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島を追われた忌まわしき一族の末裔が、150年ぶりに隠岐島に上陸!【ファミリーヒストリー入門】

~前回までのあらすじ~
いい歳(27歳)して両親と会話をしない四ツ谷氏は、家族の絆を取り戻すため、否、永遠と思われる思春期を終わらせるため、知られざる先祖を探す旅に出るのであった。ついにルーツの地・隠岐島に上陸した我々は、現地調査を開始することになったが……。
案内人:北山

北山:さあ、いよいよ接岸するぞ。

四ツ谷:ゴクリ……。

高端:お、港にたくさん人がいるぞ。みんな四ツ谷をなぶり殺しにしようと集まったんだな。

隠岐島の玄関口・西郷港

北山:みなさん、四ツ谷家の末裔が150年ぶりに帰ってきましたよ。

隠岐島征服計画を立てる四ツ谷氏

北山:さて、現地調査で行くべきは、寺社仏閣だね。関係なさそうに見えても、とにかく足を運ぶ。奉納された灯篭や手水鉢に先祖の名前が出てくるかもしれない。

四ツ谷:一番近いのは、出雲大社の分院みたいだね。

北山:さっそく行ってみよう。

四ツ谷:おい! すごいぞ! 四ツ谷家の家紋と似た神紋がある! たまたまなのかな。

「二重亀甲剣花菱」の神紋
四ツ谷家の家紋「亀甲に四方花菱」

北山:いや、偶然ではないかもしれない。大きい神社があると、周辺の地域じゃ神紋と同系統の家紋が増える。恐れ多いから、まったく同じにすることは少ないみたいだけど。

四ツ谷:じゃあ、出雲からやってきた可能性があるのか。

北山:可能性くらいはね。せっかくだから、神に帰還をお知らせしよう。

絵馬を書く四ツ谷氏

四ツ谷:こっちには隠岐騒動で死んだ人たちの慰霊碑がある!
四ツ谷姓は……いないか。

北山:また可能性がひとつ消えたな。四ツ谷の先祖は、隠岐騒動では死んでいない。

四ツ谷:それは良かった。

北山:この神社の収穫はこれくらいだな。つぎはいよいよ、四ツ谷家の本籍地にむかおう。果たして、いまでも四ツ谷家があるのかどうか……。

四ツ谷:俺は隠岐の王族だからな、豪邸に違いない。

高端:廃墟かもよ。

上陸一発目の食事
たまりませんな
こういうのでいいんだよ

続編はコチラ。


北山:1994年生まれ。ライター/歴史研究者。一橋大学大学院社会学研究科修了。中学時代に先祖調査に夢中になり、そのまま日本家系図学会に入会。その後は大学院で日本近世史・村落史・由緒論を学ぶ。署名は(円)。

四ツ谷:1996年生まれ。学術書編集者。弟と父親のLINEを知らないくらいには、家族と没交渉。署名は(四)。

高端:1994年生まれ。医療系メーカー勤務。何も事情を知らないまま、北山と四ツ谷に隠岐島へと連れて行かれた。署名は(高)。


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