「ん?」その2
2『カール・ゴッチは本当にギャラで揉めて、スケジュールをキャンセルしたのか』
一つ目のテーマを映画で決めたので、二つ目も倣うとしましょう。ということで――動画配信サイトを通じて、映画「アントニオ猪木をさがして」を観ました。映画の感想を事細かに述べるのは本題から外れるのでよしますが、もっとよい物が作れたはずなのにという残念さはあったかなぁ。
さて、猪木が興した新日本プロレス
プロレスに詳しい人の意見を聞きたい、昭和プロレスの「ん?」その1
序文 本稿は、いわゆる昭和プロレスについて、個人的に「ん?」と引っ掛かりを覚えたり、疑問に感じたりしたことを取り上げ、膨らませた想像・妄想を綴っていこうというものになります。
とは言え、筆者自身がプロレスを観始めたのは初代タイガーマスクのデビューの約一年と三ヶ月前であり、“新日本プロレスブーム前夜”と呼べる頃。それ以前の昭和プロレスに関しては、後に専門誌やビデオソフト、インター
掌編小説『雨は病んだ』
あらすじある日ある時を境に、世界中のありとあらゆる場所で雨が降り止まなくなった。原因究明を期して雨水を徹底的に調査した結果、水そのものに異変が生じていると判明。その水を飲むと死ぬのだ。突然の水不足に陥った人類は懸命かつ冷静に知恵を絞り、いくつかの取り決めを作った……。
本文 小学六年生になる原田仁一郎は、カーテンを開け放つなりため息をついた。
「今日も雨か」