ピーのパパ

経験や知識をいつでも索引できるように。あたまの中に自分なりの図書館を創っていきます。誰…

ピーのパパ

経験や知識をいつでも索引できるように。あたまの中に自分なりの図書館を創っていきます。誰かの役に立つとうれしい読書記録。小学校教師。二児の父。

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記事一覧

とにかく馬鹿にしたい。

周囲から笑われている…と思う人へ。 芥川の『鼻』を読んだことがあるだろうか。 端的にまとめてしまえば、以下のような内容である。 顎の下まで届くほどの長い鼻を持っ…

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【小説】『芋粥』芥川龍之介

周囲から嘲弄され、子どもからも馬鹿にされる。過酷な状況の中にいる五位の微かな夢。 「芋粥を飽きるほど食べたい」 ある年の正月二日、酒の席で自分より地位の高い藤原…

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キラキラしている若人よ

過去の自分を振り返り思う。 何故、世界は自分の思い通りになると考えていたのか。 頑張れば頑張っただけ報われる。 これだけ一生懸命やったのだから、何か変わるはずだ。…

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北風と太陽の寓話は何にでも応用できる話

『人は聞き方が9割』をkindleで一気読みした。(ビジネス書とサブスクの相性は良い。必要なところだけパパッと読んで、あとは流すという読み方を惜しげも無くできる。) …

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【映画】アバウトタイム

邦題では〜愛おしい時間について〜という副題がつけられているが、正直蛇足感が否めない。 ただそうした副題がつけられるだけあり、鑑賞後には何気ない日々を愛せるように…

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【小説】『老人と海』ヘミングウェイ

『海の命』という話を覚えているだろうか。 父ちゃんの仇である瀬の主を殺すのかい?殺さないのかい?どっちなんだい?でお馴染みの作品である。 ちなみにあなたが、1996…

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憧れのお爺ちゃん先生

新卒一年目。教師という職業は、怒らなければ成立せぬものだと早々に思わされた。声を荒げて怒るか、ネチネチと嫌味ったらしく言うか。当時の学年団はそんなカラーだった。…

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【珈琲記録】ウガンダ共和国『アフリカンムーンJACKAL』ルウェンゾリ山脈、ナチュラル製法。ハイロースト。果実感のある華やかかつ柔らかい酸味。口当たりが良く飲みやすい。

1

怒りたい人々

20代半ば以上の方は、平成に流行った『あたしンち』という漫画を知っているだろう。アニメ化もされており、金曜夕方の『あたしンち』→『ドラえもん』→『クレヨンしんちゃ…

【小説】『変身』フランツ・カフカ

フランツ・カフカは、著書『変身』において不条理に襲われる個人を描いた。 物語の主人公グレゴール・ザムザは、ある朝巨大な毒虫に姿が変わってしまったことに気づく。経…

4

面白がる姿勢

小学校教員の(特に低学年の)仕事は、「ええ?!」に溢れている。 「先生!コクワガタの死体持ってきたよ!みんなと埋めるから引き出しにしまっとくね!!」 「先生!ト…

現在の当たり前は否定されていく

シェイクスピア『ヴェニスの商人』では、キリスト教徒がユダヤ人をひたすらこけ下ろす。ユダヤ人はキリスト教徒に貸した7000万円が返ってこない上に、宗教の自由を奪われて…

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未来の視点から

先月2歳になった息子は、よく私を遊びに誘う。 「とーとー」「ぶーぶー」 「よっしゃ、いっちょ遊んでやるか!」と意気込み私は息子と一緒に遊ぶ。 そう。遊んで「やる」…

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【珈琲記録】ミャンマー、オレンジサンシャイン。近年、スペシャリティコーヒーの産地として少しずつ人気が出てきているミャンマーの珈琲。オレンジのようなジューシーな酸味とクセのない後味。

父親の役割

「学校に行けない」という低学年の児童がいる。その児童はこう主張する。 「ママがいれば行ける。」 母親が「子供のために」と思って学校へ付き添う。愛する我が子から「…

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反応か、行動か。

ふざけて掃除をしている児童がいる。 「なんでふざけているんだ!もっとちゃんとやれ!」と声を荒げる教師がいる。 こうした声を荒げるタイプの教師は、その場の行動(刺激…

