こきあのこ

3,4年ほど前から障がい者支援の仕事に携わっています。1人1人、個性の違う利用者さんと…

こきあのこ

3,4年ほど前から障がい者支援の仕事に携わっています。1人1人、個性の違う利用者さんと向き合う楽しさ(いつも試行錯誤です)が仕事の支えになっています。 日々の気付きやショートストーリーなどを呟きます。

記事一覧

雑記文 居場所

世の中の 歯車の歯になれないと いや、ならない と うそぶいて 手のひらの 四角い画面に 落ちる涙の 流れ着く場所 イヤフォンで聴く 大音量 グダクダの喧騒からの 逃避…

こきあのこ
3週間前
5

役者に徹する

(雑記文) 親友の恋 応援するね と 嘘っぱち 私が先に惚れたんだから 横取り恋慕実らせて 待っていたのは 良人の帰りを 待たされる日々 夜泣きする みどり子背負い 夜中…

こきあのこ
3週間前
7

未来

振り上げた 拳の先に 見る未来 惰性か破壊か 構築か 志 拳の中に 握りしめ 今日も1日を やり過ごす いつの世も ハズレくじを引いた者のみに 見える世界があるのなら 明…

こきあのこ
1か月前
9

時を刻む

砂時計 逆さにしなけりゃ 始まらない さて、逆さにするのは 今じゃない? 誰か、この 加速度ついた 『時』止めて! 知らぬ間に 2倍速が3倍速に あの頃の 固く絆いだ2人…

こきあのこ
2か月前
8

会いたい

月明かり ひとつに重なる 影法師 雨の中 大きな傘が サヨナラしてる 君の背の 大きさ思わず 抱きしめた

こきあのこ
3か月前
5

就活

眠れないのを 冷蔵庫の 音のせいにして 今日のお昼は 紙っぺらのような 握り寿司 職探し 靴底とSuicaの残も 減ってゆく

こきあのこ
3か月前
5

有効期限

若かった頃の 君と過ごした記憶の有効期限が そろそろ切れそうです 君と別れてから 君と過ごした日々の記憶だけで 何とか騙し騙し ここまでやってきたけれど もうそろそろ…

こきあのこ
3か月前
2

ファンレター

激しい雨がフロントガラスに 打ち付ける中を 西へ西へと車を走らせる そうだよ 君に逢う為に 去年約束したろ 来年もツアー会場に行くからと 出待ちをしていた君が くし…

こきあのこ
5か月前
8

指先が奏でる詩たち 唇の上で踊る詩たち 詩が どこの国の詩であっても 恋びとに 愛をささやく時 友と志しを語り合う時 幼子を夢に誘う 子守唄を唄う時 亡くした家族や…

こきあのこ
6か月前
6

ザワザワが消えない

年明け早々 能登半島でまたも地震が起きた。 自然災害が起こる度に、 避難所での避難生活は 他人事とは思えない。 早く満足な量の物資が届くよう、 今、私に出来る事で、…

こきあのこ
6か月前
20

G7サミット

今回は、1月に『ばぁばの独り言』で登場してもらった、ホーム利用者Aさんの戦争体験をお話しします。 この方はいつも明るくてホームの人気者のおばあちゃんです。 私たち…

9

shortstory後編

その日、また園の門で大泣きをしていたぼくに近寄ってきたのは、 いつものお姉さん先生じゃなく、最近になって新しく入ってきたお母さん先生だった。 白い割烹着が珍しく…

18

ShortStory 前編

※障がい者の「がい」の表記について、漢字でもひらがなでも特に決めごとはないようですが、ここではひらがな表記にします。 私の勤めているホームに、最近新しい利用者さ…

10

ばぁばの独り言

いやじゃあ~りませんかデイの身は 歌は童謡 折り紙に ぬり絵に風船たたきあう 笑っちゃいるけど間がもてず そぉっとトイレで大あくび いやじゃあ~りませんか老いるのは…

13
雑記文 居場所

雑記文 居場所

世の中の
歯車の歯になれないと
いや、ならない と
うそぶいて

手のひらの
四角い画面に
落ちる涙の
流れ着く場所

イヤフォンで聴く
大音量
グダクダの喧騒からの
逃避行

2メートル弱そこそこの
ベッドの上が
自分だけの時間
自分だけの居場所

役者に徹する

役者に徹する

(雑記文)

親友の恋
応援するね と
嘘っぱち
私が先に惚れたんだから

横取り恋慕実らせて
待っていたのは
良人の帰りを
待たされる日々

夜泣きする
みどり子背負い
夜中の散歩
泣きたいのはこっちだよ

反抗期
子供に付き合う
昼夜逆転

子の卒業
これで晴れて自由の身?
いえ、どういたしまして

次の演目は
年老いた
認知の親の
傾聴係り

未来

未来

振り上げた
拳の先に
見る未来
惰性か破壊か
構築か


拳の中に
握りしめ
今日も1日を
やり過ごす

いつの世も
ハズレくじを引いた者のみに
見える世界があるのなら
明日はどっちに向かってる?

