俺の先祖はクーデターで島を追われた!?【ファミリーヒストリー入門】
~前回までのあらすじ~
いい歳(27歳)して両親と会話をしない四ツ谷氏は、家族の絆を取り戻すため、否、永遠と思われる思春期を終わらせるため、知られざる先祖を探す旅に出るのであった。遠隔地からの調査に限界を感じ始めた我々は、ついにルーツの地・隠岐島へ出航を決めた。
案内人:北山
四ツ谷:島影がちょっとずつ近づいてきたような気がする。あと10分くらいかな。
北山:いやー、それにしても遠いな……。当時に隠岐を離れるのは命がけだったんじゃないかな。これだけ大きな船でもこのハードルだもん。
四ツ谷:好き好んで出ていこうとはならないかもしれない。なんで俺の先祖は、わざわざ隠岐を出たんだろう。
高端:嫌われてたんだよ、多分。追い出されたんだ。四ツ谷が転職した理由と一緒だな。
北山:真面目に考えると、隠岐島民3000人がかつて隠岐を支配していた松江藩の役所を包囲して、隠岐から追い出したクーデター「隠岐騒動」と四ツ谷の先祖は関係あるかもしれない。当時に四ツ谷のひいおじいさんの富次郎さんが隠岐にいた蓋然性は高いし、なにより騒動勃発の地は四ツ谷の本籍地と近い。
四ツ谷:隠岐騒動については調べてきたよ。どうやら島民も一枚岩ではなかったみたいで、松江藩に内通していた「出雲党」と反松江藩側の「正義党」が反目しあっていたみたいだ。結果的に正義党が一時的に隠岐を制圧して、出雲党の人間たちを「大奸」「中奸」「小奸」に分けて迫害していたらしい。
北山:となると、追い出された側の役人の可能性もある。富次郎氏は嘉永三(1848)年生まれだから、隠岐騒動の時は20歳。ばっちり働ける年齢だ。一番古い除籍の段階で、すでに隠岐を離れているようだから、タイミングも合う。
四ツ谷:となると、歓迎どころか、石を投げられるかもしれない……。隠岐はいまだに出雲党と正義党が反目しあっている……? これは大変なことになるぞ。
北山:誰も港を出た船をとめることはできないのさ。さあ、いよいよ接岸するぞ。
四ツ谷:ゴクリ……。
続編はコチラ。
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