とにかく馬鹿にしたい。

とにかく馬鹿にしたい。

周囲から笑われている…と思う人へ。

芥川の『鼻』を読んだことがあるだろうか。

端的にまとめてしまえば、以下のような内容である。

顎の下まで届くほどの長い鼻を持った僧は、その鼻故に周囲から嘲笑されている。弟子に箸で持ち上げさせなければ飯を食べられないほどの鼻。バギーもびっくりなデカっ鼻。
そんな僧は、鼻を茹でて、弟子に踏ませて、念願の短い鼻を手にする。
鼻の短くなった僧を見た周囲の人間は、嘲笑

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【小説】『芋粥』芥川龍之介

【小説】『芋粥』芥川龍之介

周囲から嘲弄され、子どもからも馬鹿にされる。過酷な状況の中にいる五位の微かな夢。

「芋粥を飽きるほど食べたい」

ある年の正月二日、酒の席で自分より地位の高い藤原利仁から言われる。

利仁の権威を誇示したい欲望により五位の夢は【他者の手で】いとも簡単に叶えられてしまう。五位は道中こそ芋粥を楽しみにしていた。しかし、いざ目の前に大量の芋粥が並び、食べるよう勧められた際には

と苦しむ。

周囲から

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キラキラしている若人よ

キラキラしている若人よ

過去の自分を振り返り思う。
何故、世界は自分の思い通りになると考えていたのか。

頑張れば頑張っただけ報われる。
これだけ一生懸命やったのだから、何か変わるはずだ。
…費用対効果の思考を信じて疑わなかった。

人の悪口は言ってはいけない。
今の苦しい状況は、自分に(あなたに)だからこそ乗り越えられる壁なんだ。
…聖人君主にでもなるつもりか。

そんなの全く馬鹿げている。
ボク達は人なんだ。美しさも

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北風と太陽の寓話は何にでも応用できる話

北風と太陽の寓話は何にでも応用できる話

『人は聞き方が9割』をkindleで一気読みした。(ビジネス書とサブスクの相性は良い。必要なところだけパパッと読んで、あとは流すという読み方を惜しげも無くできる。)

そこでは聞き方の対比として『北風と太陽』の寓話が用いられている。

北風は「自分を押し付ける」、太陽は「相手を考える」というイメージですね。当然、太陽タイプのが良い。人を動かすのではなく、人が動きたくなるように自分が動く。
強さで迫

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【映画】アバウトタイム

【映画】アバウトタイム

邦題では〜愛おしい時間について〜という副題がつけられているが、正直蛇足感が否めない。

ただそうした副題がつけられるだけあり、鑑賞後には何気ない日々を愛せるようになること間違いなしだ。(ただし、それには少しコツがいる。もちろん本編にて明かされる)

ヒロインを演じるレイチェル・マクアダムスがとにかくかわいいのを差し引いても、大好きな映画。

あらすじをザッと紹介すると、

主人公(ティム)は冴えな

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【小説】『老人と海』ヘミングウェイ

【小説】『老人と海』ヘミングウェイ

『海の命』という話を覚えているだろうか。
父ちゃんの仇である瀬の主を殺すのかい?殺さないのかい?どっちなんだい?でお馴染みの作品である。

ちなみにあなたが、1996年度以降に小学6年生を迎えたならば、国語の学習で習っている可能性が高い。(光村図書、東京書籍の教科書に掲載されている)

あの物語には与吉じいさという老人が出てくる。彼の「千匹に一匹でいいんだ。千匹いるうち一匹を釣ればずっとこの海で生

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憧れのお爺ちゃん先生

憧れのお爺ちゃん先生

新卒一年目。教師という職業は、怒らなければ成立せぬものだと早々に思わされた。声を荒げて怒るか、ネチネチと嫌味ったらしく言うか。当時の学年団はそんなカラーだった。廊下で説教されている児童の姿を頻繁に見た。「先生、もっと言った方がいいよ。」とよく言われた。怒ることは必要条件なのだと思わずにいられなかった。

