短編小説『白の奇跡よ、黒く染まれ』(2/3)
「そうだろう? 僕が掴んだ情報では、亡くなった桜井茂を巡って、四人の女子が争っていた。内一人が、第一発見者でもある田町さん。その田町さんに恋心を抱いていたのが君だ」
「そ、そんなこと、誰が言ったんだ」
動揺を隠しきれず、名和は目元を赤くした。
「全ては小さな出来事の積み重ねだよ。僕はこの情報に信を置いているが、今の名和君の反応を見ると、念のために確認しないといけないな。この情報が偽りであるのなら、申し立てを聞こう」
「……嘘じゃない。合っている。過去のことだけど」
「過去だ