マガジンのカバー画像

お仕事系の記事たち

15
運営しているクリエイター

#歌舞伎町

出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #1

出版社を辞めた僕はキャバクラで黒服をすることになった。 #1

「そういうことならいいお店を紹介してあげる」

と、マッチングアプリで付き合いのあったキャバ嬢が教えてくれた。

6月初旬、僕は金とネタに飢えていた。

前年の春、2年間勤めた出版社を退職した。ライターとして独立するというかねてからの夢を叶えるためだった。

しかし執筆業の依頼など、ほとんど回ってこないまま1年が過ぎていた。時間はあっても金がない。電気代が払えないため、電気の止まった部屋で一週間生

もっとみる
怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #3(完結編)

怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #3(完結編)

(前回)

「お兄さん、めっちゃかっこいいですね」

胡散臭いスカウトマン(通称シド)におだてられ、僕は歌舞伎町の奥の奥にある雑居ビルの中に招き入れられた。
そこで待ち構えていたのは、夜の蝶たちがゆらゆらと飛び交う、眩くも汗臭い世界だった……。

もっとみる
怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #2

怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #2

(前回)

「お兄さん、めっちゃかっこいいですね」

胡散臭いスカウトマン(通称シド)におだてられ、僕は歌舞伎町の奥の奥にある雑居ビルの中に招き入れられた。
そこで待ち構えていたのは、夜の蝶たちがゆらゆらと飛び交う、眩くも汗臭い世界だった……。

もっとみる
怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #1

怪しげなホストのスカウトについていったらペンネームができた話 #1

「お兄さん、めっちゃかっこいいですね」

紀伊国屋を冷やかしに行くため新宿駅東口を歩いていると、地上に出てすぐのところで、見知らぬ男性に声をかけられた。

――なんだ? 俺に言っているのか? だとしたら馬鹿にしているのか?

自慢ではないが、これまでの人生で「かっこいい」だなんて言われたことは一度もない。
いや、地元のお弁当屋さんのおばちゃんには何度か言われたことがあったかもしれないが、こちとら自

もっとみる