時を刻む

時を刻む

砂時計
逆さにしなけりゃ
始まらない
さて、逆さにするのは
今じゃない?

誰か、この
加速度ついた
『時』止めて!
知らぬ間に
2倍速が3倍速に

あの頃の
固く絆いだ2人の手
今では出かける時の
杖代わり

会いたい

会いたい

月明かり
ひとつに重なる
影法師

雨の中
大きな傘が
サヨナラしてる

君の背の
大きさ思わず
抱きしめた

就活

就活

眠れないのを
冷蔵庫の
音のせいにして

今日のお昼は
紙っぺらのような
握り寿司

職探し
靴底とSuicaの残も
減ってゆく

有効期限

有効期限

若かった頃の
君と過ごした記憶の有効期限が
そろそろ切れそうです

君と別れてから
君と過ごした日々の記憶だけで
何とか騙し騙し
ここまでやってきたけれど
もうそろそろ
その有効期限が切れそうです

恋しくて
自暴自棄になりそうな時も
記憶の中にある
君の笑顔を 笑い声を 横顔を

頬に触れた君の指先を
抱きしめてくれた時の
私の顎が丁度いい具合に乗っかる
君の肩を思い出しては
何とか誤魔化し誤魔

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ファンレター

ファンレター

激しい雨がフロントガラスに
打ち付ける中を
西へ西へと車を走らせる

そうだよ
君に逢う為に

去年約束したろ
来年もツアー会場に行くからと

出待ちをしていた君が
くしゃくしゃになった紙切れを
僕の手に渡してくれた
ファンレター
あれからずっと
ポッケに入れたままだよ

『居場所が、無かったんだ
 家にも学校にも
 そんな時、
 アナタの音楽に
 出逢いました
 僕の事
 アナタがいちばん
 分

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詩

指先が奏でる詩たち
唇の上で踊る詩たち

詩が
どこの国の詩であっても

恋びとに
愛をささやく時
友と志しを語り合う時

幼子を夢に誘う
子守唄を唄う時

亡くした家族や友
恋人を想う時

己の無力さに嘆く時
明日の世を愁う時

詩が
どこの国の詩であっても

文明の波に乗って
国境を越えて
あの人の住む街に
届くだろうか

詩が
どこの国の詩であっても

ザワザワが消えない

ザワザワが消えない

年明け早々
能登半島でまたも地震が起きた。

自然災害が起こる度に、
避難所での避難生活は
他人事とは思えない。

早く満足な量の物資が届くよう、
今、私に出来る事で、
現地の方々に迷惑にならぬよう
協力したいと思う。

去年を振り返ると、
10月に入っても(関東地方で)
半袖で過ごせるほど暑かった。

ここ何年か、夏の暑さを表す
「猛暑日」や、暑さからくる
「熱中症」と言う言葉に加え、
「危険な

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G7サミット

G7サミット

今回は、1月に『ばぁばの独り言』で登場してもらった、ホーム利用者Aさんの戦争体験をお話しします。

この方はいつも明るくてホームの人気者のおばあちゃんです。
私たち職員は利用者さんをお名前で呼ぶのが基本なのですが、
この方は、名前で呼ばれると、
「なんやよそよそしいなぁ~。ばあちゃんと呼んでやぁ」と仰るので、私たちはあえておばあちゃん、と呼ばせてもらっています(勝手に)。

おばあちゃんは、テレビ

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shortstory後編

shortstory後編

その日、また園の門で大泣きをしていたぼくに近寄ってきたのは、
いつものお姉さん先生じゃなく、最近になって新しく入ってきたお母さん先生だった。

白い割烹着が珍しくて、一瞬泣き止んだぼくに、先生は微笑みかけながら
「タカちゃんはお外、好き?
 先生も大好き」と言って、
お母さん先生は門の所に座りこんだ。
連れ戻されると覚悟を決めていたのに。

「ここに来る?」
と言って先生は自分の膝を指さして手招き

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ShortStory 前編

ShortStory 前編

※障がい者の「がい」の表記について、漢字でもひらがなでも特に決めごとはないようですが、ここではひらがな表記にします。

私の勤めているホームに、最近新しい利用者さんが入ってこられた。
不安からなのか、玄関から中になかなか入ろうとしない。

「新しい所だから不安だよね、一緒にお庭を見に行ってみようか?」
と、先輩職員が優しくその青年に声をかけているのを聞いていて、高校の時、倫理社会の授業で、担当の先

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ばぁばの独り言

ばぁばの独り言

いやじゃあ~りませんかデイの身は
歌は童謡 折り紙に
ぬり絵に風船たたきあう
笑っちゃいるけど間がもてず
そぉっとトイレで大あくび

いやじゃあ~りませんか老いるのは
キビキビ サッサと動けてた
若い日々 それが今
ヨタヨタ ヨチヨチ ヨロヨロよ
それでもココを通らにゃ逝けません

いやじゃあ~りませんかもう90
1人2人といなくなり
自分もそろそろ準備する
そうも言いつつ 今日もまた
鏡覗いて眉

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