新卒二年目。この年の学年主任は、カラッと怒っていた。怒る言葉の最後に、「まったくも〜」という笑

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【珈琲記録】ウガンダ共和国『アフリカンムーンJACKAL』ルウェンゾリ山脈、ナチュラル製法。ハイロースト。果実感のある華やかかつ柔らかい酸味。口当たりが良く飲みやすい。

怒りたい人々

怒りたい人々

20代半ば以上の方は、平成に流行った『あたしンち』という漫画を知っているだろう。アニメ化もされており、金曜夕方の『あたしンち』→『ドラえもん』→『クレヨンしんちゃん』のゴールデンラインナップを楽しみにしていたあの頃。

『あたしンち』の漫画を今読み返してみると、お母さんはなかなかクレイジーだ。
みかん、ユズヒコに叫び散らすシーンの多いこと多いこと。平成のお茶の間には受け入れられていたが、令和のお茶

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【小説】『変身』フランツ・カフカ

フランツ・カフカは、著書『変身』において不条理に襲われる個人を描いた。

物語の主人公グレゴール・ザムザは、ある朝巨大な毒虫に姿が変わってしまったことに気づく。経済的に厳しい家族をひとりで支えてきたグレゴール。皮肉にも、彼が働けなくなってしまったことで家族の自立を促す結果となる。
毒虫を排除した時(直接手を掛けていない所がリアル)、家族の世界に明るく暖かな兆しが感じ取られ、物語は終わりを迎える。

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面白がる姿勢

小学校教員の(特に低学年の)仕事は、「ええ?!」に溢れている。

「先生!コクワガタの死体持ってきたよ!みんなと埋めるから引き出しにしまっとくね!!」

「先生!トイレ行っていいですか!…ぼくも!…わたしも!…×10」

「先生!外行ってきます!!(外は土砂降り)」

この他にも、授業中に突然お漏らししたり、トイレにマーキングしたり、掃除の時間にアーティストになったり、ほかにも言葉が通じないことか

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現在の当たり前は否定されていく

シェイクスピア『ヴェニスの商人』では、キリスト教徒がユダヤ人をひたすらこけ下ろす。ユダヤ人はキリスト教徒に貸した7000万円が返ってこない上に、宗教の自由を奪われてしまう。しかしこの脚本は喜劇として成立している。

こんな非人情な脚本が受け入れられるなど、現在の世の中では考えられないことだ。現在に生きる私たちは『ヴェニスの商人』を見て当時生きていた人々を否定する。

こうした現象は世の常なのだろう

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未来の視点から

未来の視点から

先月2歳になった息子は、よく私を遊びに誘う。
「とーとー」「ぶーぶー」

「よっしゃ、いっちょ遊んでやるか!」と意気込み私は息子と一緒に遊ぶ。
そう。遊んで「やる」のである。

我が家はこどものとも年少版を定期購読している。今月は『カッパのかんた』だ。その中に「絵本の楽しみ」という小冊子もついてくる。そこには『まてまてタクシー』の作者である西村敏雄の原稿が載っていた。西村家の父と息子2人の「ライオ

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【珈琲記録】ミャンマー、オレンジサンシャイン。近年、スペシャリティコーヒーの産地として少しずつ人気が出てきているミャンマーの珈琲。オレンジのようなジューシーな酸味とクセのない後味。

父親の役割

父親の役割

「学校に行けない」という低学年の児童がいる。その児童はこう主張する。

「ママがいれば行ける。」

母親が「子供のために」と思って学校へ付き添う。愛する我が子から「ママがいれば行ける」なんて言われた日には「私がこの子を支えてあげなければ」と思うはずだ。親ならば誰もがついて行ってあげたい気持ちが芽生えるだろう。

そして母親と共に学校へ到着。
母親に促されて教室へ入る。母親が付き添っていることもあり

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反応か、行動か。

反応か、行動か。

ふざけて掃除をしている児童がいる。
「なんでふざけているんだ!もっとちゃんとやれ!」と声を荒げる教師がいる。
こうした声を荒げるタイプの教師は、その場の行動(刺激)に対して「反応」している。
反応というのは受け身の行為だ。
この手の教師は仕事に追われ、その日暮らしで生きているという性質がある。

ふざけて掃除をしている児童がいる。
「おいおい、君にはもっと力があるだろう。本当の力を先生に見せてみろ

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